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戦争と平和

2023年8月17日 (木)

玉音放送を読んで

 8月15日、終戦の日に玉音放送の全文を初めて読んだ。前日に放送されたNHKの「アナウンサーの戦争」で玉音放送を取り上げていた読むことにしたのだ。

終戦の時私は洋学校4年であったが、玉音放送は聞かなかった。その後ドラマなどで玉音放送が何度か取り上げられたのは聞いた。

 天皇は雲の上の人として、その姿は写真で見るだけで、声に至っては聞く事がなかった。ネットで見ると初めて国民が声を聞く事になるので「玉音」としたのだとか。特別な印象を与える言葉ではある。

 この玉音放送の中で「もしそれ情の激する所 濫りに事端を滋くし 或いは同胞排擠 互いに時局を乱り 為に大道を誤り 信義を世界に失うが如きは 朕最も之を戒むる言葉ではある。」と述べている。玉音の効き目か乱を起こすことはなかった。

 米英の戦争を仕掛けたのは「さきに米英二国に宣戦せる所以もまた 実に帝国の自存と東亜の安定とを庶幾するに出でて 他国の主権を排し領土を侵すが如きは もとより朕が志にあらず」と述べているが、東亜の安定と称して大東亜戦争を始めて結局他国を侵略して主権をおかしてしまったのであった。それについて「固ヨリ朕󠄁カ志ニアラス」と言っているのは如何なものか。残念だがその後も天皇の深い反省の言葉を聞いた覚えはない。

 下に玉音放送の原文を載せて置いた。

 余談だが、我々は行事の式の度に教育勅語を聞かされたが、「朕」が出て来るので「朕は屁をこいた」などと揶揄していたことを思い出す。

【玉音放送原文】

朕󠄁深ク世界ノ大勢ト帝󠄁國ノ現狀トニ鑑ミ非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ收拾セムト欲シ茲ニ忠良ナル爾臣民ニ吿ク
朕󠄁ハ帝󠄁國政府ヲシテ米英支蘇四國ニ對シ其ノ共同宣言ヲ受󠄁諾スル旨通󠄁吿セシメタリ
抑〻帝󠄁國臣民ノ康寧ヲ圖リ萬邦󠄁共榮ノ樂ヲ偕ニスルハ皇祖皇宗ノ遺󠄁範ニシテ朕󠄁ノ拳󠄁拳󠄁措カサル所󠄁
曩ニ米英二國ニ宣戰セル所󠄁以モ亦實ニ帝󠄁國ノ自存ト東亞ノ安定トヲ庻幾スルニ出テ他國ノ主權ヲ排シ領土ヲ侵󠄁スカ如キハ固ヨリ朕󠄁カ志ニアラス
然ルニ交󠄁戰已ニ四歲ヲ閱シ朕󠄁カ陸海將兵ノ勇󠄁戰朕󠄁カ百僚有司ノ勵精朕󠄁カ一億衆庻ノ奉公󠄁各〻最善ヲ盡セルニ拘ラス戰局必スシモ好轉セス
世界ノ大勢亦我ニ利アラス
加之敵ハ新ニ殘虐󠄁ナル爆彈ヲ使󠄁用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ慘害󠄂ノ及󠄁フ所󠄁眞ニ測ルヘカラサルニ至ル
而モ尙交󠄁戰ヲ繼續セムカ終󠄁ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招來スルノミナラス延󠄂テ人類ノ文󠄁明󠄁ヲモ破却スヘシ
斯ノ如クムハ朕󠄁何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ皇祖皇宗ノ神靈ニ謝セムヤ
是レ朕󠄁カ帝󠄁國政府ヲシテ共同宣言ニ應セシムルニ至レル所󠄁以ナリ
朕󠄁ハ帝󠄁國ト共ニ終󠄁始東亞ノ解放ニ協力セル諸盟󠄁邦󠄁ニ對シ遺󠄁憾ノ意󠄁ヲ表セサルヲ得ス
帝󠄁國臣民ニシテ戰陣ニ死シ職域ニ殉シ非命ニ斃レタル者及󠄁其ノ遺󠄁族ニ想ヲ致セハ五內爲ニ裂ク
且戰傷ヲ負󠄁ヒ災禍ヲ蒙リ家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ朕󠄁ノ深ク軫念スル所󠄁ナリ
惟フニ今後帝󠄁國ノ受󠄁クヘキ苦難ハ固ヨリ尋󠄁常ニアラス
爾臣民ノ衷情󠄁モ朕󠄁善ク之ヲ知ル
然レトモ朕󠄁ハ時運󠄁ノ趨ク所󠄁堪ヘ難キヲ堪ヘ忍󠄁ヒ難キヲ忍󠄁ヒ以テ萬世ノ爲ニ太平󠄁ヲ開カムト欲ス
朕󠄁ハ茲ニ國體ヲ護持シ得テ忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚シ常ニ爾臣民ト共ニ在リ
若シ夫レ情󠄁ノ激スル所󠄁濫ニ事端ヲ滋󠄁クシ或ハ同胞󠄁排擠互ニ時局ヲ亂リ爲ニ大道󠄁ヲ誤󠄁リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕󠄁最モ之ヲ戒ム
宜シク擧國一家子孫相傳ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ任重クシテ道󠄁遠󠄁キヲ念ヒ總力ヲ將來ノ建󠄁設ニ傾ケ道󠄁義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ國體ノ精華ヲ發揚シ世界ノ進󠄁運󠄁ニ後レサラムコトヲ期󠄁スヘシ
爾臣民其レ克ク朕󠄁カ意󠄁ヲ體セヨ
御名御璽
昭和二十年八月󠄁十四日
內閣總理大臣男爵󠄂鈴木貫太郞

2023年8月15日 (火)

終戦の日に当たって

 8月15日は「終戦の日」である。米国を相手に無謀にも開戦した大東亜戦争に負けた日だ。終戦の日ではなく、「敗戦の日」と呼ぶべきだという人もいる。

 私は戦争中は軍国少年であった。将来は海軍に入って皇国日本のために貢献しようと思っていた。

 しかし終戦以後は戦争に負けてよかったと思っている。日本国憲法が公布されて国民主権の民主国家になったのだ。「天皇陛下の御ために死ねと教えた父母の・・・」と歌っていたが、多くの父母は心の底では生きてと思っていたに違いない。日本人だけで310万人が犠牲となったあの戦争。アジアの近隣諸国に激甚な被害を与えた侵略戦争であった。

 先日広島で開催されたG7サミットでは「核抑止論」で一致したが、広島に集まりながら核を認めるとはとんでもないことであった。

 地球上から戦争をなくすことは永遠の課題かもしれないが、それに向かってたゆみない努力をすることが人類に課せられた課題である。

 幸い日本国憲法には第9条の戦争の放棄がある。でも、この条項は安倍政権の閣議によって骨抜きにされてしまった。

 日本国憲法にはもう一つそれ以上に大事な文言がある。それが前文にある「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」である。

 戦争は政府によって起こされる。そして国民が戦争に動員される。太平洋戦争でそのことを嫌というほど経験した。あの戦争を知るものはだんだんと少なくなって、安倍氏も岸田氏も戦争を知らない世代である。だからと言って知らぬ存ぜぬでは済まされぬ。

 主権を持つ国民一人一人がしっかりとして政府が誤った方向に進まないようにしなければならない。

 G7サミットでは議長国の日本は「戦争をしない」という合意に努力すべきであった。核抑止論は戦争容認である。国連の中で戦争をしない方向で先頭にたつことこそ本当の「積極的外交」である。安倍元首相は積極的外交として集団的自衛権に踏み込んだがこれは戦争に導く誤りであった。

2023年8月13日 (日)

日本軍人を恩赦したキリノ大統領

 11日の朝日新聞「残響」(78年後の「戦争」)という連載記事第1回のタイトルは「戦犯開放した比大統領 妻子を殺されても選んだ赦し」であった。

 日米の激戦地となったフィリピンでは、国民111万人が犠牲になったとされる。フィリピン軍による戦後の裁判では、民間人殺害や性暴力などの罪で日本軍の137人が有罪となり、半数以上が死刑の判決を受けた。しかし、執行されたのはわずか17人で、恩赦によって105人が日本に帰れたという。

 1953年にBC級戦犯に恩赦を出したのが当時の大統領エルピディオ・キリノ氏であった。

 キリノ元大統領は妻と長女三女、そして次男を日本兵に撃たれてなくしたのであった。日本兵4名が夫人を機関銃で撃ったという。抱いていた2歳の3女が投げ出されたのを銃剣で刺したというのだ。

 身内をそんな惨い目にあわされたのにキリノ元大統領は寛大な恩赦をしたのだ。キリノ氏は53年7月に次の声明を出した。

「私は妻と3人の子を殺された者として日本人を恩赦する最後の一人となるだろう。私は自分の子孫や国民に、我々の友となる日本人への憎悪の念を残さないために、この措置を講じるのだ」

 記事は、キリノ氏は日比友好の象徴的な人物である一方、日本でその存在を記憶する人は多くないと書いている。私もその一人である。この記事を読むまで全く知らなかった。何と素晴しい大統領だったかと強く心を打たれた。

Kirino

2023年8月 6日 (日)

ヒロシマの日に

 8月6日は広島に原爆が投下されてから78年になる。78年の間原爆投下や核兵器使用がなかった。世界終末時計は今年1月24日に残り時間が90秒とされた。これまでで最も終末に近づいたことになる。

 原子力科学者会報が発表したプレスリリースでは,終末時計が10秒進んだ理由として、「ロシアによるウクライナ侵攻とそれに伴う核兵器使用のリスクが増大したこと、気候変動がもたらす継続的な脅威や、新型コロナウイルスなどの生物学的脅威に関するリスク低減に必要な国際規範や制度が機能停止に陥っていることも要因となった。」と指摘している。

 ネットで調べたら、2023年の終末時計では、ロシア・ウクライナ戦争に関連する最も直接的なリスク以外にも、脅威や脅威の増長要因について詳しく述べられていて、その中から核兵器に関する記述の一部を紹介してあった。

「◎ロシアと米国の間に残された最後の核兵器条約(新START)が危機に瀕してい る。両者が交渉を再開し、さらなる削減の原則を見いださない限り、この条約は2026年2月に失効する。そうなれば、相互査察はなくなり、不信感は深まり、核軍拡競争に拍車がかかり、核兵器による応酬の可能性も高くなる。

◎中国が核戦力の大幅な拡大に関し、透明性と予測可能性を高める措置の検討を一貫して拒否していることが特に問題視されている。米国防総省は、北京が2035年までに核兵器を5倍に増やし、あっという間に米国やロシアの核戦力に匹敵するようになる可能性があり、安定性に予測不可能な影響を与えると主張している。

◎北朝鮮が中長距離ミサイルの実験を大幅に強化した。3月下旬、北朝鮮は2017年以来,初めて大陸間弾道ミサイルの発射に成功した。その後の数カ月間、他にも多数の弾道ミサイルを発射したが、そのほとんどは短距離であった。おそらく最も懸念されるのは、10月4日に北朝鮮が日本上空で中距離弾道ミサイルを発射したことだろう。一方、米国当局は、北朝鮮が7回目の核兵器実験を行う準備を進めていると主張している。

◎イランは、「包括的共同行動計画」に規定された枠外で、国際的な保障措置の下にあるとはいえ、ウラン濃縮能力を高め続けている。このことは、イランがその閾値を超えることを決意した場合、核兵器製造能力に近づけることとなる。核合意への復帰はリスクを軽減し、前進の道筋を示すものであるため、米国や欧州をはじめとする各国は核合意の復活に向け相応の努力を払ってきた。しかし、イラン国内の不安定な状況や、テヘランがロシアのウクライナ戦争を支持している状況では、イランの核武装を阻止するための交渉を成功させるのは難しいだろう。

◎インドは、約160個の核弾頭を保有し,核兵器の近代化を続けており、既存の核搭載航空機、陸上運搬システム、海上運搬システムを補完またはこれに置換する新しい運搬システムを開発中である。パキスタンは同規模の核兵器を保有し、核弾頭、運搬システム、核分裂性物質の生産を拡大し続けている。

◎米国、ロシア、中国は現在、本格的に核兵器の近代化を進めており、新たな危険な「第3次核時代」の競争の様相を呈している。南アジアにおける軍拡競争と北東アジアにおけるミサイル軍拡競争に対する長年の懸念は、対処を要する惨憺たる状況となっている。」

 終末時計が90秒になった理由を各国の指導者は受け止めて世界平和と核兵器廃止に向けての努力をすべきであるが、核禁止条約には残念ながら世界唯一の被爆国である日本も批准していない。日本こそ過去の侵略戦争を反省し、世界平和と核禁止の先頭に立つべきなのに、あの安倍元首相やそれを受け継いだ岸田首相の「積極外交」は方向違いとなっている。

 6日のヒロシマの日と9日のナガサキの日と、8月15日の終戦の日?は我々日本国民が平和の大切さに思いを致すべき日である。

 

2023年5月31日 (水)

悪夢の学徒動員、徴兵制

 28日、TBS系「サンデーモーニング」にこれまで見たことがないコメンテーター出演していた。日本学術会議前議長、京都大学前総長で総合地球環境学研究所所長の山極壽一氏だと出ていた。

 番組では、広島で行われたG7サミットについて取り上げた。その中で共同文書「広島ビジョン」について紹介した。「ロシアによる核兵器のいかなる使用も許されない」としただけで、すべての国を対象に「核の使用は許されない」という記述はなかった。

 それに関して山極氏は、昨年制定された国家安全保障戦略について話し、「言い方の問題だと思うんだけど、“日本を攻撃したら大変なことになると、相手国に思わせるような武力を持たなければならない”と明記してあるわけですよ。軍拡競争に参加するってことでしょ」と指摘した。

 そして、「私がすごく心配するのは、『自衛隊員の数を増強することはない』と書いてあるんだけど、戦争というのはロシアとウクライナの問題を見ても分かるように兵士の数の問題ですから、」と話した。

 続けて「いずれは学生が動員されるんじゃないか、これはすごく私は不安です」と懸念を示し、「学徒出陣という、負の歴史を背負う各大学はそのことを肝に銘じなければならない。学生を戦地に行かせることだけは決してしたくない」と太平洋戦争時の学徒動員を述べた。

 私の年代の者には戦時中の学徒動員はよくわかる。ただ、軍国教育を受けた子どもだったので素晴らしいことだとエールを送っていた。2度とあってはならないことだと考えるようになったのは戦後の平和教育を受けてからである。

 テレビでは自衛隊への志願者が減っていると言っていた。少子化や有効求人倍率が高いことが影響しているという。防衛省は採用年齢の引き上げをしたが苦戦しているそうだ。

 今のところは徴兵制度がないが、そのうちに徴兵制を作るかもしれない。戦前の反省の上に立って徴兵制度は作らせてはならないのだ。

2023年5月23日 (火)

G7広島ビジョンをめぐって

 核兵器についての「広島ビジョン」について、どのように報じられているかネットで調べた。

 毎日新聞は 核兵器廃絶を目指す「カクワカ広島」という若者の団体を取り上げた。「核軍縮に焦点を当てたG7サミットの首脳声明『広島ビジョン』が発表されました。率直なところ、内容に驚きはありませんでした。残念なのは、せっかく首脳たちが広島に来て平和記念公園を訪れ、原爆資料館を視察し、さらに被爆者の小倉桂子さんとの対話もしたのに、声明には『被爆者』という言葉がどこにもなかったことです。被爆者という言葉なくして核廃絶を語るのは難しいと思います。広島に来て、見て、聞いたことが文書に反映されていない。首脳たちがどう感じたかが出てきてこそ説得力が出ると思うのですが、これならば広島に来なくても発することができた内容です。」
 

 「広島で開かれなくてもできた内容だ」というのはその通りだ。聞く耳を持つと自称する岸田首相はよく聞くべきだ。

 日経新聞は簡単に「広島ビジョンとは 核抑止・核軍縮の両立探る」としただけだ。

 中国新聞は地元だけに次のように報じた。
 

 「先進7カ国(G7)の首脳たちが19日に合意した『広島ビジョン』は、サミットでは初の核軍縮に特化した文書だ。それ自体は評価すべきだが、肝心の中身は自分たちの核保有・核依存を堅持したに等しく、被爆地広島にとって受け入れがたい。
G7メンバーの米英仏の核は不問に付している。4月のG7外相会合を踏襲し、核兵器は『防衛目的のために役割を果たし、戦争および威圧を防止すべき』と主張。核兵器は役に立つ、核抑止は必要―。そう再確認した形だ。」

時事通信のインタビュー

(ICAN)のダニエル・ホグスタ暫定事務局長は、先進7カ国首脳会議(G7サミット)で19日に発表された核軍縮に向けた声明「G7首脳広島ビジョン」について「新しい内容がなく期待外れ」と厳しく批判した。時事通信とのインタビューで語った。
 

 ホグスタ氏は、被爆地の広島にG7首脳が集まったことを評価しつつ、「平和記念資料館や被爆者との面会で感じたことがあるはずだが、声明に全く反映されていない」と指摘。「写真を撮って献花するだけでは意味がない」と嘆いた。

 朝日新聞は22日朝刊の社会面で平岡元広島市長を取り上げた。

 1991年から2期8年にわたって広島市長を務めた平岡敬さん(95)は「岸田首相は、ヒロシマの願いを踏みにじった。」と憤りを隠さない。「広島に集まるならば核を全否定し、平和構築に向けた議論をすべきだった」しかし、G7首脳が19日に出した核軍縮・核不拡散に関する「広島ビジョン」では、核抑止力維持の重要性が強調された。「一貫して核と戦争を否定してきた広島が、その舞台として利用された。議長国・日本の岸田首相は罪深い」と指摘する。
 

 朝日新聞によると、カナダ在住のサーロー節子さんは、G7首脳声明を読み失望した。「これだけしか書けないのか。死者に対しての侮辱だ」。核兵器禁止条約についても一言も触れなかった。「サミットは大変な失敗でした」と述べた。
 

 核禁止を目指すべきなのに、核抑止力についても両論併記され、むしろ抑止力が強調された感がある。G7には米国など核を保有する国があるとはいえ、残念である。議長国の日本は米国の核の傘の下にあり、核禁兵器止条約の批准もできていない。
被爆地広島でG7を開いた、平和記念資料館を視察した、慰霊碑に献花をしたというだけでは広島まできた意味がないといえよう。

2023年5月22日 (月)

G7首脳の原爆資料館訪問

 主要7カ国首脳会議が岸田首相の広島で始まった。首脳らは原爆資料館をそろって訪問した。岸田首相が「被爆の実相」を伝える展示について説明したという。首脳らの表情は険しく、厳粛な表情だったという。朝日新聞は「首脳らは被爆地で開くサミットで『核兵器のない世界』の実現に向けて取り組む姿勢をアピールした形だ」と報じた。

 残念なのは原爆を投下した米国のバイデン大統領や核保有国の英仏首脳への配慮から、具体的な視察の内容やどんな展示を見たかは非公表とされたことだ。

 原爆資料館には約40分滞在し、そろって出てくるところがテレビで映された。そのあと慰霊碑に行き献花をする様子や記念撮影や広島市長から原爆ドームの説明を受ける様子などがテレビで放送された。

 G7首脳らが原爆資料館したことや慰霊碑に献花したことなどから始待ったことは良かったと思う。何を見てどう感じたかを知る由もないが、見たこと感じたことで核なき世界にしようと行動するきっかけになればと思う。

 核のない世界を作ることは核を作った人類の責任である。この地球は人類だけのものではないのだ。地球には他の星にはない多様な生物が生きているのだ。それらの生物たちにも影響するのだ。

 理不尽なロシアによるウクライナ侵攻が続いており、ロシアは核兵器の使用も辞さないと脅している。地上から核がなくなるまで、NO MORE HIROSIMA, NO MORE NAGASAKIを叫び続けなければならない。

2023年5月16日 (火)

岸田首相が載ったタイム誌表紙問題

 有名人の写真を表紙に載せることで知られる米国のタイム誌が岸田首相を載せたが、そこに次のようなキャプションをつけている。

JAPAN'S CHOICE 


  PRIME MINISTER FUMIO KISIDA WANTS TO ABANDON DECADES OF PACIFISM_AND MAKE HIS COUNTRY A TRUE MILITARY POWER
(岸田首相は何十年も続いた平和主義を捨て、日本を真の軍事大国にすることを望んでいる)
 

 記事の中でタイムは「日本の選択」というタイトルの記事で「世界3位の経済大国に見合った軍事的影響力を持つ国にしようとしている」と伝えた。
 

 そして、日本の軍事力強化を巡る論争が大きいと指摘した。「日本の『平和憲法』(9条で軍隊保有禁止など規定したことから付けられた別称)と相反しているうえに、日本の防衛力の増強が地域の安全保障状況を悪化させかねないという意見もある」と評価した。
 

 このタイム誌の表紙問題は、日本のメディアが取り上げたが、「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」では辛坊キャスターが「これはいかん」と述べたという。羽鳥モーンイングショーやサンデーモーニングでは事実を伝えただけであった。

 この表紙について、外務省は岸田首相の記事を掲載した米国時事週刊誌「タイム」に対して「題名と内容が違う」として異議を伝えたという。

 私はタイムのキャプションは真実を伝えていてよかったと思う。岸田首相は防衛費を大幅に増額し、国民生活をよくするためには金を使っていないし、トマホークを買って米国を喜ばせ、反撃能力を向上させたと言っているのだ。

 安倍首相以来閣議決定という姑息な手段で専守防衛と平和憲法をないがしろにしてきたが、岸田首相はその仕上げをしようとしているのだ。タイム誌はよくぞ言ってくれたと言いたい。

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2023年5月11日 (木)

ロシアの対独戦勝記念日

 ロシアはウクライナ侵攻後2回目の対独戦勝記念日を迎えた。赤の広場でどのような規模で行われ、プーチンがどの様な演説をするのか注目された。
 

 ウクライナ侵攻の真っただ中、軍事パレードの規模は縮小され、戦車はたった1台であった。
 

 プーチンは演説の中で「米欧の野心や傲慢さがウクライナ国民の悲劇を招いた」と述べ、責任は米欧にあると決めつけた。また、ロシアでは「特別軍事作戦」と言っていたのを「再び我々の祖国に真の戦争が始められた」と強調、「戦争」という言葉を使った。
 

 「再び」というのは、かつてのナチスドイツによって起こされた戦争を指すのであろう。旧ソ連がナチスドイツを打ち負かしたのは素晴らしい歴史に残る戦争であった。しかし、今プーチンが命令し、ロシアがウクライナを侵攻して、ウクライナ国内を勝手気ままに破壊しつくしているのは、あのヒトラーのナチスドイツと同じではないのか。
 

 「祖国を守る戦いは常に神聖であった。祖国への愛ほど強いものはこの世に存在しない」と強調したが、ロシア国民の多くはそれをまともに受け止めたのであろうか。そしてウクライナ侵攻を続けるのであろうか。
 

 プーチンはウクライナ国民を守るための戦いだというが誰が見ても全くのウソである。独裁者はみなウソを平気でついて国民を駆り立てる。
 

 歴史はプーチンをヒトラーと同じ極悪人だと位置づけるであろう。しかし、現実はロシアに仕掛けられた戦争が続いていて、プーチンは正当化に躍起となっている。
 

 プーチンは徹底した弾圧で侵攻への反対の声を封じ込めようとしているが、クレムリンへのドローン攻撃など、プーチンが怖れていることが起き始めている。そうしたロシア国内の動きに期待をした。
 

 国連がロシアのウクライナ侵攻に何もできない機能不全の今、来るG7など国際社会で声をあげてプーチンを追い込むしかないのではないか。

2023年5月 2日 (火)

ワグネル軍事会社

 ロシアのウクライナ侵攻でクローズアップされたのが民間軍事会社ワグネルの存在である。民間軍事会社って何だろうとずっと思っていた。正規のロシア軍の他に民間で戦争をする会社はロシア以外にはどこにもないであろう。

 このワグネルはウクライナ侵攻以前にもシリアなどへ出かけていたらしい。会社と言えば普通は企業であり、利益をだすものだが、民間軍事会社ワグネルはどんな利益をだすのであろう。

 5月1日の朝日新聞は一面でワグネル戦闘員の証言を取り上げていた。以前から刑務所で戦闘員を集めると言われていたが、朝日新聞の取材を受けた男性は、ロシア中部の刑務所に服役していたが、昨年10月、刑務所にワグネル創設者のエフゲニー・ブリゴジンが現れ、6か月の契約後は自由になり、犯罪歴も消えるとの誘いをうけたという。

 民間軍事会社で戦闘に行き、無事で帰れば犯罪歴もなくなるというのは実に奇妙で理解しがたいが、それがロシアでは認められているというのが不思議でならない。ブリジコジンはプーチンの親友だというが、そういう人間に軍事会社をつくらせるというプーチンのやり方も理解できない。

 おそらくロシア軍の犠牲者が増えると国民の反発が起きるので、民間会社に戦わせるのではないか。

 創設者のブリジコジンがだいぶ前に犠牲者が増えていると言ったという記事があった。ブリゴジンは「おそらく、今世界に存在する最も熟練した軍隊だ」と強弁しているそうだが、じっさいは碌に訓練を受けず、能力不足の状態で激戦地の放り込まれているという。

 ワグネルの戦法について戦闘員は「人体のツナミ」と表現したという。大量動員し、遺体が積みあがってもなお進ませる戦法だという。「同じ拠点にいた500人の戦闘員うち7~8割は死んだと思う。前線は2~3週間生き残るのも現実的ではない」と言ったそうだ。

 生き残れば刑がなくなり、自由になれるとはいえ現実はそんな甘いものではないのだ。

 ワグネル戦闘員の残虐行為がネット上に溢れるというが、そうでもしないとやっておられないのではないか。犠牲になるウクライナ人があわれである。ゼレンスキー大統領は命じた指揮官だけでなく全員が罰せられるべきだと述べた。プーチンを始めロシア軍やワグネルはみな戦争犯罪者である

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