書籍・雑誌

2017年1月 6日 (金)

面白くなかった朝日新聞連載「クラウド・ガール」

 朝日新聞の連載小説「クラウド・ガール」が12月30日に終わった。著者は金原ひとみ氏であった。挿絵は山城えりか氏で毎回鉛筆画?の精密デッサンのようなユニークなものであった。

  小説の方であるが、毎日読んできたが、結局何を描きたいのかがサッパリわからなかった。登場人物は、理有という大学生の姉と杏という高校生の姉妹の物語で、違う性格を持ち、仲がよさそうで、お互いに理解がしあえない状況が描かれていた。

  理有は留学から帰ってきて、杏と一緒にマンションに住んでいる。杏には同級生の晴臣という恋人がいて身体の関係を持っている。ところが晴臣は浮気性ですぐに女を作ってしまう。杏にもう絶対しないからと言いながら。そして、結婚してくれと平身低頭する。そうしながらまた女を作って、ベットで寝ているところを杏に見つかってしまう。

  杏は姉の理有が行く美容院の広岡という妻帯者の美容師を呼び出して、自室でセックスをする。それを理有に見つかって家を飛び出してしまう。

  杏は姉の理有が広岡との関係を調べるために美容院に行って知り合ったのだ。理有はシェフの光也という男に想いを寄せている。

  二人の母は、中城ユリカと言って作家であるが、二人の姉妹には母親らしい接し方をしない。また父親とも離婚をしていた。その母が自室で自殺をするのだが、理有はそれを杏に隠そうとする。二人の祖父母は心筋梗塞で死んだと言って葬式を出す。杏は死因を嘘だと思っている。二人にはどうして母が自殺をした理由が分からない。  

  母の死をはさんで、杏の行動と理有の心のうちが描かれて行くのだが、高校生なのに酒を飲んだり、夜中に踊りに出かけたり、セックスをしたり…とんでもない、理解しがたい人物が描かれている。

  そして彼らの交流は、SNSを通じて行われる。クラウド・ガールというのはそういうスマホとインターネットを使う若者の生態を描こうとしたのか、だからそういう題名なのかと思う。

  しかし、精神を病んでいるらしい母親の状況や死の様子などもかなり異常である。すべてが私のような昭和人間には理解できないことなのだ。

  戦後71年、この間に様々な若者が現れて世間の耳目を集めて来た。戦争直後にはアプレゲールというのがあった。ヤンキーというのもあった。この頃は鳴りを静めてしまったようだが暴走族が走り回ったこともあった。

 現代の若者は、スマホとインターネットでつながり、性についても拘りがなく、気に入らないと相手を蹴飛ばすのも躊躇しない、そんな若者を描こうとしたのであろうか。それにしても私には退屈な小説であった。

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2016年6月 4日 (土)

面白かった「暗幕のゲルニカ」

 以前に原田マハの「楽園のカンバス」を読んで特徴のあるストーリー展開に引き入れられた。先日朝日新聞の書評欄で、同じ著者が「暗幕のゲルニカ」という書名の小説を書いたことを知った。それで是非読んで観たいと思い、書店に出かけて購入した。

 357ページあるこの本は、二本立てで物語が進行している。一つは20世紀パートで、パブロ・ピカソの代表作である「ゲルニカ」の誕生とその後の数奇な運命を辿ったものである。もう一つは21世紀パートで、アメリカニューヨークの有名なMOMA(近代美術館)のキュレーターの八神瑶子が企画した「ピカソの戦争美術展開催までの物語である。

 最後のページの説明によると、この小説は史実にもとづいたフィクションであるいう。小説を書くに当たって参考にした多くの文献のリストも付されている。

 20世紀の部分は、スペインの大富豪パルド・イグナシオとMoMA理事長のルース・ロックフェラー以外は全部実在の人物であるそうだ。このパートで主役はピカソの恋人の写真家ドラ・マールである。21世紀の部分は全て架空の人物であるという。

 私はニューヨークのMoMAには行ったことがあり、また多分国連本部でタペストリーを見たのだと思うのだが、「ゲルニカ」も見た記憶がある。そういうこともあって大変興味深く読み進めることができた。

 この二本立てで同時進行する構成は初めて読んだが、大変面白いやり方だと思う。共通の材料は「ゲルニカ」である。スペイン内乱のときにナチスドイツの爆撃で壊滅されたバスク地方の都市ゲルニカ。それに怒りを燃やしてピカソは超大作「ゲルニカ」を完成させた。

 この地球から戦争やテロなどをなくしたいという強い思いをピカソは絵筆と絵具とキャンバスによって表現をしたのである。

 「暗幕のゲルニカ」のテーマは、戦争やテロをなくし、誰もが平和に暮らせる世の中をといういわば悲願である。「悲願」と私が表現したのは、人類は今も核兵器を捨てることができず、地球のどこかで戦争があり、70年間戦争のなかった日本でも世界で頻発するテロリズムに怯えている。

 先だってのGサミットでは幸いテロは起こらなかったが、これから先いつテロに襲われるかもしれないのだ。

 いかなる名分と目的であろうと、人が武器を使用して殺し合うことは1日も早くやめなければならない。しかし、止めることは非常に難しいのが現状である。まさに人類の悲願である。

 この小説では、何度も何度もその悲願が訴えられている。時代背景としては1937年から2003年6月までである。その間にスペイン内乱や第二次世界大戦があり、あの9.11のテロやアメリカのイラク侵攻などがある。特に9.11のワールド・トレードセンタービルへのテロとイラク侵攻が大きく扱われている。

 架空のスペイン大富豪パルド・イグナシオ、ルース・ロックフェラーそしてピカソ研究の世界的権威日本人の八神瑶子を設定し、実在のMoMAやレイナソフィア美術館や国連などを舞台にフィクションの物語を実際にあったことのように錯覚させて読ませる。原田マハ独特のユニークなやり方に引き込まれた。

 ストーリーなどを書かないは、これから読んでみようという人に興をそがせるからである。

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2015年1月12日 (月)

新聞の書籍広告から

 11日の朝日新聞に、次のような書籍広告が出ていた。一つは「将来の学力は10歳までの読書量で決まる!」というものであり、もう一つは「億万長者ボードを重ねるだけでロト7が当たる本」というものだ。

 

 前者の題名を見たとき、直観的に思ったことは、もし、この題名の通りだとしたら、戦時中に育った自分はどうなんだ?ということであった。

 

 日中戦争から始まって、次第に戦線が拡大する中で、「物資」が不足し、食糧や衣類などが欠乏し、配給制となった。生活必需品さえそんな具合であったから、本などは手に入らなかった。

 

 近所の友人の家に、「冒険ダン吉」とか「ノラクロ」の漫画本があり、題名は忘れてしまったが、南方のジャングルの探検を描いた本があり、それを借りて読んだのを覚えている。しかし、読書とはとても言えないものであった。

 

 それに太平洋戦争が始まると、勉強どころではなくなっていった。国民学校の児童でも野外にかり出され、軍馬の餌となる草を刈らされたり、飛行機の油になる松の根を運ばされたりした。

 

 本など読む機会は全くなかった。学校には図書館があり、蔵書があることを知ったのは、戦後2年ちかく経ってからであった。まだ貸し出しをしていなかったのを担任の先生の計らいで借りてきて読んだ。

 

 「丹那トンネル」という、東海道線の熱海付近にあるトンネルの掘削の話と、「ファーブル昆虫記」であった。それをむさぼり読んだのだ。

 そういう訳で、先の書籍の広告に従えば、10歳までは読書はほぼゼロであったのだ。10歳までの読書量が将来を決めるというのなら、私の今あるのは読書ゼロのせいだということになる。けれどもあの時代、誰もが同じ境遇にあったと思うのだ。よほど恵まれた子供だけが本を読めたかもしれないが。

 私は少年少女時代の読書が大切であることを否定する気持ちは毛頭ない。私も勤めている頃は読書の大切さを説いて、父母の協力を得て学級に本を揃えたりしたし、読み聞かせも毎日やった。

 私の子供は、いくら言っても本を読まなかったが、大人になって本に興味を持ち、いつも本を手放してはいない。本人が必要だと自覚して初めて本気で本に向かいだしたのだ。

 だから、先述の書名のように、刺激的に書かれると、思わず「ウッ」となってしまうのだ。10歳までの読書量が将来を決める!に惑わされるなと言いたいのだ。

 もう一つの本の題名もセンセイショナルである。もし、それが真実であるならば、この本を読んで、その通りにやった人は、全員がロト7に大当たりということになる。そんなことがあるはずがないのは、ちょっと考えれば分かるはずである。

 だいたい宝くじを買ったり、馬券を買ったりする人は、自分だけは幸運が来ることを願っている。運を信じるしかないのだ。それを科学的に必ず当たる法則があるかのようにいうのはおかしいということに気付くべきである。

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2014年11月30日 (日)

衝撃!「沈みゆく大国 アメリカ」を読んで―④―

 P.193からは「国家戦略特区を知っていますか?」という見出しで、戦略特区の危険性を強く訴えている。

  1年前の2013年12月に「国家戦略特区法」が成立したが、「特別秘密保護法」の陰に隠れて、成立したこともその内容も多くの国民に知らされていないという。恥ずかしながら私もその一人である。

  この法律により、1980年以降すざまじい勢いで金融資本による国家解体が進んでいるアメリカと同じ道を日本も辿ることになるという。

 「国家戦略特区法」は、「特定の地区で、通常できないダイナミックな規制緩和を行い、企業が商売をしやすい環境を作ることで、国内外の投資家を呼び込む」とい

う内容だと書いている。

 新潟→大規模農業  福岡→雇用の自由化  

 東京・大阪→医療の自由化、混合診療解禁

  これにより「企業天国」が誕生するという。

  マンハッタン在住の金融アナリスト、ザック・場生まんは高く評価して、

「これは海外投資家にとって重要な政策ですね。特に、40兆円という世界第2位の規模を持つ日本の生命保険市場は、グローバル企業と海外投資家にとって非常にみりょくてきですから」と話したという。

 ザックはさらに次のように述べたという。

「そこで、民間良保険のビジネスチャンスが生まれるのです。(自由診療の拡大によって)国民健康保険の公費負担部分が小さくなればなるほど、それ以外の医療や薬をカバーするために、日本人は民間保険を買うようになるでしょう。やがて貧困層と低所得高齢者、障碍者だけが公的保険にはいり、それ以外の国民が国民健康保険と民間保険の両方に加入するという、アメリカと同じ図になりますね」

  「ザックの言葉は決して誇張ではない。日本人は何の疑問ももたないままに、新しく日本に入ってくる外資系の医療保険に入るだろう。そうして公・民保険の2重加入が一般化すれば、オバマケアと同じビジネスモデルが完成する。」とP.196で予言している。

  アメリカの資本家たちは、あの手この手で日本の医療分野への進出を始めているのだ。それに応えようというのが安倍政権がやっていることなのだ。

 さらにTPPによってアメリカの経済的支配を確固としたものにしようとしている。

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2014年11月29日 (土)

衝撃!「沈みゆく大国 アメリカ」を読んで―③―

 2014年1月のダボス会議で安倍首相は「非営利ホールディングカンパニー(持ち株会社)型法人制度」について言及し、投資家たちに日本に新たに生まれる新市場をアッピールした。「非営利」という言葉に騙されてはいけないと指摘する。(P.190)

  実際は株式会社が出資できるようになっているというのだ。ホールディングスの傘下に、救急病院や慢性期病院、老人ホーム、介護・福祉施設などをまとめて置き、経営のプロが運営することで「効率化」と「医療費削減」を同時に進める。それにより、今の日本での「社会福祉法人の財政難」と「介護人材不足」も解決できるという。(P.190)

 まことによいことづくめのようだが、一旦株式会社経営になると非営利性が失われ、アメリカ型チェーン病院の参入につながるというのだ。「経営不振のなった際に外資に買収されたら、取り返しがつかなくなる」という日本医師会の中川俊男副会長の言葉を紹介している。

  もし、営利事業化したら、効率優先、利益優先のビジネスとしての経営が行われることは目に見えており、アメリカのように、都市中心にホールディングスが置かれ、小児科やERなど採算んの取れない部門はカットされ、利益率の高い「心療内科」や循環器科」「整形外科」などで稼ぐであろう。そして、安全性よりコスト削減が重視され、支払い能力のない患者は診てもらえないことになる。(先日見たように日本でも支払能力のない人が急増している)

 安倍政権は、病院の株式会社参入を要求し続けているアメリカの要請に応えて、反対する医師会を抑えて、「医療を営利の成長産業にし、外国投資家を呼び込む」という方針のもと、「ヘルスケアリート」と「非営利ホールディングカンパニー法人制度」の日本上陸を決めたのだという。(P.192)

  日本では着々とアメリカの侵略を許す地ならしが進んでいるのだ。マスコミはこの点についてあまり取り上げていないが、何故であろう?恐ろしいことだ。

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2014年11月28日 (金)

衝撃!「沈みゆく大国 アメリカ」を読んで―②―

 堤未果さんの「沈みゆく大国 アメリカ」は、オバマケアが国民の医療をよくするどころか、逆に悪くしてしまっている実情を明らかにした。医師は多忙と低賃金でなり手がなくなってきたし、利益が上げられないので病院の統合が進み、中間層や貧困層の医療が危機に面している。その一方で製薬会社は医療保険会社は大儲けをしているのだという。

  問題はアメリカの医療をウオール街の金融資本が支配し、金儲けの絶好の餌食にしているということである。

 日本の医療は憲法25条の「生存権」に基ずく社会保障の一環として行われ、その根底には「公平・平等」という理念が横たわっている。一方アメリカでは医療は「「ビジネスという位置づけだ。命は市場に並ぶ「商品」とされているのだ。(P.182)

  衝撃のその2は、アメリカの金融資本が日本をターゲットにしているということだ。

「ウオール街と経済界の支配されるアメリカ政府から日本への、医療市場開放の圧力、混合診療解禁や株式会社病院、保険組織の民営化、診療報酬改革、公的保険周辺の営利民間保険参入や投資信託など、すごいスピードで規制緩和を進める法改正の多さには驚愕した」(P.183)と書いている。

  ここで指摘されていることは、安倍政権によって進められてきていることである。TPPもアメリカの経済支配を確固としたものにするためにやろうとしていることなのだ。医師会が日本の医療がアメリカ型にされる「TPP」に反対しているのは、アメリカ化の後に来る悲惨さを予見するからなのだ。それはアメリカを見れば直ぐに分かることである。

  投資信託というのは、「ヘルスケアリート」と言われるもので、東京証券取引所で承認され、11月5日に上場されたという。私は全く知らなかった。医療・介護への営利参入を掲げる安倍政権の「成長戦略」の一つだというのだ。今後自治体病院などにも対象を広げられて行く方針だ。「営利」を目的に組まれ、運営され、そこにアメリカの金融資本が入り込むのだ。

  堤さんは、「リートは福祉ではなく、あくまでも投資商品だということだ。人員配置や料金設定、サービスの質などは、すべて利益拡大という目的に沿って決定されていく。利益が出ない場合は、人件費カットや利用料金値上げ、最悪の場合は売却されて、施設がなくなってしまう」(P.189)と指摘している。

  儲かることなら何でもやるという金融資本とそれを後押しする政府。私たちはここにも注目して衆議院議員選挙への態度を決めなければならない。 

 

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2014年11月27日 (木)

衝撃!「沈みゆく大国 アメリカ」を読んで―①―

 堤未果さんが書いた「沈みゆく大国 アメリカ」(集英新書)を読み終えた。11月19日発行の日付がある出たばかりの本である。

 オバマ大統領が執念を燃やして何とか実現した、国民皆保険を目指すアメリカの医療保険改革(通称オバマケア)が、期待に反して恐るべき悲劇をアメリカにもたらしたというのだ。その一部始終を詳細に述べてある。

  私はオバマケアが実施されたとき、アメリカもやっと国民皆保険制度になってよかったと思った。「皆保険」・・・こんな良い制度をなぜアメリカは持っていなかったのか不思議であった。 ところがこの本によると、とんでもないことであったというのだ。

  アメリカの皆保険と日本などの皆保険は違うのだということを初めて知った。この本を読みながら、どうにも分かりにくかったのは、アメリカの医療保険制度について全く知らなかったからであった。

  アメリカの医療保険は、すべて民間保険会社が運用していて、営利を第一にしているということが分かった。さらに驚いたのは、オバマケアを設計したのが全米最大の保険会社ウェルポイント社の重役であったリズ・フォウラー氏だというのだ。

  彼女がやったのは、医療・製薬業界の最大の障害である「単一支払医療制度」案を取り除くことだ。これがあると製薬会社が利益を上げる邪魔になるからだ。彼女のおかげでウェルポイント社など大手保険会社の株価はうなぎ上りに上がったという。彼女は功績により、大手製薬会社のジョンソン&ジョンソンの重役に迎えられ、巨額の報酬を手にしたそうだ。

  製薬会社は、自社の薬に好きなだけ高い値段をつけられるのだ。C型肝炎の新薬ソバルティにギリアド・サイエンシズ社がつけた値段は、一錠1000$1クール84000$だった。(2014年8月)

  保険会社は大手保険会社の寡占状態となり、50州のうち45州は1~2の保険会社に握られている。そのため価格競争が起こらず、高い価格になっているのだ。患者が保険会社から受け取る前に病院窓口で自分で払わなければならない前金を免責額といい、それが吊り上げられるというのだ。

  また、利益を出さない疾病については診療を拒否されることがあるという。保険会社は営利目的だからだ。

 「オバマケアは、まるで雨が降ったとき濡れないように、国民全員に傘を買って渡したような法律です。雨が降って傘を開いてみると、傘は布ではなくて紙でできていて、どんどん穴が開き、みんなずぶぬれになってしまう。しかも、傘の代金は国民から集めた税金で払われていたという」

「この法律は、(オバマ保険という、高額な欠陥商品を強制的に買わせているのです」という医師のケイティ・ロビンスの言葉を紹介している。

  どんなに欠陥がひどいかをこの本では詳しく検証している。アメリカではオバマケアのことを分かっていない人が6割もいるのだそうだ。何も知らない、知らせない、知ろうとしないことが問題である。

 実はウオール街の金融資本(1%の富裕層)が利益をむさぼり蝕んできた、石油、農業、食、教育、金融などの領域の最後のものが「医療」の分野であったというのだ。

 グローバル化の中で彼らは次なるターゲットを日本として着々と手を打ってきているというのである。「衝撃!」というのは、まさにそこにあるのだ。

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2014年4月 9日 (水)

やっと借りられた阿川佐和子著「聞く力」を読んで

 2012年1月に刊行された阿川佐和子さんの「聞く力」が大ベストセラーとなり、私も是非読みたいと思って図書館に予約をしたが、何と手元に来るまでに8か月もかかった。名古屋市の図書館には77冊もの「聞く力」が購入されているのに読みたい人が何百人もいるのだ。

 私の番が回ってきたとき、まだ250人も待っていると言っていた。それほどの大人気の本のどこが読む人を引き付けるのかを知りたいと思いながら読んだ。

 読み終わって分かったことは、週刊文春で掲載している「阿川佐和子のこの人に会いたい」の対談やテレビ番組「タケシのTVタックル」などでのエピソードを取り上げて、それを35項目にわたって他の人にインタビューするときのヒントをまとめていることであった。

 エピソードは、会話をふんだんに入れて具体的場面を描いている。そして最後にまとめのようにコツや注意点が書いてあるのだ。

 「聞く力」という題名から、何か日常生活の中で人と会話をする時の聞く技術のようなものを想像したのだが、読んでみるとそうではなかった。インタビューをする人のためのヒントが書いてある。

 では、なぜ多くの一般人に読まれるのかと考えるに、私のような一般人は書かれている「裏話」に興味をもって読むのだと思う。

 阿川さんは15ページに次のように書いている。

「同じ話も新しい話も、可笑しい話も感動的な話も、人に話を聞くことで、自分の心をときめかせたいのです。素直な気もちで好奇心の赴くまま人の話を聞いたとき、聞き手は自分の記憶や気持ちをそこに重ね合わせ、必ず何かを感じ取るはずです」

 「聞く」を「読む」に置き換えると、この本に語られるエピソードや阿川さんの苦心話などが読み手の心を響かせるものがあるということだ。そして読み進めるうちに、35のヒントの中から自分が感じ取ったものを頂くということだと思う。

 阿川さんの書きぶり(文体)は具体的で分かりやすく、且つ親しみやすいので誰にでも楽に読めるのだと思う。

 ちなみに、この本は30代~50代の女性によく読まれているそうだ。(下図)

 一般人に役立ちそうなことは、

◎面白そうに聞く

◎「あれ?」と思ったことを聞く

◎相手の気持ちを推し測る

◎自分ならどう思うかを考える

◎上っ面な受け答えをしない

◎相槌の仕方

◎「おうむ返し」質問法の活用

◎相手の目を見る

◎慰めの言葉は2秒後に

◎安易に「分かった」と言わない

◎しゃべりすぎない

などであろうか。 

 思いがけず聞けた北野武の胸中、「トークは生もの」と心得た笑福亭鶴瓶とのやりとり――。インタビューの具体的な相手や状況を示しながら、学び、感じたことを、「質問の柱は三本」「観察を生かす」などといった35項目でつづる。(文春新書/840円)。
※ グラフは、購読者の男女比(全国696店舗のTSUTAYA BOOKS、蔦屋書店での購入データに基づく)を示している。最も読まれているのは40代女性。10代を除く男女に広く支持されていることが分かる。

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2014年3月 1日 (土)

アンネの日記関連書籍への狼藉を悲しむ

 アンネの日記やアンネに関連した書籍が、東京都杉並区の図書館など東京、横浜の図書館で破られた。また、書店に置いてある本も同様の被害にあったという。

 このニュースを知っていったい誰がこういう恥ずかしい行為をするのかと悲しくなった。何百冊もの書籍を誰にも見つからずにどうやって破いたのか。おそらく何人かの集団で監視をしあいながら破ったのであろう。

 アンネの日記はナチスによるユダヤの虐殺と関連しているから、ナチスの暴虐をよしとする右翼的、国家主義的な勢力がプロパガンダのためにやったのであろう。

 先日の東京都都知事選では、元自衛隊航空幕僚長の田母神俊雄氏が60万票余りの得票をして注目された。かねてからネトウヨが増えていると言われていたが、それが顕在化した部分があることでも目を引いたのである。

 昨年は東京の大久保近辺などで韓国人へのヘイトスピーチが執拗におこなわれたが、韓国や中国との歴史認識問題での齟齬と領土問題での対立があり、両国の態度に業を煮やした人たちが過激な行動に出たのだと思われる。

 安倍首相が靖国神社参拝をしたが、それも強い刺激を与えたに違いない。さらに安倍首相が特定秘密保護法を成立させ、集団的自衛権を打ちだし、自衛隊を戦える軍隊にしようとしていることとも深く関係している。

 安倍首相の右傾化には、友好国のアメリカでさえ深い懸念を持っていると言われる。中国は今頃になって抗日戦勝記念日を制定した。眼には眼をという感じである。

 こうした動きがさらに日本国内の右傾化を刺激するに違いない。今回のアンネ騒動もそうした一連の動きの中で捉えるべきであろう。

 それにしても自分たちの意思表示の行動として書籍を破るというのは非常に残念である。世界に対しても恥ずかしい行為である。日本の文化度を一気に低下させた行為である。

 これまで日本人や日本文化を讃えてくれていた外国の人々をガッカリさせたであろう。東京オリンピック招致に成功したのに泥を塗ったようなものである。

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2011年8月19日 (金)

曽野綾子著「老人の才覚」を読んで―②―

 曽野綾子氏が日教組嫌いであることは、昨日書いたが、老人の使う言葉が貧困になったのも日教組教育のせいだと言いたいようだ。「老人の使う言葉が極度に貧困になった」という項(P.25)で、作文教育が行われなかったせいだと次のように書いている。

 「何でもかんでも権利だとか平等だとか、極端な考え方がまかり通るようになってしまったのは、言葉が極度に貧困になったせいもあると私は思います。言語的に複雑になれない人間は、思考も単純なのです。」

 と、書いてその原因として3点を挙げている。

 一つは、読書をしなくなったこと。

 二つ目は、漫画やインターネット依存。

 そして三つ目に、作文教育がきちんとされなかったこと。

 漫画やインターネット依存がコトバを貧困にしたのかどうかについても異論があるところであるが、ここでは、作文教育について取り上げたい。

 「言葉が貧困になった原因は、作文教育がきちんとなされてこなかったからです。自分の心の中にあるものを整理して、書き写すという技術がないと、表現力が豊かにならないばかりか、確固とした自分というものを作っていけない気がします。」と述べている。

 そして、礼状を書けない、一流大学を出た官僚でもつまらない文しか書けない。敬語を使えない・・・などと書いている。

 「読まない、書かないから、微妙な考え方や話ができない人が多くなりました。祖父母も親も教師もそれが恥かしいことだと教えなくなった、というか教えられなくなった。」と書いている。

 戦前、多分小学校2年生の時だったと思うのだが、「綴り方読本」というのがあり、綴り方を書く宿題が出されたことがある。全く書けなくて父母に相談したがお手上げであったことを覚えている。

 でも、戦前でも日本には綴り方教育の歴史があって、心ある教師によって熱心に綴り方教育が行われたことを後に知った。ただ、私の近辺には、教科書を与えておいて真似をしろという程度のことしか行われなかったのだ。

 戦後は、いわゆる型にはまった(つまり小国民教育としての)綴り方教育から開放されて、作文教育が全国で盛んに研究され実践された。その中ですぐれた表現力をもつ才能が開発された。(東北の山彦学校などとか信濃教育とか・・・・)

 私が小学校、中学校の頃は、不幸にしてそういうものとは無縁であったから、作文は苦手であった。ただ、読書はしていたし、新聞を読んでいたから、ある程度の文章能力は身について、卒業論文も書くことができた。

 教員になってからは、作文教育、読書教育、読解教育、音読教育など、総合的に国語教育に力を入れてきた。

 日本中の学校で、作文教育は熱心に行われたことを知っている。

 曽野氏は、いったい何を根拠に作文教育が行われなかったというのであろうか。

 今から10数年ほど前からだと思うのだが、入学試験の筆記試験が作文能力や表現能力を阻害しているという反省から、作文などの論述試験が重視されるようになった。つまり、作文教育を疎外したのがあるとすれば、やはり、入学試験に問題があったのだ。

 同じようなことは、英語教育にも指摘することができるがここでは扱わない。

 曽野氏が言うのは、日常生活での礼状を書くとかちょっとした手紙を書けなくなったと言いたいのだと思うが、それは作文教育のせいだとは言えない。日常生活上のコトバの使い方や礼儀などの躾けの問題がからむからだ。

 家庭教育の貧困化は確かに見られ、それが地域教育(コミュニティ)の喪失と相俟ってさまざまな対人関係上の問題が進行したのだと思うのだ。

 

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