映画・テレビ

2009年7月19日 (日)

素晴らしい映画― 「剣岳・点の記」

 暑いので外出は嫌だが、前から見たいと思っていた映画、「剣岳・点の記」を見に行ってきた。

 木曜日は女性1000円の日ということもあってか観客はかなり多かった。でも、見たところ60歳以上の人が多いようであった。1000円で見られるからだ。

 この映画を観たいと思ったのは、TVで木村大作監督の撮影方法が紹介されたのを見たからだ。監督はもともとはカメラマンであった。製作方針は、実際に測量隊が登ったルートを再現するということとCGを使わずにカメラを据えて撮影するということであった。

 それがどのように映画になったのかを見たいと思ったのだ。

 新田次郎原作の「剣岳・点の記」は読んだことはないが、映画のストーリーは単純である。

 明治40年、日露戦争勝利で高揚している陸軍から、一人の新婚間もない測量技師がまだ測量の空白地帯となっている剣岳周辺の測量を命じられる。どういう訳か当時は陸軍測量部というのがあって民間の測量技師を雇って測量したのだ。多分、国土の防衛という観点からそうしたのであろう。

 浅野忠信が演ずる測量技師と香川照之が演ずる山案内人が苦労を重ねて剣岳に登頂し、四等三角点を立てるまでを映画にしたのだ。

 私は、新婚の頃、妻と立山を縦走したことはあるが、剣岳は眺めただけである。映画で見ると剣岳が如何に登るのが困難な山であるかがよくわかる。人を寄せ付けないからこそ山岳信仰の対象となったのであろう。

 剣岳は当時前人未踏の山と考えられていた。それで陸軍は最初の登頂を目指すのだ。ところがそこに剣岳初登頂を目指す日本山岳会が立ちはだかる。そして登頂競争になる。

 結局、測量隊が先に登頂を果たすのだが、頂上には行者の錫杖の頭の部分がおいてあるのを見つける。山岳信仰の行者がそれまでに登っていた事を示すものであった。

 それを知って陸軍はがっくりする。測量隊がどんなに苦労を重ねて頂上に辿りついたか、また、三角点を立てて空白をなくしたかということへのねぎらいもないのだ。

 軍隊というものがただ先陣の名誉だけを求めていたという非情のものであることがわかる。

 しかし、隊員や妻や先輩は自分たちが成し遂げた仕事に誇りを持つのである。

 この映画には、雪崩の場面と隊員の一人が滑落する場面が出てくるが、すざまじい映像をどのようにして撮影したのか知りたいと思った。本当にCGを使わずに撮影だけでやれたとは思えないのだが。

 明治40年という時代に測量隊員たちが命がけで立ち向かった記録として、また、そこに織り成す山案内人やサポーターと隊員との麗しい交流が映画の見所である。

 そしてもう一つは素晴らしい剣岳や立山連峰や富士山などの山岳の風景である。そこはカメラマン監督の真骨頂である。

wobbly 「剣岳・点の記」公式HP:http://www.tsurugidake.jp/

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2009年5月16日 (土)

NHK連続TV小説「つばさ」が面白くない訳

 NHKの朝の連続テレビ小説「つばさ」ははっきり言って面白くない。

 先日、新聞に視聴率の高い番組名が載っていたが、その中にもはいっていなかった。よほど人気がないのであろう。(調べてみたら、何とワースト2位だった)

 面白くない理由を次に挙げる。

① 登場人物の設定 

 大変に礼儀正しい、家族にまで敬語を使って話す吉行和子演じるおばあちゃん。明治時代ならいざ知らず今時いるはずもなく、いたら有形文化財だ。

そんなおばあさんから生まれた母親の加乃子(高畑淳子)がハチャメチャの母親である。これもありえない話だ。 

 主役の”つばさ”(多部未華子)は大変まじめな女性で言葉遣いも今時の若者には見られない丁寧さで、家事も一生懸命にやる人物である。母親とは正反対で全く考えられない。それはいいのだが、こんなまじめなやさしい女の子が今時いる?

 母親の元恋人の斉藤興業社長(西城秀樹)というヤクザな人物が簡単に1000万円を貸したりつばさのボディガードになったり狂言回しをしているのも変。

 地域ラジオ放送会社を作った真鍋という男、元高級官僚のレールに乗っていたのをやめたという設定だが、言葉遣いや態度がめちゃめちゃ悪い。

 社員の3人も変なキャラクターばかり。

② 場面と状況の設定

 借金7000万円と言えば大変な金額だが、それを家を売って引っ越したくらいで賄えるなんて可能なの?

 突然ブラジルのサンバティームが現れて踊ったり、ストーカーが現れたり、ヤクザが現れたり、母親が売れ残りの掃除道具を纏って踊ったりと、どたばたも行きすぎが甚だしい。

③ これで喜劇のつもり?

 喜劇のつもりで作っているのかなんか知らないが、喜劇でもただどたばたやれば面白いというものではない。山田洋次監督が作る映画のように実際にありそうな生活の中で筋書きの中で笑いを誘うのが本当の喜劇である。

 ”つばさ”はお笑いでもなく、喜劇でもなく、単なるどたばた劇である。NHKの質も落ちたものだ。 

 主役の多部未華子が可哀想。→

Tsubasa02

 

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2009年3月28日 (土)

プッチーニ生誕150年記念映画「ラ・ボエーム」

 Photo

 ミリオン座で、プチーニ生誕150年を記念して作られた、オペラの「ラ・ボエーム」を観て来た。

 ベルランド・ビリー指揮のバイエルン放送管弦楽団とバイエルン放送合唱団の演奏である。

 ヒロインのミミはソプラノのアンナ・メトレプコ、ロドルフォには、テノールのローランド・ビヤソン、ムゼッタにニコル・キャベル(ソプラノ)、マルチェロにジョージ・フォン・ベルゲン(バリトン)。

 ストーリーは、オペラに共通の単純なもので、ラブストーリーだ。

 詳しいストーリーは、http://laboheme.eiga.com/

 全編オペラという映画を観たのは初めてである。ラ・ボエームの舞台は観た事がないのでラ・ボエーム自体初めてということになる。

 キャスチングはよくて、それぞれの役にはまっていたし、セリフが全て歌というのもよかった。

 以前にオペラのビデオ映画で、部分的に歌を取り入れたものを観た事があるが、それよりも全部がオペラというやり方がよいと思った。

 舞台パリだが、歌はイタリア語であった。定評ある戸田奈津子の字幕であったが、彼女がイタリア語も堪能であるとは知らなかった。

 雪の場面が長くて、字幕が読めないことや、字幕を読むために、歌に集中できないということがあったのはちょっと残念であった。

 ミミとロドルフが顔がくっつかんばかりにして歌うシーンがよくあったが、大声で歌うのときには、実際はどんな感じになるのだろうと思った。

 この映画を観て、更に舞台を観るとよいだろうと思う。

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2009年3月12日 (木)

「おくりびと」に感動

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 アカデミー外国映画賞を受賞して、人気が出た「おくりびと」を観に行った。最初、受賞の次の日に行ったら、映画館が小さいこともあって見られなかった。今回は600名入る大きい館で上映されたので券を楽に買うことができた。観客の殆どは高齢者であった。

 事前に何の情報も持たずに映画を観た。その方が感動が大きいからだ。私の想像では何か暗いイメージを持っていた。しかし、観終ってみるとアカデミー賞にふさわしい素晴らしい映画であった。

 まず、ストーリーがよくできている。脚本を書いた小山薫堂氏は脚本を書くのが初めてだということだが、構成が非常によくできている。

 始めに観客をワッを驚かす仕掛けや物語の縦糸としてストーリーをつないでいく「石ふみ」、亡くなった人が何度も出てくるのは当然だが、その種類と順番も計算されたものだと思う。

 それから、「おくりびと」の背景として山形の庄内盆地が選ばれたのもよい。山形市なのか酒田市なのかは私にはわからなかったが、庄内川の流れ、雪を被った山並、広がる田や畑、そこに住む山形訛りの人々など。

 また、生き物の配置もよい。産卵に来て命を費やす鮭、白鳥の群れ、圧巻は白鳥の飛翔である。

 主演の本木は戸惑いながらも納棺師として成長していく様子を好演している。社長役の山崎努も役柄にはまっていてよい。本木の妻を演じる広末も一度は拒否した夫を理解して行く姿を素直に演じているし、社員の余貴美子もはまっている。

 うまく笑いを誘い、泣かせるところもあり、暗いイメージはない。物語が進展する中で観客は自然に生や死や人とのかかわりや生き方などを考えさせられる仕組みになっている。

 映画の中のセリフに「人は生まれたときから死へ向かって生きているのだ」というのがあったが、本当は一瞬一瞬に死が影のように付き添っているのだ。

 火葬場で職員が、「ここは次の世への門です」と言っていたが、来世を信じるにしろ信じないにしろ人生の区切りとしての門ではあろう。

 私はこれまでに、幼少時の祖父の死から始まって近所の人や親戚、身内の多くの死を見てきた。昔は葬儀は家庭で行われたし、納棺は身内で行われた。それが葬儀は葬儀場で行うようになって納棺は他人の手に委ねるようになった。

 しかし、納棺師というものがあることは映画を観るまで知らなかった。自分の関わったこれまでの葬儀では、一番新しい母のときでも、葬儀屋の職員が納棺の手伝いには来ていたが、映画のような儀式はなかった。

 映画では、「ただ今から納棺の儀を行います」と言って、納棺師が家族などの見守る中で体を清めたり、着物を着せ替えたり、化粧をしたりするのだが、あのように丁寧にやってもらうのならそれもいいと納得した。

 

 

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2009年2月28日 (土)

旭山動物園物語

 「おくりびと」を見に行ったら、アカデミー賞受賞で券が売り切れ、「マンマミーア」に行ったら、一番前の席しかないという。それでやむなく伏見まで行って「旭山動物園物語」を見ることにした。

 ミリオン座へ行くと、次の上映まで2時間ほど待たなければならないという。どうしようか迷ったが結局見ることにした。上映までの時間は持っていた「ワーキングプア」という本を読むことにした。

 北海道旭川市にある旭山動物園は展示方法を「形態展示」から「行動展示」に変えて廃園の危機を乗り越えた。今ではツアーにも組み込まれて年間300万人もの見物客が全国から来るまでになった。

 その旭山動物園は、繁殖では実績を持っていたが、入園者は減るばかりで、窮余の一策のジェットコースター設置も一時しのぎにしかならず、入園者は減少した。

 市当局は、廃園にしようとする。動物園側は園長以下いろいろと工夫をして何とか持ちこたえようと努力をする。

 サブタイトルに「これは本当にあった話です」と書いてあるように何度も危機を乗り越えて見事に入園者数を増やした実話なのだ。

 私は北海道に行ったが旭山動物園には行っていないので、どんな動物園か興味津々であった。

 驚いたのは、アフリカゾウやライオンやトラやキリンを初めゴリラやオランウータンなど熱帯の動物もいることだった。

 以前は冬の間は休園にしていたのだがそれにしても熱帯の動物がいるとは。

 それらの動物たち画面いっぱいに大写しされる。動物と演者が触れ合う場面はCGなのかどうか、メスゴリラが死ぬ場面も本物らしくできていた。

 西田敏行が園長を演じ、津川雅彦がマキノ雅彦という名で監督をし、兄の長門裕之が飼育係を演じている。

 園長や飼育係などの苦労はよく描かれていると思ったが、笑いをとるとか涙を誘う場面は殆どなかった。

 文部科学省推薦で、子どもたちには見せるといいと思う。

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2009年2月18日 (水)

映画「ふるさとをください」

 ふるさとをくださいという映画を観た。ジェームス三木の脚本で、主演は大路恵美とベンガル。大路が素敵である。

 ―ーアラスジ――

 統合失調症などの精神疾患の人々の施設と作業所が、住民の反対運動を押し切って、和歌山県の紀ノ川沿いの田舎町(映画では花房町)に作られたことで住民との対立が深まる。皮肉にも、反対運動のまとめ役の娘が故郷に帰ってきて、偶然その施設とかかわりを持つようになる。そして、施設のケースワーカーと恋におちる。結婚をしたいという申し出に父親は激怒して、娘は家を出るが、父親はうつになってしまう。一方障害者同士の結婚問題も進展する。折りしも精神障害者が事件を起こしたというTVニュースから、町民を守ろうという集会がもたれる。そして・・・・劇的な終末へ。

 紀ノ川の美しい自然がこの物語を彩る。「ふるさとをください」というのは、ふるさとを失った施設の人たちも住人として受け入れて、ふるさとを分けてやって欲しいという願いが込められているのだ。

 ジェームス三木の脚本は、統合失調症に関連して起きる問題をわかりやすくまとめている。欲を言えば、統合失調症そのものについても突っ込んであるとよかったとは思う。

 統合失調症は、以前は精神分裂症と呼ばれていた。如何にも人格を無視した病名であった。そのためにやたら恐怖感を人に与え、端から拒否反応を示す人が多かった。また、精神病院に閉じ込められ人権無視の扱いを受けていた。

 統合失調症についての研究と脳科学の研究の進歩は軌を一にしていて、1990年代以降に大きな進展を見せるようになった。

 今では、誰でも罹りうる病気であり、治療法も進んで来ている。しかし、映画の中でも言っているように、日本ではまだまだ世間一般の見る目は厳しく、理解されていない部分が多い。 まさにこの映画のような状況が見られるのだ。

 小泉・竹中構造改革の負の遺産として、精神疾患を患う人が急増してきた。有名人も含めて”うつ”を始めとする心の病が広がっている。それは、脳の伝達機能の異常が原因であり、特定の人が罹る病気ではなく、誰でも何時でも罹る病気なのだということを理解すべきである。

 大事なことは、社会が暖かい目で見て接し、病が進まないように、あるいは治すことを助けるように、仕事に復帰できるように見守ることである。

 この映画「ふるさとをください」は、市中の映画館で上映され多くの人に見てもらいたいと痛切に思った。

http://www7.ocn.ne.jp/~ichibaku/data_movie.htmlPhoto

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