14日に知人の佐藤さんの紹介で、イプセンの「人形の家」を見に行った。俳優座劇場プロデュース公演で、特殊陶業市民会館ビレッジホールで上演された。何と2時間40分の長い劇であったのでさすがに疲れてしまった。
キャストは
ノーラ・・・・・土居裕子
ヘルメル・・・・大場泰正
クロスタ・・・・畠中 洋
リンデ夫人・・・高橋美沙
ドクトル・ランク・・進藤忠
ヘレーネ・・・・長浜奈津子
アンサンブル・・5人
音楽劇で時々オペラのように歌が入った。また、アンサンブルの若い歌手5人が舞台に現れてバックコーラスを務めていた。
舞台装置も変わっていて、中央に回転する大きな絵がありそれが回転すると舞台が変る仕組みであった。大きな家の部屋が舞台でマントルピースや書棚やソファなどが置いてあった。クリスマスイヴからの3日間をその舞台だけで演じられた。
1時間10分の第一部ではノーラは出ずっぱりで、セリフを言ったり歌ったりしていたが、大変な役どころでよく覚えられると思った。主役のノーラを演じた土居裕子は63歳だそうだが、若く見えた。
パンフによると、幼い子供体に慕われ、夫には可憐な妻として可愛がられるノーラ。弁護士の夫は間もなく銀行の頭取に就任が決まっている。
ある日、クロスタと名乗る男が訪ねて来る。彼は銀行に勤めているが評判がよくなく、ヘルメルは彼を解雇しようとしていた。それをやめさせるため、ノーラからヘルメルに頼むようにやって来たのだ。
実はクロスタはノーラの過去の秘密を握っていた。ヘルメルが重病になり多額の療養費が必要になったとき、ノーラは借用証書の保証人のサインを偽造してヘルメルに内緒で借金をしていた。クロスタはその相手であり、解雇されるならその事実を暴露すると脅す。
ノーラは愛する家族の生活が壊われてしまわぬよう、必死にヘルメルに懇願するのだが・・・・
サインの偽造は大罪であった。8年後にそれを知った夫は禿すくノーラを責め立てる。ノーラは自分が夫の所有物でしかなかったことを悟り家を出る。
「人形の家」の日本での初演は1911年(明治44年)松井須磨子が演じた。「かもめ」のニーナ、「ハムレット」のオフィーリアと並びノーラは女優の憧れる役のひとつといわれる。
しかしながら、イプセンのリアリズム世界が現代人には馴染みにくいものになって来た。そこで新たな音楽劇を目し再創造の試行錯誤が行われ、2017年に高い評価をえたそうだ。
ダイヤローグ(対話)とモノローグ(独話)で成り立っている緻密で重厚な台詞を整理して、アンサンブルを入れ、30曲にも及ぶミュージックなんべーを配した。音楽は素晴らしいと思った。
非常に惜しいと思ったのは、肝心のダイヤローグのセリフの声が小さく出ききとれなかったことだ。歌の部分は何とか聞きとることができた。それで概略は分かったのだが、リンデ夫人とクロスタの関係やドックトル・ランクとノーラの関係などが分からなかった。それで消化不良に陥ってしまった。
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