山紫水明
日本人は誰でも知っていて歌える有名な曲のナンバーワンは「ふるさと」である。この歌の3番の歌詞は、「志を果たしていつの日にか帰らん 『山は青きふるさと 水は清きふるさと』」である。これは「山紫水明」というフレーズから来ている。
私が育った故郷は南紀新宮市である。高等学校の校歌の中にも「山紫に水清く」と山紫水明が入っている。
新宮はユネスコに登録された熊野古道の一部である。山紫水明の通り、熊野川という大きくきれいな川の河口にある。市街地は紀伊の山が連なるところと太平洋の間の狭い平地にある。市街地にも低い山がある。まさに山紫水明なのだ。高等学校もすぐ山ノ下にあるし、私の出た小学校も山の下にある。
山を歩いたり、川で遊んだりしたものだ。熊野古道で駆け回ったのは今になると良い思い出である。小鮒を釣ったことはあるが、ウサギを追ったことはない。
私は新宮で生まれたのではない。父親は仕事の関係での移住者であった。だからいつの日か帰ることはないが懐かしい土地である。歳を取って同級会も消滅したので訪れる機会がなくなったが思い出の中にあるふるさとである。「ふるさと」の歌の3番を歌うと蘇ってくるふるさとだ。
9月29日のNHKテレビニュースで熊野古道を新宮市の速玉神社まで歩く企画を報じていた。100人ほどの参加を予定しているとか。画面に速玉神社が映ったが、懐かしい神社である。戦時中小学生の時は学校行事として毎年速玉神社まで行軍をしてお詣りに行ったものだ。私が3年生で級長のときはクラスのみんなの先頭に立って行進しのを思い出す。
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