高いサンマを買って
スーパーへ行くたびにサンマを見かけるが、今年のサンマは小さくて細いような気がする。それなのに値段が高い。2匹で400円ぐらいのことが多い。
15日にスーパーへ行ったときサンマを売っていたので思い切って買うことにした。写真のように細くて小さいサンマが316円で売っていた。
私は大人になるまで南紀新宮市に住んでいたので、魚と言えばサンマであった。現地ではサンマとは言わず、「サイラ」と言っていたと記憶する。ネットで調べたら関西では「サイラ」というようだ。
サンマが獲れるようになると行商のおばさんが毎日サンマを売りに来た。我が家では魚屋やでもサンマを買っていたので毎日サンマを食べていた。1日に2回食べることもあった。
近くの太平洋で穫れたサンマは油が少なかったが、そのためにサンマを酢に漬けて置いてサンマ寿司が作られていた。特に正月にはどこの家でも暮れのうちからサンマ寿司を作っていた。友だちの家に行くとサンマ寿司が出された。今はサンマ寿司は熊野名物としてスーパーでも売っているので買うことができる。
子どもの時からサンマを食べて育ったので、サンマが大好きである。だからサンマを見ると食べたくなるのだが、高いので躊躇してなかなか買えない。
我が母校新宮高校の前身の新宮中学出身の文豪佐藤春夫には有名な「秋刀魚の歌」という詩がある。
佐藤春夫 秋刀魚の歌
あはれ
秋風よ
情〔こころ〕あらば伝へてよ
――男ありて
今日の夕餉〔ゆふげ〕に ひとり
さんまを食〔くら〕ひて
思ひにふける と。
さんま、さんま
そが上に青き蜜柑の酸〔す〕をしたたらせて
さんまを食ふはその男がふる里のならひなり。
そのならひをあやしみてなつかしみて女は
いくたびか青き蜜柑をもぎて夕餉にむかひけむ。
あはれ、人に捨てられんとする人妻と
妻にそむかれたる男と食卓にむかへば、
愛うすき父を持ちし女の児〔こ〕は
小さき箸〔はし〕をあやつりなやみつつ
父ならぬ男にさんまの腸〔はら〕をくれむと言ふにあらずや。
あはれ
秋風よ
汝〔なれ〕こそは見つらめ
世のつねならぬかの団欒〔まどゐ〕を。
いかに
秋風よ
いとせめて
証〔あかし〕せよ かの一ときの団欒ゆめに非〔あら〕ずと。
あはれ
秋風よ
情あらば伝へてよ、
夫を失はざりし妻と
父を失はざりし幼児〔おさなご〕とに伝へてよ
――男ありて
今日の夕餉に ひとり
さんまを食ひて
涙をながす と。
さんま、さんま
さんま苦いか塩つぱいか。
そが上に熱き涙をしたたらせて
さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。
あはれ
げにそは問はまほしくをかし。
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