G7広島ビジョンをめぐって
核兵器についての「広島ビジョン」について、どのように報じられているかネットで調べた。
毎日新聞は 核兵器廃絶を目指す「カクワカ広島」という若者の団体を取り上げた。「核軍縮に焦点を当てたG7サミットの首脳声明『広島ビジョン』が発表されました。率直なところ、内容に驚きはありませんでした。残念なのは、せっかく首脳たちが広島に来て平和記念公園を訪れ、原爆資料館を視察し、さらに被爆者の小倉桂子さんとの対話もしたのに、声明には『被爆者』という言葉がどこにもなかったことです。被爆者という言葉なくして核廃絶を語るのは難しいと思います。広島に来て、見て、聞いたことが文書に反映されていない。首脳たちがどう感じたかが出てきてこそ説得力が出ると思うのですが、これならば広島に来なくても発することができた内容です。」
「広島で開かれなくてもできた内容だ」というのはその通りだ。聞く耳を持つと自称する岸田首相はよく聞くべきだ。
日経新聞は簡単に「広島ビジョンとは 核抑止・核軍縮の両立探る」としただけだ。
中国新聞は地元だけに次のように報じた。
「先進7カ国(G7)の首脳たちが19日に合意した『広島ビジョン』は、サミットでは初の核軍縮に特化した文書だ。それ自体は評価すべきだが、肝心の中身は自分たちの核保有・核依存を堅持したに等しく、被爆地広島にとって受け入れがたい。
G7メンバーの米英仏の核は不問に付している。4月のG7外相会合を踏襲し、核兵器は『防衛目的のために役割を果たし、戦争および威圧を防止すべき』と主張。核兵器は役に立つ、核抑止は必要―。そう再確認した形だ。」
時事通信のインタビュー
(ICAN)のダニエル・ホグスタ暫定事務局長は、先進7カ国首脳会議(G7サミット)で19日に発表された核軍縮に向けた声明「G7首脳広島ビジョン」について「新しい内容がなく期待外れ」と厳しく批判した。時事通信とのインタビューで語った。
ホグスタ氏は、被爆地の広島にG7首脳が集まったことを評価しつつ、「平和記念資料館や被爆者との面会で感じたことがあるはずだが、声明に全く反映されていない」と指摘。「写真を撮って献花するだけでは意味がない」と嘆いた。
朝日新聞は22日朝刊の社会面で平岡元広島市長を取り上げた。
1991年から2期8年にわたって広島市長を務めた平岡敬さん(95)は「岸田首相は、ヒロシマの願いを踏みにじった。」と憤りを隠さない。「広島に集まるならば核を全否定し、平和構築に向けた議論をすべきだった」しかし、G7首脳が19日に出した核軍縮・核不拡散に関する「広島ビジョン」では、核抑止力維持の重要性が強調された。「一貫して核と戦争を否定してきた広島が、その舞台として利用された。議長国・日本の岸田首相は罪深い」と指摘する。
朝日新聞によると、カナダ在住のサーロー節子さんは、G7首脳声明を読み失望した。「これだけしか書けないのか。死者に対しての侮辱だ」。核兵器禁止条約についても一言も触れなかった。「サミットは大変な失敗でした」と述べた。
核禁止を目指すべきなのに、核抑止力についても両論併記され、むしろ抑止力が強調された感がある。G7には米国など核を保有する国があるとはいえ、残念である。議長国の日本は米国の核の傘の下にあり、核禁兵器止条約の批准もできていない。
被爆地広島でG7を開いた、平和記念資料館を視察した、慰霊碑に献花をしたというだけでは広島まできた意味がないといえよう。
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