岸田首相のワシントン初詣
岸田首相のワシントン初詣は歴代首相が就任して半年前後で訪問を果たしているのに対し、1年3か月も要したという。岸田首相にとっては悲願の達成ともいうべきものであった。
岸田首相は「大変厚く親密な対応をしていただいた」と成果を誇ったというが、バイデン大統領がホワイトハウス正面玄関で岸田首相を出迎えたことを喜んでいるらしい。
しかし、朝日新聞によると、首相が言うように「厚遇」だったとは必ずしも言えないという。昼食を含めて約2時間の会談後、共同会見や夕食会はなかったのだ。
06年の第一次安倍政権発足移行、これまで訪米して首脳会談をしたのは13回だが、共同会見や共同記者インタビューが行われなかったのは今回が3回めだという。
今回の首脳会談は、日本側の強い希望を受けて設定されたものだという。岸田首相は昨年5月に東京でバイデン氏との会談で打ち出した「公約」を12月、バイデン氏に「公約」した方針に沿い、安保関連3文書を閣議決定した。それを直接バイデン氏に伝える機会としてワシントン訪問を位置付けていた。バイデン氏が支持したのは当然のことである。シナリオ通りに事が運んだのを喜ばないはずがない。
日本国民の理解を得ないでバイデン大統領の意向に沿うよう「公約」し、それを土産にワシントン詣でを実現したというのだ。とんでもないことである。安保によって日本は米国の核の傘の下にいるとはいえ、米国のご機嫌をとることを大事にするとは何とも情けないことだ。
安保関連3文書の閣議決定を岸田首相は「吉田元総理による安保条約の締結、岸元総理による安保条約の改定、安倍元総理による平和安全法制の策定に続き、歴史上もっとも重要な決定の一つだと確信している」とワシントン大学院での講演で述べたと言われる。
安保関連3文書の改訂や、防衛費増額方針の決定など防衛力強化を自賛したのだ。確かに歴史的な決定に違いないが、それを評価するのは歴史である。将来どのように評価されるのか未知数であるが国民を無視したものである。
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日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
ご承知の様に、この文面は日本国憲法の前文である。しかしながら、最近の世論調査によると防衛予算の拡大に賛成する国民が半数以上らしい。昨今の国際情勢をみると、残念ながら多くの日本国民は平和を愛する諸国民の公正と真偽を信頼できなくなったということであろう。ロシアのウクライナ侵攻が大きく影響していると思う。きれい事では平和は守れないということなのか。専守防衛が戦後の日本の防衛に関する国是であった。しかし安保3文書では敵基地反撃能力の保持を明文化している。俗な言葉で言えばやられる前にやり返す。である。台湾有事になれば集団的自衛権の発動で、中国から攻撃を受けていないにも拘わらず、日本は米国と戦わなければならない。アメリカのシンクタンクのシミュレーションによると日本は甚大な被害を被ると予測している。高らかに平和を宣言している憲法9条の条文からは大きく逸脱している。憲法9条の形骸化は言われて久しいが、これでとどめを刺されたと言うべきであろう。もっと言えば憲法9条の空文化、死文化である。これでは立憲主義からはほど遠い。筋から言えば憲法を改定してからやるべき事である。運用でごまかせるレベルを遙かに超えている。反戦と平和を党是とする公明党はどうなったのか?現在自衛隊員の募集は大変らしい。
今後、自衛隊に入隊しようとする若者は増えるのであろうか。そうなると次に来るのは徴兵制度の復活だと思うが如何?タレントのタモリさんが時代の空気を表して「新しい戦前」と言ったことが話題になっている。これほど先行き明るい見通しのない新年は初めてである。
投稿: Toshi | 2023年1月17日 (火) 19時57分