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2022年10月 9日 (日)

和歌山通信より、新型コロナウイルス対策92号―その①

 創意ある優れたオミクロン対策を講じている和歌山県のオミクロン対策92号を2回に分けて紹介する。

 

 令和4年9月8日、 岸田総理がコロナ対策のうち保健医療行政に関する制度改正を発表し、 新制度は9月26日から施行されることになりました。 それ以前、 全国知事会の要請を受けて、 8月24日、 岸田総理が、 それぞれの県の方針で、 コロナ患者のいわゆる全数把握を廃止して、 高齢者や病気のある人など重症化リスクの高い陽性者のみを報告の対象とし、 残りは保健所などの公的機関への報告をしなくてもよろしい、 としてもよいという決定をされてから、 今回の決定はその続きということになります。 今回は都道府県の任意ではなく、 全国一律にそうするということなのです。

 そもそも、 これは何じゃということを理解している人は少ないと思われますので、 制度の背景から説明しますと、 以下の通りです。 まず、 コロナは感染症法の新型インフルエンザ等感染症の2類相当ということになっていまして、 コロナの陽性を確認した医療機関は保健所などに必ず報告をしなければならないと定められています。

 その報告は、 厚労省の作ったHER-SYSというシステムへ入力を要しますが、 この入力事項がやたら細かく、 入力は原則的に医療機関など陽性を発見した者が行わなければならないので、 これは大変な負担になっていると言われていました。 医療機関は患者の命を守ることが本務なのに、 こんな報告に多大の時間を要していては本務に力が割けないではないかということです。

 しかし、 考えてみたら、 そもそも入力の項目が多すぎるのをまず簡単にしたらいいのにと誰でも思うことを最近までやってこなかったし(6/30簡素化)、 入力を現場の医師にやれと命ずる代わりに、 医師の労力軽減のために誰か別の人ないし組織がこれを肩代わりしてやれば済むことではないかと考えるのが当然の流れであると思います。

 そういう工夫をしないで、 大変だ大変だと特に感染症法の元締めである国や県が騒ぐのは、 そもそもそういう人たちの職務怠慢か想像力の欠如だと私は思います。 現に和歌山県では全数把握のおかげで大変だ、 不都合が起こっているぞという声はありませんでした。

 何故ならば、 さっさと県が工夫して、 保健所に生のデータを出してもらえば、 面倒な入力は保健所で肩代わりします、 それも保健所の職員が疲弊しないように保健所業務支援センターという組織を位置付けて、 入力は専門業者が行っているので、 問題は生じていませんでした。

 むしろ問題は、 全数把握の廃止を無理にやると、 クリニックなどコロナ対策に協力してくれている人々に迷惑がかかり、 新型コロナ患者の入院を受け入れている病院の入院調整がしにくくなってしまうという問題が生じることなのです。

 何故ならば、 新型コロナの陽性患者を発見してくれたクリニックは、 それまでは保健所に報告しておけば、 その後のその人のケアは保健所が行ってくれていたのに対し、 保健所に届け出ないこととなって、 その患者さんが診察時は軽症であったので自宅療養をしていたらその後悪化したとき、 その人を入院させるかどうかを判断し、 入院の手配をしないといけないことになりますが、 全体を見ていないクリニックの先生方がそんな責任を負わされたってできるわけがないということになるからです。

 入院調整は大変です。 病床には限りがある上に、 特にICU、 HCUなど命の危ない重症者の命を守るための病床は特に限られており、 誰を入院させるかのトリアージは本当に難しいからです。 感染症法がなく、 保健所のないヨーロッパなどで、 新型コロナの初期のころ、 入院調整がうまくいかなくなって死ぬ人が続出したことを、 その映像とともに覚えておられる人がいるでしょう。

 和歌山県の保健医療行政はこの困難な仕事を全部引き受けて、 何とかやりくりをしてきたのですが、 それが保健当局に情報が入らないとできなくなるということが、 お分かりになることと思います。

 したがって、 和歌山県は8月24日時点の任意の時は、 全数把握を続けるという立場を維持しました。 あれだけ全国知事会で多くの知事が全数把握の廃止を叫んだのに、 政府の決定があった時直ちに全数把握をやめると決断したのは、 全国知事会の意見を集約して政府と渡り合った鳥取県はじめ4県にすぎません。 (後で少し増加)

 あれだけ皆で主張して平井会長に全数把握廃止の代弁の労を取らせた多くの県はどうなっているのかと私は思いました。(鳥取県は、 和歌山県のように、 全数把握でも何ら不都合なく日常的な業務を果たしていたのですが、 全国知事会を代表して全数把握廃止を政府に要求した手前、 自らが全数把握をやめないと示しがつかないと、 廃止に踏み切ったのは気の毒でした。 )

 このように多くの県は自らの意思で全数把握を続けていたのです。 しかし、 どういうわけか9月8日に岸田総理が下した決定は全国一律の全数把握(全数届出)の見直しでした。
 

 いつも情報をいただいている東京大学名誉教授の黒木登志夫先生は「総数把握は疾病対策の基本。 総数把握が医療逼迫の原因のような乱暴な議論が専門家会議と政府から出てくること自体が驚きで、 総数把握が困難なら、 その原因を探り、 改善することが専門家の責任である。 簡略化とデジタル化で問題は改善される。 」と言われ、 また「総数把握をやめた5つの県では実効再生産数も年齢別感染者数も出せない状況になっている。 」と指摘しておられます。 

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