地球上の生きものは共通祖先をもつことを知った
知人のHさんが貸してくれた「老いを愛ずる」(中公新書)という本を読んだ。著者は生命誌研究している中村桂子さんという研究者である。
この本の80ページに「生き物はみんな仲間」というコラムがあり、その中に「全ての生きものの共通祖先なる細胞は、38億年ほど前に海に存在したことがわかっています。つまり今地球上にいう生きものは、皆38億年近い長い歴史をもっているのです。」と書いてあった。そのページには扇子を広げた写真があり、扇子の紙の部分にはさまざまな生きものの絵がかいてあり、扇子の要の部分に細胞が描いてある。生命誌絵巻というのだそうだ。
38億年前の海の中の細胞から今ある数千万の地球上の全ての生きものができたということを初めて知って驚いた。同時にどうしてそんなことが分かるのだろうかとも思った。
全ての生きものが先祖を遡っていくと38億年前に細胞に行きつくというのはすごいことだ。私も38億年の歴史を持って生れて来たのだ。ただ、残念なことは私には孫がいないのでこの先の歴史を作ることはできない。
今世界を騒がせているコロナウイルスも38億年につながる共通の祖先から発しているのだと思うと不思議な感覚に襲われる。
私たちは虫やカエルなどの小さな生きものをむやみに殺してはいけないと教えられたし、教えて来た。それは「命」があるからだという理由であった。そのとき仲間という意識は全くなかった。知らなかったからだ。学校などで教える時命の他に仲間だということも含めることが大事である。
私は核や地球温暖化について考える時地球上の生きものたちを念頭に置く事が大事だと思って来た。行きとし生けるものは共通の祖先から進化した仲間だと知っていっそうその思いが強くなった。
生命誌という名前も初めて知ったがもっと知りたいと思う。下にコラムを引用しておく。
【”いのち”とか”生きている”ということを考える時、普通は人間のことだけを考えがちです。身近なぺっとや庭の草花を思い浮かべる時も、やはり人間中心になります。でも、生命誌では、”生きている”という言葉でまず地球上に存在する生きもの全てのおことを考えます。
地球上に様々な動物(この仲間には、鳥・魚・昆虫なども入ります)や植物はもちろん、、目に見えないバクテリアなどもあり、その種類は数千万種に及びます。それぞれの特徴を生かして生きる異なる生きものたちですが、すべての生きものに共通することがあるのです。それは細胞でできていること。しかもその中に必ずDNAという物質が入っていて、それが遺伝子の役割をしていることです。
数千万種もの生きものが共通性をもっているのは、一つの祖先細胞からすべてが進化し、今の生きものたちになってきたからなのです。もちろんその中に人間もいます。まず「生き物はみんな仲間」という事実を忘れずに、全ての生きものに仲間としての眼差しを向けることが出発点です。もちろん大きな動物は怖いとか虫はちょっとダメなど苦手意識は誰にもありますね。どれも同じように好きとはいかないのは仕方がありません。でも仲間ということは忘れないぢることは大事です。
全ての生きものの共通祖先なる細胞は、38億年ほど前に海に存在したことがわかっています。つまり今地球上にいう生きものは、皆38億年近い長い歴史をもっているのです。ここに一匹のアリがいたら、その親、さらにその親を辿っていくうちに必ず38億年ほど前の祖先細胞に戻ります。人工的にアリを作り出すことはできません。38億年近い長い時間がなければ、アリは存在しないのです。小さな生きものも粗末には扱えません。
一つ一つの生きものが長いいのちの歴史の中にあるのです。私たち人間もその中の一員であることを忘れずにいれば、生きものを大切にする気持ちはおのずと生まれてくるのではないでしょうか。】
JT生命誌研究館 大阪府高槻市紫町1-1
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