NPTへの首相の参加
岸田首相は米国で開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議に日本の首相として初めて出席して演説をした。被爆地広島選出の岸田首相は「核軍縮をめぐる国際社会の分断。ロシアの核兵器による威嚇。『核兵器のない世界』を目指す国際的な機運が著しく低下している。こうした厳しい状況にあるからこそ、日本の首相として初めて出席し、機運を反転させ、盛り上げていく」と意気込んで出発した。
首相の意気は買うが、今回の演説で核禁止条約には触れず、核保有国と非核保有国との橋渡し役のコトバも入らなかった。日本は6月に開かれた核禁止条約の第1回締約国会議のオブザーバー参加も見送っていた。首相のこうした態度には腰が引けているものを感じる。
日本は世界でただ一つの被爆国として、広島と長崎の2か所で被爆体験をしている。格兵器の恐ろしさを身をもって知っている唯一の国なのだ。現在の核兵器は当時とは格段の進歩をしている。もし核兵器が使われたらどうなることか想像するのもおぞましい。
日本は核兵器廃絶に向けてのリーダーであるべきだし、核保有国以外の世界からそれを期待されている。本来なら核兵器禁止条約に率先して参加し批准すべきであったのだ。核保有国に堂々と対峙して核廃絶先頭に立つべきである。
首相は「各国指導者らに被爆地訪問を促し、被爆の実相に対する正確な認識を広げる。国連に1千万ドルを拠出する基金で未来のリーダーを招く」と演説で述べた。それも大事なことではあるが、日本の首相の姿勢としては余りにも腰が引け過ぎている。
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