全国戦没者追悼式典を見て
15日の昼にテレビをつけたら全国戦没者追悼式の中継をしていて岸田首相が式辞を述べていた。安倍元首相の唱えた「積極的平和主義」の文言が耳に飛び込んできた。それを聞いて岸田首相は安倍元首相を引き継ぐのだと知った。
「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」と誓ったが、「積極的平和主義」は国際協調路線を前提にしているが、北朝鮮や中国を仮想の脅威とした日米同盟の強化が主眼である。そのために、安倍政権は「国家安全保障会議(日本版NSC)の創設」(13年12月)、「武器輸出3原則の見直し」(14年4月閣議決定)、「集団的自衛権の行使容認」(14年7月閣議決定)など、軍事的関与の基盤整備を進めてきた。事実上の憲法改正を行って米国の要請があれば自衛隊の海外派遣も視野に入れたものだ。
岸田首相の式辞は菅元首相や安倍元首相の式辞とほとんど同じだと指摘されている。この延長で憲法改正にも積極的に取り組むのであろう。岸田氏は安倍氏と一線を画すと期待していたが全く外されてしまった。
ところで全国戦没者追悼式典を見てもう一つ感じたことがある。それは日本が軍事作戦を広げ、中国だけでなく東南アジアまで戦域を広げて、多くの国に計り知れない惨禍をもたらしたことへの加害責任や謝罪の言及がなかったことだ。
これは安倍政権になってからのことで、菅氏も踏襲したが岸田首相も引き継いだ。実に残念でならない。近隣諸国派の加害責任を述べることがなぜできないのであろうか。そうすることこそが「積極的平和外交」である。
私は対象を日本の戦没者310万人だけでなく、日本軍によって被害を受け亡くなった近隣諸国の人々の御霊を追悼する式典にするのがよいと思うのだ。
「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」と誓った「戦争の惨禍」は、日本だけでなく日本が加害した諸国の惨禍、ひいては未来永劫に日本は軍事力による惨禍を引き起こさないということであるべきだ。
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広島出身の首相ということで、子供の頃から原爆の被害についても被爆者の話や学校でいろいろと学んできただろうと思い、少しは期待もしましたが、遠縁のサーロ節子さんも、岸田氏の広島平和式典での演説を聴いて、この人は意図的に核兵器禁止条約には一言も触れなかったと感じたそうですが、その通りですね。広島出身の首相だから、彼にしかできないことがあるはずです。それは核兵器禁止条約に批准して唯一の被爆国として決して核兵器を使わないことを、世界の先頭に立って訴えてほしかったのですが、やはりむなしい夢でした。未だに総理になる手助けをしてもらった安倍に恩義を感じて、積極的平和主義などと言う寝言を踏襲し、憲法9条を改悪することに熱を上げています。無念の思いでなくなった被爆者や学徒動員や特攻隊をはじめ310万人を超える戦争の犠牲者や、我が国の軍国主義の犠牲になった中国や朝鮮、東南アジアの国々の人々に対して、何を思うのでしょうか。きっと取り巻き連中は戦前のように威勢の良いことばかり言う連中ばかりで、平和を願う気持ちなどどこかで消えてなくなってしまったのでしょうか。
投稿: danny | 2022年8月17日 (水) 14時16分