叩かれて昼の蚊を吐く木魚かな
「叩かれて昼の蚊を吐く木魚かな」という俳句が頭に浮かんだ。誰がつくった俳句か知らなかったのでネットで調べたらなんと夏目漱石だと分かった。
ちょっと滑稽なところがあり、小林一茶なら作りそうな俳句である。家庭にある小さな木魚では中に蚊は入らないだろうと思っていたら、解説にはお寺の法要の時のことを詠んだものらしい。お寺の木魚なら大きいから中に蚊が入るかも知れない。
僧侶がお経を読みながらポクポクと木魚を叩いたら中にいた蚊が飛び出してきたというのだが漱石はそれを目撃したのだろう。そうでなければ想像だけでは詠めない。そう思っていたら、やはり漱石が法要で見た情景を洒落を込めて詠んだとあった。漱石は落語が好きだったので、ユーモアのある俳句になったそうだ。
ところで江戸時代に大田南畝(蜀山人)が「叩かれて蚊を吐く昼の木魚かな」というのがあるそうで,発想はそっくりである。漱石がその句を知っていたのかどうかは分からないが、偶然にしたら奇跡的なものだ。
ちなみに、漱石の句は「昼の蚊」に焦点があり、蜀山人の句は「蚊を吐く木魚」に焦点があるという解説があった。その通りだと思う。
江戸時代にも法要で目撃されているのだから、お寺の木魚には蚊が潜むことがよくあったのかもしれない。
お寺の周りはたいてい藪や木に囲まれているし、池もあるから水もあちこちにあり蚊が繁殖するには好適地である。蚊は気温が25度を超えると、卵から成虫まで10日で成長するものもあるという。また、少しでも水たまりがあれば、卵を一度に100個も産卵するそうだ。だから蚊が本堂に入り木魚に隠れたとしてもおかしくはない。
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