国連総会は2日、ロシアのウクライナ侵攻を非難し、軍の即時撤退をロシア政府に求める決議を賛成多数で採択した。193加盟国のうち141カ国が賛成する一方、ロシアやベラルーシ、シリア、エリトリア、北朝鮮の5カ国が反対し、中国を含む35カ国が棄権した。ロシアの同盟国であるセルビアもロシアのウクライナ侵攻に反対したという。賢明な選択だ。
反対した5カ国はわかるが、棄権したのが35カ国もあったというのは残念である。その中に中国とインドという大国が含まれている。
中国の張軍・国連大使は、中国の棄権について説明し、今回の決議は「全加盟国との十分な協議」を経たものではないと述べた。訳の分からない理由である。
ロシアがウクライナへ軍事侵攻したので、各国が語気を強めてロシアへの非難を表明したが、中国は「侵攻」「侵略」といった表現を使わず、欧米による対ロシア制裁には同調していない。
Yahooニュースに「中国の『歯切れ悪い対応』の理由」という記事があった。
以下のような中国の微妙な立場を反映しているというのだ。
●米国を中心とする欧米との対立が深まる中国にとって、対ロシア関係に配慮する必要は従来以上に高まっている。
※ロシアとの関係はその通りであろう。ウクライナとの関係はというと。
●ウクライナは中国にとって、習近平氏の政治スローガンである「一帯一路」の重要戦略パートナーである。
※これはテレビ新聞で報じられている。
●中国は歴史的にウクライナを主権国家として認めてきており、習近平政権以降では2013年末、友好協力条約締結、また戦略的パートナー深化のための共同声明を発出し、「ウクライナが侵略を受け、またはその脅威に晒された場合には、中国は同国に国家安全の保証を提供する」とうたっている。
※ウクライナと上記の様な約束があるのなら、どうしてウクライナを支援しないのであろうか。ウクライナはロシアに侵略を受け、市民が住む市街地まで無差別に攻撃され、庁舎や学校や病院などの施設まで爆撃されて、多くの市民が犠牲になっているではないか。
●中国は一貫して、「国家主権尊重・領土不可侵」を外交原則として強調している。
※本当にそうなのか領土不可侵と言うのなら、なぜ尖閣列島に手を伸ばして来るのか。南太平洋に領土拡張で進出しているのか。
●中国自身、国内にウイグルなどの分離独立運動を抱えている関係上、ウクライナ東部2州の独立といったことは認め難い。
※これはその通りかもしれない。そうならロシアの侵攻に反対すべきである。
いずれにせよ、国連総会の決議はロシアの「ウクライナに対する攻撃」に「遺憾の意を表する」とした。国連総会の決議に法的拘束力はないものの、政治的には意義がある。ウクライナにとって象徴的な勝利であるといえよう。ロシアの国際的な孤立が明瞭になったのだ。
問題はプーチンがウクライナ攻撃をやめないことだ。あらゆる手を尽くして一日も早く停戦させてほしい。
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