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2022年2月12日 (土)

再び、高梨選手の失格について

 高梨選手がスキージャンプ混合団体で失格した問題は外野の我々にも大ショックであった。しかも、高梨選手だけでなくドイツなどの4選手も失格という異常な展開となった。

 最大の疑問は、5日に行われた女子個人戦で5人とも同じスーツを着ていたにもかかわらず、失格になっていなかったことだ。

 試合後マテリアルコントロール(道具チェック)責任者でポーランド人女性のアガ・ボンチフスカ氏は「新たな測定の手順は一切踏んでいない」と主張していた。

 同種目で世界選手権を4連覇しながら、失格の影響で五輪初代王者を逃したドイツでは、ほぼ原因を断定した。女子選手の測定に、通常はいないはずの男性コントローラーが突然介入し、大混乱を招いたというのだ。

 2002年ソルトレークシティー五輪団体金メダリストのスベン・ハンナバルト氏は、女子のスーツ測定に男子担当者が〝介入〟したことを挙げたという。

 団体戦で着用したスーツは個人戦で女性のコントローラーがOKを出したものだったが、団体戦では男性コントローラーが違うやり方で測定したことから今回の大混乱が起きたと指摘したという。
 

 通常ならマテリアルコントローラーは男子種目には男性、女子種目には女性が担当。しかし今回の混合団体では、男性コントローラーが突然、女子の測定にもついてきたという。
 

 この男性担当者は、非常に厳格な測定で知られるフィンランド人のミカ・ユッカラ氏。ハンナバルト氏は、ユッカラがルール厳守を示すのはいいことだが、よりによって五輪でこの厳しさは…。女子選手にとって厳しすぎた。試合の1日か2日前に、ユッカラが『自分のガイドラインに従って適切にコントロールする』と、女性たちに伝えるべきだった。または女子には女性のコントローラーがつき、ユッカラはいつも通り男子をコントロールすべきだった」と猛批判したそうだ。

 男性コントローラーが介入したのにはどんな意図があるのか。今回のチェックは競技後に行われたが、チェックは競技前に行われることもあるようだ。失格とならないようにチェックの仕方を変えるべきであろう。

 高梨選手はインスタグラムに、真っ黒な画面とともに、謝罪の文を投稿した。それを読むと高梨選手は失格をすべて自分の責任だと背負い込んでいる。私はそうは思わない。検査のやり方とか、スタッフのチェックミスなど外的な要因によるものである。高梨選手にはこの悲運から立ち上がってほしい。

 国際スキー連盟やIOCは今回の事件を徹底的に解明すべきである。

 なお、今回のチェックをした女性コントローラのアガ・ボンチフスカは、ジャーナリズムのインタビューに、日本代表チームが示した真摯なリアクションに対して「日本人は文句のひとつも言わない。間違いを認め、ちゃんと謝罪をしてくれます。これ以上なんら問題にはならないだろうと思います」とコメントした。一方でドイツなど他の3か国に関しては、「日本とは状況が違います。彼らは結果を引き出すために、なにが起こったのかを徹底的に問い詰めます。それはとても感情的なものなのです」と説明したそうだ。

 日本もいい子ぶっていないで欧米のように厳重に抗議をすべきであろう。高梨選手には何のミスもないのだ。

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