健康診断は要らないという説から―②―
若いころからタバコを吸い続けていても、100歳近くまで大病もせず、元気な人がいる。一方で、日々の健康管理や食事制限に積極的で体に気を遣ってきたのに、若くしてがんや心筋梗塞などに侵される人もいる。
残念だが、いまの医療技術では、遺伝にはけっして勝てないという。親が認知症であれば、子どもも認知症になる可能性が高いですし、「がん家系」といった表現があるのが現状である。
私の父は今でいう認知症になった。弟にもその気が感じられる。ということは私も認知症になる可能性があるということか。
歳をとっても衰えないように体や脳を使い続けることは大切だが、常に「節制しなければ……」と神経質にならなくてもいいと和田医師はいう。
日本は、戦前までは先進国の中でも有数の平均寿命の短い国家だったのに、戦後に一気に最長寿国になったことで、健康管理に努めれば健康で長生きできると勘違いしているという。
実際は、努力したからではなく、食べ物がよくなって栄養状態が改善したから、戦後の日本人は長寿になったのだという。その通りだと思う。学校給食が大きく貢献したし、高度成長経済もあって食が溢れ飽食の時代と言われるようになった。
健康診断を受けた人がコレステロールや血圧の数値に一喜一憂するのは、異常値が原因となって起こるといわれている動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などの重篤な病気になることを恐れ、予防したいと思っているからだろうという。
私も医者に行って血圧がちょっと高いと、脳梗塞になるといけないからと血液をサラサラにする薬を処方され、ほぼ脅迫的に飲まされている。
和田医師はいう。現在、日本の健康診断では50~60項目に関する検査を行うのが一般的だと思うが、これらのうち、健康に影響するとはっきりエビデンスのあるものは血圧や血糖値などせいぜい5項目くらいだと。
日本では、健康診断と健康状態のリンクを長期の大規模調査で追跡した研究がほとんどないと言う。それは、この手の研究を日本の大学病院の医者が嫌うのと、厚生労働省が事態を把握しておらず、研究のスポンサーがいない(薬を増やす研究は製薬会社がスポンサーになるが)という事情からだ。そのため、疾病構造も食生活も異なる海外のデータを無理に信じ込まされているというのが実態なのだという。
本当に有益なのは「心臓ドック」と「脳ドック」だそうだ。「健康診断は不要である」と言ったが、長寿社会を考えると、準備ができない突然死を避けたい人は「心臓ドック」と「脳ドック」については受ける価値があると考えているという。
健康診断は、正常値の範囲から上下どちらかに逸脱していたら「異常」と判断するだけで、人にはそれぞれ個人差というものがあるのに、それを認めずに数値だけで判断しようというシステムだという。
しかし心臓ドックと脳ドックについては、その人の状況をきちんと診るし、個人差も考慮したうえでの判断がなされるという。
コレステロール値や血圧が高いのがなぜ悪いのかというと、動脈硬化を進めるからである。しかし、その逆は必ずしも真だとはいえない。コレステロール値や血圧を正常値に抑えているからといって、「だから動脈硬化も問題はない」と思い込むのは非常に危険だという。数値が正常か異常かに一喜一憂するよりも、冠動脈の狭窄が進んでいないかどうかを実際にチェックすることのほうがよほど大事だというのだ。
心臓ドックで心臓をとりまく冠動脈のどこかに狭窄きょうさくが見つかれば、それを広げる処置が受けられるし、解離性大動脈瘤などが見つかった場合も、ある程度の処置が期待できる。
脳ドックでも、MRIによって脳の血管を見ることができ、ある程度の大きさがあれば動脈瘤を発見することができる。早期に見つけられれば、カテーテルなどを使って予防手技が受けられる。
このように、心臓ドックと脳ドックは有益な検査になりうるものだというのだ。私はこれまでに3度脳ドックを受けたことがあるが最後にやってからもう5年ぐらい経ってしまった。
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