アジア太平洋戦争の意味するもの
12月8日の朝日新聞「オピニオン&フォーラム欄に「『12月8日開戦』の意味」という記事が載った。太平洋戦争開戦の日ということで何のための戦争だったのか、回避できなかったのか、真珠湾攻撃が始まりだったと言えるのか、ということを考えたいという趣旨であった。
論者は歴史学者吉田裕氏、地理学者・歴史研究家高嶋伸欣氏の二人であった。高嶋氏の「侵略の起点 根底にアジア蔑視」という論考の中で私が初めて知ったことが2つあった。
その1は、「日本では真珠湾攻撃でアジア太平酔おう戦争が始まったという認識が一般的ですが、それは違います。海軍の真珠湾攻撃より1時間5分早く、陸軍がマレー半島の英領コタバルに上陸し、英軍と戦っています。なのに、テレビや新聞は真珠湾攻撃から始まった、と報道してきました」と述べている。
私もこの記事を読むまでそうだと思っていた。陸軍と海軍で攻撃開始時間が時差のために狂ってしまったのかどうか。陸軍の対英攻撃の方が早かったというのだが、新聞は真珠湾攻撃で赫赫たる大戦果と報じあまりにもニュース価値が大きかったのでそれが定着してしまったのだろうか。高嶋氏は「アジア蔑視の侵略行為だったと述べているが、私も同様に考えていた。
もう一つは、マレー半島上陸について、「日本軍はコタバルより少し北にあるマレー半島東岸のタイのシンゴラにも上陸しています。しかし、その前年に日本はタイの中立尊重を保障した日タイ友好和親条約を締結しています。一方的に独立国のタイに奇襲上陸したのです。ソ連軍の旧満州への侵攻は日ソ中立条約違反だと言われますが、日本もそれと同じことをタイに行っているのです」と述べている。
ソ連の満州侵攻については小学校5年の担任が、実にけしからんと我々に話し、必ずやし返すべしと言ったことが忘れられない。しかし、日本も同様のことをタイにしていたとは初めて知った。担任も死ぬまで知らなかったであろう。
ロシアのアフガニスタン侵攻とか、米国のイラク侵攻など勝手な理屈で今も他国に攻め入っている。
高嶋氏は「12月8日は、日本がアジアに侵攻する起点の日です。アジア太平洋せんそうというと、米国と戦ったという点が繰り返し教えられ、報じられてきました。しかし、そこには、あの戦争は何だったのかという問いかけがありません。
アジアの犠牲者に思いを馳せながら、日本の戦争を見つめるきっかけにして欲しいと思います」と結んでいる。
あの戦争で日本人は310万人亡くなったといわれるが、中国1000万人、インドネシア400万人、ベトナム200万人、フィリピ100万人、インド150万人など2000万人以上の現地の人々を犠牲にした。この歴史を忘れずに世界の先頭に立って平和を希求する日本であるべきだ。
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