荒唐無稽だが痛快な劇画「ドクターX」
「ドクターX~外科医 大門未知子」が面白いというので、毎回観ている。「群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけを武器に突き進むフリーランスの外科医・大門未知子」のナレーションで始まるこのドラマ、確かに面白いが、いつも違和感を感じる。それは現実の医学界とは大きくかけ離れていると思うからだ。でも、そのつもりで見れば痛快なドラマである。
日本最高峰という設定の東帝大学病院がドラマの舞台で、第7シリーズでは、100年に1度の新型コロナウイルスのパンデミックを背景にしている。「東帝大学病院」は感染治療と内科を最優先し、不要不急の外科手術は延期する方針を採用。かつて花形だった外科は別棟の分院へ追いやられ、院長だった西田敏行の蛭間は分院長に格下げされていた。そしてメスを使わない「ケミカルサージェリー」を推進する野村萬斎の蜂須賀内科部長の内科が台頭の兆しを見せていた。
フリーランスの外科医の大門未知子は、怪しい「神原名医紹介所」に所属しながらここに来ている。そして毎回、外科についての圧倒的な技術でどんな難しい手術でも成功させるのだ。そのときの決めセリフが「私、絶対に失敗しないので」である。
病院で難しい手術をたのまれても「いたしません」と一旦断る。そしてその後担当医がうまくいかないと突然手術室に現れて手術をする。
病院内での振る舞いはまさに1匹狼だが、先輩だろうと上司だろうとおかまいなくズケズケと物を言い、時には院長代理の胸倉をつかんだりする。カンフェランスの最中でも平気で勝手な行動をする。
この第7シリーズの東帝大学病院では蛭間分院長に「御意」の外科グループと内科グループが対立し、内科は蜂須賀部長の発言に内科医たちは腕を組んで顔を伏せる仕草をする。
大門が手術を終えると神原名医紹介所長の岸部一徳が現れ、メロンと超高額の請求書を持ってくる。これもおかしな話である。勝手に手術をし、それに対して費用の請求をするのだ。
最高峰の病院という設定だが、フリーランサーの外科医が勝手に手術を始めたり、内部抗争をしたり、変な仕草をしたり・・・・そういうことは絶対にあり得ないはずだ。その現実にはあり得ないことをドラマにしていることで観ている者に爽快感を与えるのだろう。人間が演じる荒唐無稽な劇画と言うべきかもしれない。
2012年の誕生以来、全シリーズで高視聴率を叩き出し、全シリーズの平均視聴率20%超えの快挙を達成。橋田賞や向田邦子賞をはじめとする錚々たる各賞も総なめにしたという。長きにわたり、名実ともに国民的人気シリーズとしての地位を確立し続けてきたそうだ。
ドクターXを演じる米倉涼子はこの役にぴったりはまっていることは間違いない。ハイヒールを履いてさっそうと闊歩し、ズバズバと物を言う自信に満ちた振る舞いは、少し冷たさも漂わせるが米倉の美貌があってこそだろう。
« 今年も年賀状を買ったが | トップページ | 昼寝は高齢者の特権説に眼を開かれた »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 「光る君へ」脚本家大石静氏へのインタビューを読んで(2024.07.02)
- 名古屋の「虎に翼」ロケ地(2024.05.31)
- やはり面白くない「光る君へ」 (2024.05.23)
- ポツンと1軒家番組(2024.05.07)
- 相変わらず面白くない「光るの君へ」(2024.03.27)
コメント