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2020年9月 8日 (火)

アベノミクス、野口氏の論考より—②―

  賃金の動向は、実質値で見る必要があると野口氏はいう。毎月勤労統計調査によれば、アベノミクスが始まった2012年の実質賃金指数は104.5だった。これが19年には99.9となった。7年間で4.4%の下落したという。

 賃金の伸びを抑えた基本的要因は、非正規雇用者を増やしたことだ。

 労働力統計によると、13年1月から20年1月の間に、雇用者は約504万人増えたが、その64%にあたる322万人は、非正規雇用者だ。これによって賃金上昇を抑えることができた。

 安倍首相は雇用を増やしたと自慢しているが、増えたのは非正規雇用者で彼らの生活は不安定である。いつ職を失うか分からないのだ。

 事実、コロナショックに見舞われた今年1月から6月の間に、非正規雇用者は105万人減少した(正規はむしろ増えている)。つまり、アベノミクスの期間に増えた非正規就業者322万人のほぼ3分の1に相当する人々が、この半年間ですでに職を失ったと指摘している。

 アベノミクスの成果として、企業利益が増加し、株価が上昇したのは周知のことである。

 企業利益の増加は、生産性が高まったためではなく、また、新しいビジネスモデルが開発されたからでもないという。

 法人企業統計で、企業の売上高などについて、2019年10~12月期を12年10~12月期と比べると、売上高はこの間に8.4%増加した。年率では1.2%であり、あまり高い伸び率ではない。それにもかかわらず、営業利益はこの間に39.9%という非常に高い伸び率になったのだ。これは非正規雇用者を増やすことによって人件費の伸びを4.9%に抑えられたからだという。

 企業利益の増加は、利益剰余金を増加させた(これは、しばしば「内部留保」といわれるのだが、正確な表現ではない)。利益剰余金は、12年には250兆円だったが、18年には450兆円を超えた。

 アベノミクスでご利益があったのは、しばしば言われるように大企業と金持ちであり、労働者は非正規雇用が増え、賃金が低く抑えられ、生活の不安を抱えることになったのだ。そこへ新型コロナウイルスにおそわれてますます状況は悪くなっている。

 日銀は、国債を年80兆円程度買い上げるとしていたが、購入額は2017年頃をピークに減少し、19年末には12兆~15兆円程度にまで縮小している。つまり、異次元金融緩和の量的緩和政策は、すでにひっそりと終了しているのだ。

 残っているのは、これまで買い上げた膨大な額の国債で、これを将来どう処理すればよいのだろうか? これがアベノミクスの第2の負の遺産だと言う。

 そして財政再建目標は、何度か延期された後、新型コロナウイルス対策の財政支出激増の中で、雲散霧消してしまった。

 破綻した財政が、アベノミクスの第3の負の遺産だと野口氏はしてきする。

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