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2020年9月10日 (木)

保健・医療行政の失敗の原因

 安倍首相は退陣を表明した記者会見で新たな新型コロナウイルス対策を発表し、「冬を見据えて実施すべき対応策を取りまとめることができた」と述べ、辞任のタイミングの理由の一つにした。

 安倍首相が語ったのは、簡易抗原検査の能力を8月時点の1日2万6千件から20万件に拡充し、かかりつけ医に相談・受診できる流れをつくることや人員強化も含む保健所体制の整備であった。

 たしか4月の時点でPCR検査を2万件にすると言ったのが一向に増えることなく、やっと1万数千件になったと記憶する。その間テレビではコメンテーターたちや専門家がやかましくPCR検査を増やせと叫んでいた。それなのに退陣の置き土産として20万件にすると言ったのだ。

 それでもPCR検査の先進国と比べると大きな違いがある。いつでも何回でも無料検査できる国があるのに、日本では簡易検査でやっと1日20万件なのだ。それもいつまでに実現されるか不明だし、4万円かかるというPCR検査料をどうするのかも不明である。
 

 7日の朝日新聞は「PCR増やせず10年 新型インフル教訓置き去り」という記事を載せた。それを読んで驚いた。記事によると「2009年から流行した新型インフルエンザを受けて翌10年、有識者らでつくる国の総括会議は、次のパンデミックを見据え、提言をまとめた。保健所やPCR検査体制の強化、情報を伝え意思疎通を図るリスクコミュニケーションができる広報体制の強化が主な内容であった」

 それから10年。新型コロナウイルスの流行で、提言が置き去りにされていたことが浮き彫りになったと言うのだ。

 厚生労働省は新しい病原体を大量にPCR検査することを想定した体制は作られず、検査数を増やせなかったというのである。

 これは全く政権や官僚の怠慢である。次の新型コロナウイルスのような感染症は来ないだろうと高を食っていたのか?それにしても10年間も放置した責任は大きいい。

 発熱してもどこへ行ったらよいか分からない、PCR検査が受けられない、入院先が見つからないなど、そんな患者が相次いで、自治体や医療現場で混乱が広がった。保健所や感染症の医療現場では体力の限界を超えさせられた。それもこれも政府の無能のなせる業であったのだ。

 その責任を取ることもせず、能天気に1日20万件に増やすとか、保健所を強化するなどと述べたのだ。

 保健所と言えば戦後、ほぼ半世紀が過ぎた1994年、効率重視の地域保健法が成立し、保健所の統廃合が始まった。保健所は広域化して数を減らし、国は補助費を削減。一方で、自治体は財政的裏付けがないまま保健業務の一部を肩代わりさせられた。保健所にも新業務が追加され、少ない人員で広域を担当し、住民との距離も開く。保健所の数は、1994年の848か所から、2019年には472か所とほぼ半減していたのだ。
 

 こうした保健所軽視の政策のツケが、今回の新型コロナ禍で回ってきたのだ。病院のベッド数についても削減策がとられ、減り続けている。

 いったい安倍政権は何を見て国民を無視した、金を使わないこと優先の馬鹿げたやり方をしてきたのだろう。

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