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2020年6月19日 (金)

首相記者会見のからくり

 新型コロナウイルス禍が広がり、学校の一斉休校とか非常事態宣言とか、安倍首相の記者会見が何度かあった。これらの首相の記者会見はいつもNHKテレビなどで中継される。

 NHKの中継でテレビに映るのは、記者会見冒頭に総理が一方的に話す場面だけだ。このとき、総理の両脇にはプロンプターが用意されている。原稿を書く人は官邸の決まった人で首相はそれを読むだけである。見ていると堂々と前を向いて話しているように見える。それはプロンプターのお陰なのだ。

 この記者会見を主催しているのは、新聞・テレビなどの大手メディアの記者で構成される記者クラブだ。テレビを見ていて分かるように内閣広報官が司会進行を務めて質問者を指名する。実際の主導権を握っているのは官邸なのだ。

 幹事社の質問は事前に官邸側に伝えられ、総理の回答も事前に用意されている。幹事社以外の記者からの質問も、官邸側が情報収集して想定問答を作っている。

 首相は想定外の質問に不用意に答えることがないようになっているのだ。だから首相は安心して答えられる。台本がある言ってみればやらせのようなものだ。


 記者会見にはフリーランスの記者も参加しているが、彼らはいくら手を上げても指名されることはないという。

 なんと、2012年12月の第2次安倍内閣発足以来、フリーランスの記者が総理会見で質問できたのは2020年3月14日まで7年以上、一度も質問できていなかったというのだ。驚くべきことだ。

 3月14日に初めて質問できたのは、インターネット上で始まった「オープンな首相会見を求める署名活動」の力によるという。4万2000筆を超える署名が集まったため、ついに官邸も「記者クラブ以外の記者」を無視できなくなったのだろうと言われる。

 記者会見での質問は大抵の場合、首相はこの後も忙しいという理由で、数人で打ち切られれしまう。実際は何も特別の用もないのにだ。

 安倍首相は「国民に丁寧に説明する」とよく言うが、記者会見は「国民に丁寧な説明をする場」にはなっていないのだ。首相の記者会見は質問の時間を長くとって、フリーランスの記者にもチャンスを与えるべきである。

 ※この記事はYahooニュースに載ったGQの記事を参考にした。

 

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