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2020年6月16日 (火)

「ケア階級」という概念

 11日の朝日新聞「欧州季評」というコラムで、英国在住のブレイディみかこ氏が「社会に欠かせぬケア仕事」という文を載せていた。

 「負債論」という著書で有名な人類学者のデヴィット・グレーバーの言葉を紹介していた。私はこの人類学者のことは何も知らなかったが、彼の言葉「ケア階級」に惹きつけられた。

 新型コロナウイルスのパンデミックによって、医療、教育、保育、介護などの仕事に携わる人がクローズアップされた。とりわけ医療関係は医療崩壊の危機が迫っていたし、直接的にコロナウイルスの感染予防や治療に関わっているから注目を集めた。

 グレーバーは直接的に「他者をケアする」仕事をしている人々のことを「ケア階級」と呼んだのだ。今日の労働者階級の多くは、実はこれらの業界で働く人だとブレディ氏はいう。

 産業革命後資本家は工場生産に投資し製造業で働く人々は労働者階級の中心であった。それがケア階級の人々がいなければ地域社会は頓挫してしまうことが明らかになったのだ。日本ではゴミ収集の人たちに感謝の言葉が寄せられるようになった。運転手もケア階級に含まれる。

 イギリスではロックダウン中、ケア階級の人々は「キー・ワーカー」と呼ばれ、英雄視されたそうだ。毎週木曜日午後8時に家の外に出て感謝の拍手を送ることやメディアでも「サンキュー、キー・ワーカーズ」のメッセージが繰り返されたという。

 そして次のようなグレーバーの言葉を紹介している。「わたしたちは、わたしたちをほんとうにケアしているのはどんな人々なのかに気づいた。ヒトとしてもわたしたちは壊れやすい生物学的井存在にすぎず、互いをケアしなければ死んでしまうということに気づいたのです」

 コロナウイルス禍で人類は改めてケアの大切さに気付かされたのだ。ただ、残念なことにコロナウイルス禍に対処するのに大国の指導者も小国の指導者も適切な対応ができていない。中でも米国のトランプ大統領やブラジルのボルソナーロ大統領などは酷いものだ。

 ケア階級の人々が十分に働けるように政治をしなければならないのに、阻むようなことをしている。それでも劣悪な条件下でケア階級の労働者は歯を食いしばって頑張っているのだ。

※この記事には後半があるのだが、それは割愛した。

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コメント

「ソーシャルディスタンス」の何たるかをどっぷりと体験してきているはずのブレイディみかこ氏が、その言葉を新型コロナの予防距離の意味で安易に定着させつつある日本の現状をどのように見ているのか。新聞などに発言があれば知りたいものです。
それにしても、日本における「ソーシャルディスタンス」定着に一役も二役も買っているのは小池都知事でしょう。
東京都民に周知させる必要があることにどうしてカタカナ語を使わなければならないのでしょう。
先日開業した「ウイズ原宿」を真似したような「ウイズ・コロナ」で何を伝えたいのでしょうか。数値基準を掲げても、都知事選をにらんで自粛も緩和もコロコロ変える。
言葉に意味もなければ発言に責任も取らない権力者が増える一方のようです。

投稿: たりらりら | 2020年6月16日 (火) 14時28分

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