« 和歌山県知事のメッセージから―①― | トップページ | 新型コロナウイルス対策、和歌山県知事のメッセージから―③― »

2020年5月 3日 (日)

新型コロナウイルス対策、和歌山県知事のメッセージから―②―

 知事はメッセージで、コロナウイルスの感染フェーズを7段階としてとらえている。

 ※以下知事のメッセージ続き

 私は、 感染症についての学はありませんが、 県のトップとして必死で対策に取り組み、 数少ないかも知れないが、 実態をつぶさに見て、 一つ一つ対応を考えて頑張ってきた経験から、 この病気と当局の行うべき対応を段階別に次のように整理できると思います。
 
A 感染の初期の段階。 各地でパラパラと一人、 二人の感染者が見つかって、 濃厚接触者にはPCR検査をし、 濃厚とは言えないような接触可能性のある人にヒアリングをして経過観察下に置き、 陽性者は感染症指定病院で手厚い医療加護を加える。
 
B もう少し感染者が多く発見されるようになった段階。 感染者とその接触者への対応は同じだが、 数が増えるにつれ、 当局の対応が忙しくなり、 また陽性者が増えて、 感染症指定病院の病床だけでは足りなくなって、 一般病院の病床も感染症患者のために空けてもらうことが必要になってきた状況。
 
C さらに感染者が増えてきた段階。 感染者とその接触者への対応は同じだけれど、 当局のマンパワーが不足して十分な対応が出来なくなった状況。 感染者を入院させる病床のやりくりが大変になった状況。
 
D さらに感染者が増えてきた段階。 上記に加えて新たな感染の疑いのある者に対してもPCR検査をすぐには出来なくなって、 順番待ちになっている状況。
 
E さらに感染者が増えてきた結果、 新規入院患者の病床を確保するため、 感染症は治ったがまだ陽性が消えない患者をホテルなどの施設に移ってもらって陰性化を待つという状況。 段々と一般のクリニックで発熱患者を診てくれる人が少なくなり、 大病院の発熱外来に人が集まり始める。
 
F さらに感染者が増えてきた結果、 新規感染者の病床が更に不足して、 自宅待機やまずホテルへ入居させるなどをせざるを得なくなった状況。 また、 病院もホテルから退出させるべき人を判別するためのPCR検査も出来なくなって、 一定期間滞在した人は自動的に退院、 退所をしてもらわざるを得なくなった状況。 感染症の疑いがある人々の選別とPCR検査の実施のアレンジが出来なくなって、 不安を感じる人々が感染症外来のある病院へ殺到していて、 そこへ医師を回すために、 重症患者に登用すべき医療人材が不足してきた状況。
 
G さらに感染者が増え、 重症者の数もどんどん増えて、 重症者ですら十分に医療加護を加えられなくなり、 軽症者の数も多すぎて検査も出来なくなるので軽症者には自宅で様子を見てもらって、 特に重症化したときだけ、 医療として命を救うことしか出来なくなった段階。
 
 
 私の見るところ、 和歌山県は、 済生会有田病院クラスターの頃は、 A段階、 4月以降は、 あちらこちらいっぱい出てきて、 辛うじてB段階で頑張っているという状況。 東京や大阪はおそらくF段階になっていると思います。 最近タレントさんの闘病生活レポートを見ましたが、 夫が(明らかに)濃厚接触者で発症しているのに検査待ちで、 まもなく陽性と判定されたが、 そのまま自宅療養となり、 本人も発症して、 しばらくPCR検査もされず、 その後陽性となったが自宅療養していますというレポートがテレビでありました。 これは大変な状況だ、 G段階になってしまったニューヨークやイタリアのテレビ映像ばかり映されるが、 F段階でも既に十分に医療崩壊が起こっていると思います。

 F段階になってしまったら、 感染は中々止められないので、 人々に厳重な行動自粛を呼びかけるとかが大事になってきますが、 その上でここで盛り返すか、 G段階に行ってしまうかは当局の踏ん張りも依然として重要だと思います。 もっと大事なことはF段階に行かないようにA段階の県は必死で防戦をし、 B段階の県は何とか踏みとどまって、 出来ればA段階に戻れるように頑張るなど、 それぞれの当局が必死で段階を上げないよう頑張らないといけませんが、 この献身的な営みに、 果たして情報発信力のある政府はエールを送り、 マスコミはことの重要性を認識して、 その重要性のメッセージを送り続け、 そして、 医学の専門家は各段階毎に必要なアドバイスを個別に、 あるいは、 全国的にメディアを通じて送り続けないといけないのではないでしょうか。

 しかし、 現実になされていることは、 逆です。 先にも言いましたように疫学的調査の言葉すら消えてしまって、 自粛自粛の大合唱しかありません。 大活躍しておられるのは統計学の先生で、 何十%の接触低下で発症者がこうなるというような話(それはおそらく真実だと感じますが)ばかりが舞っています。 これでは防疫を必死で頑張っている多くの保健当局者や医療関係者に対するエールにもなりません。 ひょっとしたら闘志を削いでいるのではありませんか。 我々和歌山県当局はローカルな専門知識だけで必死にコロナと戦っています。 それぞれの県もそうでしょう。 段階が進んでしまった県の苦悩はいかばかりかです。 しかし、 それぞれの段階の中にあっても具体的な対策の中でベターなものとベターでないものがあるはずです。 それをアドバイスするのが、 医学の専門家なのではありませんか。
 
 例えば、 他県の知事にアドバイスをしたこともありますが、 病院の補完としてのホテルの使い方にも、 工夫が必要です。 マスコミではホテル、 ホテルという報道がいっぱいあって、 これでベッド数◯◯確保というような発表で、 問題が解決したかのようなことを報じている向きもありますが、 大事なことはベッド数ではなくて、 そこで働く医療関係者をどこから連れてくるかなのです。 各病院ともパンパンに忙しくて、 ホテルに割く余裕はありません。 従って、 和歌山県ではさしあたってホテルは、 病院入院者で病状が治っているが陽性が消えていない人だけを対象に使おうということに決めています。 そうすると、 病状がぶり返すことは、 余り考えられないので、 ホテルに投入する医療関係者は様子を観察してくれている看護師さんと、 その監督とPCR検査を時々してくれる医師せいぜい1人で足ります。 しかし、 これを入口、 即ちいきなり病院代わりに新規感染者用に使おうとすると、 医師の投入ももっと必要で常時監視が必要となります。 何故ならば、 まずは軽症者でも、 あっという間に重症化する例が結構あるからです。 しかし、 それにしてもいきなり新規感染者に自宅待機を命ずるよりもはるかにましでしょう。 監視の目ももっと行き届きますから。 埼玉県で自宅療養中の新規感染者が亡くなるという悼ましい事例がありましたが、 こういう注意こそ国の専門家のお仕事ではありませんか。

 さらに、 もう一つ、 報道で大阪府が一定程度時間の経った人は、 ホテルなどのキャパを空けるためにPCR検査で陰性を確認せずに自動的に退所を認めるということを知りました。 和歌山県の例では、 発症後45日も陽性が消えない人がいました。 症状は10日もすると治っていましたが、 ウィルスがしぶといのです。 こういう人でも他の人と交じるとうつしますので、 時間が経ったからといって退所を認めてしまうと、 家族などにうつしかねないし、 この人が不届き者だったら、 自宅に留まらないで、 どこかへ行きまくるおそれもあります。 とても危険ではないか、 大阪府でこういう流れで感染が拡がると、 いずれ大挙してウィルスが和歌山にやってくると思いましたので、 吉村知事に「さしでがましいのですが、 それは大変危ないですよ。 やはりPCRはされた方が。 」と申し上げました。
聞いてみると、 色々な事情があるようです。 この点については、 厚生労働省も懸念を持っていて、 アドバイスはしているようですが、 発信力のある専門家がアドバイスをしているのは見たことがありません。

|

« 和歌山県知事のメッセージから―①― | トップページ | 新型コロナウイルス対策、和歌山県知事のメッセージから―③― »

新型コロナウイルス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 和歌山県知事のメッセージから―①― | トップページ | 新型コロナウイルス対策、和歌山県知事のメッセージから―③― »