緊張感がない総理記者会見、お膳立てされた寸劇だからなのだ。
2月29日、新型コロナウイルスの感染防止策について安倍総理が記者会見を行った。たまたまテレビを付けたらNHKが中継を始めたので見た。
安倍首相は20分ほどの会見をよどみなく話していたので、不思議に思っていたが、後日プロンプターを2台前において話していたということを知った。プロンプターをおいてあっても自然な感じで映るのはNHKのニュースアナと同じやり方なのだろう。
演説が終わって記者の質問に入った。幹事社の朝日新聞の記者が最初に指名されたので「?」と思ったが、これも「新型コロナウイルス拡大防止の総理会見を茶番劇にした官邸と官邸記者クラブの愚」という立岩陽一郎 「インファクト」編集長によって書かれた記事を読んでその訳が分かった。
立岩氏は「日本のメディアと権力との癒着を如実に物語るものだった」と書き出している。幹事社とは記者クラブのとりまとめ役で、各社持ち回りで担当することになっているのだそうで、この日は朝日新聞が当番であったのだ。幹事社は質問することを事前に各社の回すのだそうだ。
その質問には以下の様に書かれていた。「臨時休校について伺います。総理は27日に突然発表しましたが、その日のうちに政府から詳しい説明はなく、学校、家庭など広く社会に不安と混乱を招きました。説明が遅れたことをどう考えますか。」
その後、「ひとり親、共働き家族への対応、授業時間の確保について質している。また、国民生活や経済への影響、感染の抑え込みについて見通しなどや、クルーズ船への対応について、中国の習近平主席の訪日、東京オリンピックを予定通り行うかどうかなどについても尋ねている。」
首相の記者会見は、このように事前に質問事項がまとめられて記者から官邸側に渡され、それに基づいて総理大臣の答弁が決められて答弁書が作られる。総理大臣は答弁書を読むだけなのだ。だから安倍首相は答弁の時、下を見て答弁書を読んでいたのだ。
この日最後に「質問があります」手を挙げた人がいたが質問を打ち切られた。その人は江川紹子さんであった。江川さんは質問書を出していない個人だから無視されたのであろうか。
彼女によると、答弁書を書いたのは佐伯耕三首相秘書官で、安倍首相はそれを読んだだけだそうだ。
立岩氏は「記者と総理大臣が演じる一種の茶番劇。そこには権力者と取材者との緊迫したやり取りなど存在しない。あらかじめ用意された紙を読んで質問をしたことにする記者。それに応えて予め用意された答弁を行うことで誠実に対応しているように見せる首相」と指摘している。
国民はあらかじめ組み立てられた「総理記者会見」という寸劇を見せつけられているだけなのだ。米国のようにトランプ大統領とメディアが丁々発止とやりあう場面はない。日本ではメディアと権力側が馴れ合っているのだ。
最初に幹事社朝日新聞が指名されたとき「?」と思ったのは朝日新聞は首相に嫌われていると思っていたからだ。質問が分かっており、答えが用意できるのだから安心である。それに朝日新聞も幹部が首相と会食をしたりして篭絡されているのだ。産経とか読売ほどではない程度の官邸との関係なのだ。
アメリカのように真正面から権力を批判できるメディアがない日本はどうなるのであろうか。
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3月1日の夜にたまたまテレビをつけると木村太郎という人が
「総理が責任を持つと言って休校を要請しているのに休校しない自治体があるが、感染症が広まったら責任を取るつもりがあるのか」というようなことを語気を強めていました。
いやはやここまで御用ジャーナリストだったとは、あきれてしまいました。
安倍総理が責任を取る、などと考えている人がこの世にいるのでしょうか。
「責任」の意味を知っているのであれば、福島の原発事故が起きた時点で蟄居生活に入っているに違いない。
それに対して市長や町長は、事態が悪い方へころべば針のムシロに立たされることくらい百も承知に違いない。
テレビには、「非常事態」なんだからとか、果ては「戦時体制」と同じようなものなんだからなどとオドロオドロしい言葉を持ち出して政府の後手後手の対応を擁護するコメンテーターが何人もいます。
しかし、突然の休校要請で教員や父兄たちが土日も吹き飛んで対応に追われている中、茂木外相はゴルフを楽しんでいたという。一体どこが非常事態なのでしょう。
投稿: たりらりら | 2020年3月 5日 (木) 10時22分
新聞の総理の1日欄には各界の主要な人物の会食の記事も取り上げられている。共産党の指摘によるとこれがメディア関係者も含めて大変多いそうである。勿論公費、税金である。下世話な言い方であるが、税金で共に飲み食いして良好な関係築く、要は手なずけるということであろう。誘われ方は今後のことを考える断りづらいし、名誉と感じる人達もいるであろう。直接は言わないまでも主催者側の意図は見え見えである。昔、著名な大学の総長が卒業式でただ酒は飲むなと戒めたそうだが言い得て妙である。
投稿: Toshi | 2020年3月 5日 (木) 08時27分
権力を監視するというジャーナリズムの役割を今や完全に放棄したと感じるここ数年の新聞テレビの政権に忖度した報道は目に余るものがありますね。4年前に報ステの古館伊知郎氏を、NHKでも国谷浩子氏を降板させて以来、政権批判をすることがタブーになり、安倍応援団のキャスターが昼も夜も政権を持ち上げていますね。報ステでも政権に近い早川会長が批判的な報道部のスタッフ10名を3月末で契約打ち切り。いろいろと理由をつけて総理との会食を止めない報道各社のトップの責任はとても重いですね。政権支持率にしても、重症者しかPCR検査をしてもらえないコロナ感染者数にしてもどこまで信用できるのか疑わしい限りです。コロナ騒動に乗じて緊急事態宣言にだけ熱心なのは、改憲の最重要課題だからでしょうね。
投稿: danny | 2020年3月 5日 (木) 07時24分