政教分離は厳密に守るべき
28日の朝日新聞に「知事と護国神社 揺れる政教分離」という記事があった。戦没者をまつる長野県護国神社を支える組織「崇敬者会」の会長に、阿部修一知事がついていることがわかった。神社の鳥居再建のための寄付を募る文書にも名を連ねていたというのだ。
長野県の護国神社は1938年に建立され、幕末から第2次世界大戦までの戦争で亡くなった県出身の軍人・軍属らをまつる。愛知県にもお城の傍に護国神社がある。靖国神社を先頭とする国家神道を推し進め、戦争での犠牲者を英霊として神社にまつることによって、戦争遂行の原動力としたのだ。
県護国神社を「長野県の守護神」と位置付け、県民に寄付を呼び掛けている。阿部知事は私人としての参加であり、何ら問題はないと言っているが、県知事という肩書は公人を表す。これまでも田中康夫氏以外の知事はみな崇敬者会の会長を務めてきたという。
山梨県では長崎幸太郎知事が県護国神社の支援組織の会長についているそうだ。「政教分離の原則は国家と宗教との関係を定めるものであり、私人には適用されない」とうそぶいている。
いったい全国各県の護国神社はどうなっているのか、記事はその点については触れていないので分からない。おそらく県知事が支援組織の会長に就いているのであろうか。
日本国憲法20条3項は、「国及びその機関は、宗教教育孫他のいかなる宗教活動もしてはならない」と、政教分離の原則を定める。軍国主義と神道が密接に結びつき、侵略戦争に突き進んだことへの反省が制定の背景にあると記事は述べる。
全国でこのような形で護国神社が国家神道普及への地ならしをしていると想像すると、恐ろしさを感じるのは戦争時代を経験しているからだろう。若い人たちは戦前の国家神道の果たした役割を知らないから単なる信仰の問題と軽く見ているのかもしれない。政教分離は厳しく守らねばならぬ。
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このようなけじめのなさは必ず災厄をもたらします。
トランプ大統領だって、けじめどころかユダヤ教ファーストでやりたい放題ではないか、と言ったところで何の弁護にも慰めにもなりません。
ところで衆院予算委員会では、中国から帰国した人の中にコロナウイルスの検査を拒否した人がいたことに関連して、日本維新の会の馬場幹事長が憲法に緊急事態条項を新設すべきではないのかと安倍首相に問いかけようで。
感染症の拡大は今回が初めてではありません。
それにもかかわらず関連法案は整備していない。
避難した人をどこにどのように隔離するのかも決めていない。泥縄式にホテル三日月に泊まってもらったり。
議員たちのそういう怠慢を棚に上げて、憲法に緊急事態条項をなどと話を飛躍させる。
別次元のものをごちゃまぜにするけじめのなさがまかり通るとしたら本当に恐ろしいことです。
投稿: たりらりら | 2020年1月31日 (金) 17時00分