トランプ米大統領のご機嫌とりでF35に6.7兆円とは
以下、11月22日の朝日新聞朝刊を読んでの感想である。F35は「第五世代」と呼ばれる戦闘機でレーダーに映りにくく、敵に気づかれにくいステルス性の優れているうえ、周囲の情報を集めて瞬時に操縦士に示すことができるという。革命的な戦闘機だそうだ。
日本政府は当初、45機を導入する方針であったが、18年12月に105機を追加し、147機もかうことに閣議で決めた。この「爆買い」の背景には、トランプ大統領の「バイ・アメリカン(米国製品を買おう)」というトップセールがあり、安倍首相がそれに応えたものだ。安倍首相はトランプ氏の就任前からアメリカに行きご機嫌をとり、ことあるごとに親密さをアピールしている。
総額、6.7兆円もの戦闘機を買えばトランプ氏は喜ぶに決まっている。なにしろ日本は138機の英国より多い世界第一位なのだ。いくら性能が良いとはいえ、専守防衛の日本が英国やトルコなどより多くの戦闘機を買う必要だあるのだろうか。
F35は愛知県の三菱重工業小牧南工場で組み立てられる。機数が多いので、スペア部品の調達に問題が生じるという。それよりも安全性についても疑問があり、重大な危険を及ぼす恐れのある「カテゴリー1」の欠陥が17あったと言われる。
さらにF35の維持管理のために多額のコストを投じると、新技術開発の投資が限られるというおそれがあるという。日本政府の関係者は「ドローンの時代が来ればF35のような有人戦闘機は役に立たなくなるかもしれない」と語ったという。
現在でもアメリカは無人戦闘機を飛ばして、米国にいて操縦し、他国の標的を攻撃しているのだ。これからはドローンのように無人で戦うようになるのは目に見えている。
ビジネスマンのトランプ大統領は、トップセールスでアメリカの製品を売りつけ、それが来年の大統領選挙での勝利に役立つと計算している。
米シンクタンク・国際政策センターの軍事アナリスト、ウイリアム・ハータング氏は「トランプ氏は軍事産業を、再選戦略の政治的なツールとみなしている」と語り、さらに「武器を買うように求められた政府は、自国の安全保障にとって本当に必要なのか、それとも政治的配慮で必要なのか、価格は妥当なのか、十分に検討する必要があるだろう」と指摘したという。
その通りである。日本政府は十分に検討をすべきであったのだ。外野から見るとトランプのご機嫌取りで、巨額の税金を投じることになるとしか見えないのだ。
災害大国の日本は、災害からの安全保障が喫緊の課題となっている。限られた税金をまず国内のために使うべきであろう。そして、外国との戦争を回避するために外交努力をするべきなのだ。そのための有力なツールとして憲法9条があるではないか。
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コメント
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前にも書きましたが完成品を買わずに部品を輸入して日本で組み立てれば1機当たり40億円高くなるので147機組み立てれば5888億円がかかり、企業は莫大な利益を得ますね。先日も武器見本市が幕張で開かれて世界20か国から90社、日本から60社が参加したそうです。無人飛行可能な次世代戦闘機、自動誘導ミサイルなどAIを導入した無人装備やドローン捕獲技術が特徴で、武器は単価がとても高価でいく作っても足りなくなる消耗品ばかりなので、軍需産業にシフトする企業が今後も益々増えて行きそうですね。武器輸出3原則も安倍政権になって撤廃された結果ですね。日本が輸出した兵器で日本が攻撃される可能性もあり得ない話ではないですね。
投稿: danny | 2019年11月26日 (火) 07時56分
まったくその通りだと思う。ただ、桜を見る会でこれだけ炎上しても、内閣支持率が50%、自民党支持率が30%を超えているというのは驚きである。政権の末期に至っても内閣支持率がこれだけの高さを維持しているのは歴代自民党政権ではなかったことである。これでは何を言っても内心ではほざきたい奴は勝手にほざいておれと思うのはやむ終えない。仮に今、解散に打って出たとしても自民党が惨敗ということはこの支持率を前提とする限り、可能性は少ないように思う。失業者が巷にあふれ、治安が極端に悪化しない限り、現状を変えようという大きな動きは顕在化しないであろう。仮に現在の野党に政権が転がり込んだとしても、主導権争いが激化し大混乱は目に見えている。泣く子と地頭には勝てぬ。長いものには巻かれろは連綿と続いているのである。
投稿: Toshi | 2019年11月25日 (月) 07時56分