森友学園問題予想通りの帰着
権力を持つ者は強い。あれほど騒がれ疑惑に満ちた森友学園問題だが、司法の場では不問に付された。森友学園への国有地売却や財務省関連文書の改ざんをめぐる問題で、大阪第一検察審査会が「不起訴不当」と議決した佐川宣寿元財務省理財局長ら10人を再捜査していた大阪地検特捜部が9日、再び全員を不起訴処分としたのだ。
再捜査の対象は、
①財務省近畿財務局がごみの撤去費用8億円余りを値引いて国有地を森友学園に売却し,故意に国に損害を与えたとする背任容疑。
検察審査会が再捜査に「客観性のある試算」を求めていたが、特捜部は値引きが不当とまでは認められないとして、試算をしたかどうかは「差し控える」として説明をしなかった。
②決裁文書を改ざんした有印公文書変造・同行使容疑。
決済文書から安倍首相の妻昭恵氏や政治家の名前が削除された。検審は「常識を逸脱した行為」「大幅な削除により、原本が証明した内容が変わった」と指摘。これに対し特捜部は文書の内容や趣旨が大きく変わったわけではないと判断した。
③財務局が学園側との交渉記録などを国会で問題になった後に廃棄したとする公文書毀棄容疑。
特捜部は財務省の規則が保存期間を「1年未満」とする点を重視し、起訴しなかった。
一般国民の常識からすると森友問題は起訴されてしかるべきであり、疑惑とされる点は徹底的に調査して明らかにされるのが当然である。それをすべてうやむやにして理由も説明せずこの問題に蓋をしてしまった。これで安倍政権は安泰である。ホッと胸をなでおろしていることであろう。当事者の一人、籠池氏は「首相を守るために忖度した判断だ」と述べたそうだがそうであろう。
朝日新聞は「第三者委員会を設けて調査をするように」と述べ、政府と国会は徹底的検証をと求めている。与党一強の国会でそれができるとは思えないし、政府はもちろんやるはずがない。それでいいのか。何とも後味の悪いことである。
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日本国憲法は、国会、内閣、裁判所の三つの独立した機関が相互に抑制し合い、バランスを保つことにより、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する「三権分立」の原則を定めているが、現実問題としてそうはなっていない。司法の独立というが
最高裁判所長官は内閣が指名し、最高裁判所裁判官は内閣が任命することになっている。時の内閣が長期政権を維持するためには
三権を握り、メディアに強力な影響力を及ぼし、皇室も政治利用できれば盤石である。昨日の中日新聞で元自民党幹事長の古賀氏が安倍一強は戦争末期と同じ政治の貧困と喝破していたが、真っ当な見解であり、彼はなかなか骨のある人物だと思った。
投稿: Toshi | 2019年8月13日 (火) 07時07分