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2019年7月 4日 (木)

映画「新聞記者」を見て

 東京新聞記者の望月衣塑子の「新聞記者」(角川新書)にヒントを得て河村光庸プロデュサーが企画から手掛けたフィクションの映画である。以前に作られたアメリカ映画の「バイス」や「記者たち~衝撃と畏怖の真実」のような実話ではないが、安倍政権の下でのマスコミ対策を想像させるには十分な映画である。

 東都新聞記者吉岡エリカのもとに、医学系大学新設計画に関する極秘情報が匿名で入る。吉岡は真相を究明するために調査を始める。加計学園をモデルにしているようだ。

 一方外務省から内閣情報調査室に来ている杉原は仕事と良心の板挟みになって悩む。初めの方で杉原の上司神崎が杉原が止めるのを聞かずビルから飛び降りて自殺をする。この辺は近畿財務局の自殺した職員を思い出させる。

 杉原が所属する内閣情報調査室(内調)のトップは冷酷な人間で、医学系大学新設計画を報じた記事を誤報だとする裏面工作を杉原にさせる。吉岡はこのニュースは絶対に真実だと信じ裏をとろうと神崎の妻に頼み神崎が残した秘密の文書を手に入れる。それを杉原に見せスクープとすることにする。杉原も覚悟を決めて良心に従おうと決意する。

 内閣情報調査室は杉原を疑って役目から遠ざけていた。そして杉原にこの問題を忘れるようプレッシャーを掛けるのだ。最後の杉原を探していた吉岡が杉原に出逢う場面で突如暗転し映画が終わるが、この意味が分からない。

 この映画で森友・加計問題や、改ざん問題や統計処理の問題など一連の安部政権での不祥事が全てうやむやにされてしまった訳が分かる。官邸と結託し、忖度し政権を守るために見えないところで権力が動いていることがよく分かった。これまで私は与党の絶対多数によって安倍政権はやりたい放題だと思っていたが、それだけではなく内閣情報調査室のような仕組みが不都合なことをつぶすために裏で動いていることもあることを知らなかった。

 この映画を観て日本のメディアは権力の監視のためにもっと働いて欲しいと切に思った。米国のメディアのように権力の闇を暴く力を持ってほしいのだ。しかし、それは無理であろう。政権の広報機関化していると言われるメディアが多いからだ。国連から勧告を受けても知らん顔である。

 主役の女性記者に韓国の女優を起用したのは何故だろう。韓国訛りの日本語なので混血という設定にしているようだ。演技はしっかりしている。

 7月から映画鑑賞代金が100円値上がりした。それでも観客は多かったので関心の高さを思わせた。公開3日間で五万人が見て、こうy号収入6232万円だと新聞に出ていた。よかった!!たくさんの人に見てほしい映画だから。

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