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2019年5月15日 (水)

改めて知る「君死にたもうことなかれ」の凄さ!!

  先週末に「おしん」の第1回総集編を見た。その中で、おしんは雪の中で行き倒れのをた脱走兵でマタギの中村正俊に救われた。しばらく一緒に生活をするが、ある時おしんが興味をいだいた与謝野晶子の詩を朗読して聞かせるシーンがあった。
 

  その朗読を聞いて、あの有名な「君死にたもうことなかれ」の詩の凄さを改めて知った。
  

  何が凄いと言って、晶子が
「君死にたもうことなかれ、旅順の城はほろぶとも、滅びずとても、何事ぞ」と謳っているところと、もっと凄いのは
「君死にたまふことなかれ、すめらみことは、戦ひに おほみづからは出でまさね、」と、
「かたみに人の血を流し、獣の道に死ねよとは、死ぬるを人のほまれとは、 大みこゝろの深ければ、もとよりいかで思(おぼ)されむ。」
と謳っているところだ。
 

 あの絶対的権力者で神とも崇められた明治天皇を「自分からは戦場には行かない」と言い、戦場で死ぬのはかり出された一般国民だとはっきり言っているのだ。

  安倍首相は戦争への道を誤魔化しによって着々と開こうとしている。もし、いったん緩急あれども安倍総理自身は後方で号令を掛けるだけだ。
 

 戦争を獣の道と言い、戦死することを誉れとは、国民を思うこことの深い天皇は思われるはずがないと断じている。ただ獣の道は晶子の思慮の浅さを表している。なぜなら獣は決して無駄な戦いはしないからだ。智慧があるはずの人間だけが戦争をして殺し合うのだから。しかし、あの時代にこれほどはっきりと戦争の愚かさを告発したのは凄い勇気だと感嘆せずにはいられない。
 

 与謝野晶子が素晴らしい反戦の詩「君死にたもうことなかれ」を書いたにもかかわらず、日本は急速に軍国化して軍事力を背景に、大東亜共栄圏という美しいスローガンで大陸などを侵略して行ったのであった。
 

 この晶子の詩に対して、当時の言論界の重鎮「大町桂月」は雑誌『太陽』において「教育勅語、宣戦詔勅を非難する大胆な行為である。」「乱臣なり、賊子なり。」と非難した。それに対して晶子は「当節のやうに死ねよ死ねよと申し候こと、またなにごとにも忠臣愛国などの文字や、畏おほき教育勅語などを引きて論ずることの流行は、この方かへって危険と申すものに候はずや。」と反論している。
 

 晶子の確固たる信念は驚嘆に値する。今また晶子が憂えたような事態が徐々に広がり始めていると感じるのは私だけであろうか。
 憲法に自衛隊を明記し、自衛隊が海外で戦えるようにすることや、非常事態事項を入れる憲法改正は第一段である。その後、国民を抑えつけ、ヒトラーがやったように非常事態事項を使って憲法を変え、天皇を元首とする大日本帝国憲法に戻したいという動きに注意しなければならない。

 

   君死にたまふことなかれ  与謝野晶子 
                     (1878~1942・大阪生まれ)
       ――旅順口包囲軍の中に在る弟を嘆きて
   

    あゝをとうとよ、君を泣く、
    君死にたまふことなかれ、
    末に生れし君なれば
   親のなさけはまさりしも、

    親は刃をにぎらせて
   人を殺せとをしえしや、
    人を殺して死ねよとて
   二十四までををそだてしや。

    堺の街のあきびとの
   旧家をほこるあるじにて
   親の名を継ぐ君なれば、
    君死にたまふうことなかれ、
    旅順の城はほろぶとも、
    ほろびずとても、何事ぞ、
    君は知らじな、あきびとの
   家のおきてに無かりけり。

    君死にたまふことなかれ、
    すめらみことは、戦ひに
   おほみづからは出でまさね、
    かたみに人の血を流し、
    獣の道に死ねよとは、
    死ぬるを人のほまれとは、
    大みこゝろの深ければ
   もとよりいかで思(おぼ)されむ。

    あゝをとうとよ、戦ひに
   君死にたまふことなかれ、
    すぎにし秋を父ぎみに
   おくれたまへる母ぎみは、
    なげきの中に、いたましく
   わが子を召され、家を守(も)り、
    安しと聞ける大御代も
   母のしら髪はまさりぬる。

    暖簾のかげに伏して泣く
   あえかにわかき新妻を、
    君忘するるや、思へるや、
    十月も添はでわかれたる
   少女ごころを思ひみよ、
    この世ひとりの君ならで
   あゝまた誰をたのむべき、
    君死にたまふことなかれ。
――『明星・1904年9月号初出』――

 

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戦争と平和」カテゴリの記事

コメント

元号が変わるのに合わせて真夜中に、日本の各地で「カウントダウン」集会が行われたそうで。
あまりにもお目出度い若者たちといえましょう。
「カウントダウン」が始まっているのは徴兵制であることにどこまで気づいているのでしょう。
先日の異例に長いゴールデンウィーク中に、1日で成田空港を出国した人数が過去最高を記録したとテレビニュースは伝えていました。
(それよりも人数が多かった有明の憲法集会に触れたテレビがいくつあったのでしょう。)
まことに裕福で繁栄する日本という印象ですが、本当にそうなのでしょうか?
他方、アメリカを筆頭にして、対外債務はふくらむ一方で貿易収支も赤字続き。
となると、それをチャラにするために「戦争でも」始めようかという圧力は高まります。
「君死にたもうこと」より前に「戦争を始めること」なかれの声を、カウントダウンに興じる若者たちにも発してほしいものです。

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