NHKスペシャル「大往生」を見て
NHKスペシャル「大往生 自宅で死にたい」を録画しておいて観た。埼玉県新座市が舞台で、自宅で死にたいというお年寄りを80歳の老医師が車を運転して訪問医療をする話しであった。その老医師は小堀鴎一郎といい、森鴎外の孫で、東大病院の外科医を退職後訪問医療を始めたという。
自宅で死にたいというのは誰しも願っていることだ思う。私も出来れば自宅で最期を迎えたいと思うがそれは何とも言えない。
この番組で取り上げた中で驚いたのは、40代の全盲の娘さんが世話をするAさんという高齢者であった。Aさんは全盲の娘を不憫に思いずっと世話をしてきたのだ。奥さんが病に倒れた時も独りで介護をしたのだという。
その奥さんが先に亡くなり、娘さんが残されたのだが、食事などはAさんが作ってきたそうだ。ところがAさんが寝たきりになり、全盲の娘さんに世話をしてもらわなければならなくなったのだ。
小堀医師は患者の家を診察以外にも様子を見回っているので、Aさん宅も度々訪問して見ている。
娘さんは親戚の人に料理の仕方を教えてもらい何とかできるようになった。Aさんは娘さんが作った料理をおいしいと言って食べていた。
でもだんだんと弱って行き、うどんを2筋ほどしか食べられなくなった。そうなるともう死期は近くなる。
小堀医師は娘さんに脈をさわったり、身体を触って容体の変化を知ることができるとおしえた。ある日娘さんから父の様子がおかしいと電話が入る。
Aさんの姉や妹や甥姪など親戚が集まった中で娘さんは最後までお父さんに寄り添って看取ったのだ。
Aさんと娘さんのケースは異例で特に大変だと思うが、小堀医師のような医師がいて自宅で療養し最期を迎えることができたのだ。
自宅で療養する場合世話をする家族の負担が大変だという。どうして家族が疲れすぎないようにするかが大事だといっていたがその通りであろう。
病人の食事だけでなく、排便んや排尿の世話や身体を清潔に保つ世話もしなければならない。私の養親のときはまだ若かった妻が二人の世話をしてくれた。大変だったと思う。
養父の場合は静かな大往生で寝付いて1週間で亡くなったが、養母の場合は数か月寝たきりであった。当時はかかりつけの医師に往診をしてもらったが様子を診ただけであった。だから自然に楽に死を迎えられたのではないかと思っている。
Aさんの場合も小堀医師は食べられなくなったからと点滴をするとか特別な延命治療はしていなかった。だからAさんは娘さんの介護によって自然に衰えて行き楽にな亡くなったと思う。
政府は高齢者の療養費の削減のため自宅療養を勧めているが、そのためには訪問医療をする医師や看護師の数を増やすことが必要不可欠である。またケアマネージャーや訪問介護をする人の充実も欠かせない。
家族がいても大変なのだが、一人暮らしや私のように夫婦だけの場合はどうしても外部の援助が必要である。そうしたことを政府は整備していくべきだが今のところは不十分である。
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