小中学校でスマホ持ち込みOKでいいのか
20日の朝日新聞を見て驚いた。文部科学省が小中学校への携帯電話やスマートフォン持参を認める方向で検討という記事だ。
理由は子どもの携帯・スマホの所持率があがったことや、緊急時の連絡に役立つことなどだ。2019年中に新たな指針をつくるという。
内閣府の17年度の調査では、小学生は55.5%、中学生は66.7%、高校生は97.1%が携帯かスマホをもっていたという。
ただ持ち込みを認めるかどうかは、各教育委員会や学校が判断することになるという。
学校へのスマホ・携帯の持ち込みについては、大阪府教育庁が18日、公立小中学校で2019年度から児童や生徒の持ち込みを認めることを決め、運用のガイドライン素案を市町村教育委員会に提示している。
文科省は大阪府のケースを参考にするという。
スマホや携帯の所持率は小学校でも55.5%と5割を超えている。中学校の66..7%もかなりの高率である。
携帯電話は作られなくなってきたし、ネットをやろうと思えばスマホが欲しいだろうから、子どもたちの多くはスマホを持っているのだろう。
スマホの代金や月々の使用料はバカにはならいが、親が出してやるのだろうから親も大変である。文部科学省もスマホの普及率やそれに使う費用も調べるべきであろう。毎日何時間使用するのかという調査だけでは片手落ちである。
普及率が5割以上だからというだけではスマホを学校に持参できる理由にはならない。もう一つ上げているのは緊急時の連絡である。大地震などの災害を想定しているのであろうか。
児童生徒がスマホを学校に持って来ていれば確かに緊急時に家庭からの連絡は取りやすいかも知れない。だがそう言った事態のときは全体としてアクセスが殺到し大混雑をするであろう。連絡をしたくてもつながらない状況もうまれそうだ。
学校にスマホを持って来れば帰りのときなどに帰るコールをするとか、忘れ物のとき電話をするなどのことはできるが、他にはどんな使い方が想定できるのだろう。
スマホのGPSによって子どもの行動を親がチェックすることは可能だろうが、そこまでやる必要があるだろうか。
子どもの貧困や女性の貧困が言われ、経済的に余裕のない人たちが増えている。スマホが欲しくても買って貰えない子どももいるはずだ。持てる者と持てない者の格差が生じるだろうしそのギャップは大きい。
スマホを巡っていじめが起きたり、妬みが起きたりしないであろうか。それが心配である。
学校に持って来るのはよいが校内での使用は禁止にするのであろうか。登校前、下校時などにスマホをいじったり、ねっとやSNSなどに熱中したりする者も増えよう。「低頭症」と言われる、スマホの見すぎで起きる首などの筋肉の異常や脳への影響も考慮しなければならない。
もちろんスマホには悪い面ばかりではなく効用も当然ある。だから利用の仕方が大切なのだ。道徳教育が正課となり英語もやらねばならないし、学校での授業の時間数は目いっぱいだ。スマホ教育をする時間があるのだろうか。安易なスマホ持ち込み容認は絶対にしないでほしい。
« NHK最後の良心」に異常事態という | トップページ | スーパームーンと十六夜の月 »
「教育・生涯学習」カテゴリの記事
- 日本の大学の世界ランキングが低迷(2023.04.07)
- 教員になり手がなくなっているという(2023.01.22)
- 教員の多忙さの生々しい現状(2022.05.08)
- 朝日新聞連載「いま先生は」に期待すること(2021.12.03)
- IT時代で手狭になった教室(2021.07.19)
テレビの報道でも「利」の一つとして安否確認を挙げていました。今日にも大災害が起きる可能性が高いのですから一見もっともに思えます。
しかし、雪山どころかハイキングに出かけるわけではありません。一般の住宅地であれば学校まで歩いて20分以内の通学路を行ったり来たりするだけです。
お嬢様学校やお受験校へ通うために電車で1時間もかかる子供やその学校はすでに対処済でしょう。
NHK「クローズアップ現代+」の視聴者離れが止まらない、とネットニュースにあったため、久しぶりに見てみましたらスマホの問題を取り上げていました。
その中で、スマホを利用する時間が長い子供は脳の神経線維の発達がおくれる、と東北大学の川島隆太教授が言っていました(番組ホームページに文章化されています―2月19日)。
教授の研究には賛否がつきまといますが、果たしてこの件では?
ともかく、英国のEU離脱に比べたら小さな問題とはいえ、その時の雰囲気で決めてしまわずに、利害得失を冷静に考えてほしいところです。
投稿: たりらりら | 2019年2月21日 (木) 14時00分