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2018年10月16日 (火)

抗がん剤が効かない理由と免役療法

 癌を治療するには、抗がん剤、放射線、手術の三つがあるが、今度ノーベル賞の対象となった本庶博士の研究によって、免疫療法が加わった。それで治療手段が4つになった。

  その中では免疫療法が一番望ましいと素人の私には思えるのだが、朝日新聞の記事によると本庶博士の研究を応用して作った「オプジーボ」という薬は、当初は値段がものすごく高かった。だんだんと安くなったがそれでも高額のようである。

  しかも、オプジーボを使ったら癌を完治出来る訳ではなく、使用した人の2割~3割だという。だからまだまだ発展途上の治療法である。せめて8割ぐらいの人が治るぐらいになってほしいものだが、それまでにどのくらいかかるのであろうか。

 その立役者の本庶博士が、「抗がん剤はどうして効かないか」と語った記事がYahooニュースの文春オンラインに載っていた。

  ――本来なら、免疫系は癌を外敵としてきちんと識別し、攻撃する能力を十分備えている。免疫はそのためのシステムだ。それなのに、癌が生き残るのは、免疫系の攻撃を巧みにかわす仕掛けを持っているからだというのだ。

  その仕掛けは、癌はPD-L1なる分子を放出してブレーキを踏み、免疫系の攻撃をストップさせるというのだ。癌はそんなことができるのか。だから強いんだ。

  しかし、もしあらかじめPD-1の働きを止め、ブレーキを踏めないようにしておけば、免疫系はその働きを無効化されることなく、がんを攻撃してくれるはずである。こうした発想に基づく薬が、免疫チェックポイント阻害剤である。

 本庶博士の研究はそこにむすびついているのだ。この免疫チェックポイント阻害剤の成功は、従来の抗がん剤がなぜ効かなかったのかも明らかにしているという。

 以下は本庶博士が語ったことだそうだ。

  「抗がん剤を投与すると言っても、がん細胞を一気にすべて殺すほどの量を入れたら、その患者の生命維持にとって重要な細胞までやられてしまいます。だから、ほどほどに入れざるをえない。すると、ちょっと生き残ったがん細胞の中から抗がん剤に耐性を持つものが、ある頻度で出てくるわけです」(文藝春秋2016年5月号)「がんを消す免疫薬の真実」)

 なるほど生き残った癌細胞がまた免疫系の攻撃のブレーキを踏み、数を増やすのという悪さをするのか。抗がん剤の使用は副作用が大きいし難しいのだ。

  免疫系の働きは人それぞれなので、そのブレーキを解除しても、十分にがんを攻撃できない場合もある。だからオプジーボも2~3割の人にしか効かないのだ。

 夢の癌治療が実現するのはいつであろうか。私が若い頃は21世紀までには癌は克服されていると予測されていたが、まだ時間がかかりそうだ。

 

 

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