学力調査の結果を勤務評定に使うとは言語道断!!
大阪市の吉村洋文市長が、小六と中三が受ける全国学力調査の結果を、校長や教員の評価やボーナスに反映させる意向を示した。
吉村市長は大阪市が政令指定都市20市の中で平均正答率が2年連続で最下位だったことに非常な危機感を抱いたのだ。
正答率の数値目標を設け、達成できたかを校長や教員の評価に反映させることにするというのだ。「結果に対して責任を負う制度に変える」「予算権をフルに使って意識改革をしたい」などと発言したという。
一定の数値目標を達成したらボーナスを上げ、達成できなかったら減らしたり、勤務評定の尺度にも使うものとみられる。
全国学力調査の成績がよくなかったからといって、それを教員の指導結果のせいにし、飴と鞭で正答率を上げさせようとするのだが、とんでもない発想である。学力調査の成績を向上させるために模擬テストをしたり、予想問題をやらせたりなど、あの手この手で本来の授業をそっちのけにして指導するようになるであろう。
そもそも学力調査は子どもたちの苦手な点を把握し、授業改善につなげるものである。授業の中で幅広く培われるべき児童生徒の学力が歪められてしまうことは必定である。
これまでの学力調査で、保護者の収入や学歴が子の学力と強く関係していることが判明している。またこれまでも他の調査でも、保護者の収入や学歴などの家庭環境が、学力の低下と関係していることも言われ続けて来た。社会的要因も大きいのだ。
大阪の校長は「所得格差を埋めることが必要ではないか」と提案していると新聞記事に書いてある。家庭の収入が低下したのは自民党・公明党の政権の下で起きていることである。子どもの貧困、女性の貧困、高齢者の貧困、非正規労働者の増加等が叫ばれて久しい。
子どもの学力の低下を教員の責任だけにすることはできない。文部科学省は学力調査の結果を教員の評価に使うことを禁止すべきである。維新の会の首長になってから大阪は教育が歪められて来ている。この上さらにとんでもない施策をするのは許されない。
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