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2018年8月 2日 (木)

元号か西暦か

 7月30日の朝日新聞「平成と天皇」という記事の第6部として「元号はいま」というのがあった。昨年の眞子さまと小室圭さんの婚約内定の記者会見で2人の出会いを問われて、真子さまが「初めてきちんとお話をしたのは2012年・・・・」と西暦で答えた。皇族が元号を使わなかったことに、保守派の一部には衝撃が走ったと書いている。

 

 一部の保守派というのは天皇中心の戦前回帰を望む連中に違いない。右翼など戦前の天皇制を懐かしむ人たちが元号を第一に考えるのは理解できる。

 

 大阪大学の名誉教授加地伸行氏は「ショックを受けたと記し、「なぜ、西暦というキリスト教の暦に合わせる必要があるのか。我々は生きている時間を、元号によって、天皇の存在と連動して考えて来た。おそれが失われれば、日本人のあり方そのものが変質しかねない」とお述べているそうだ。

 

 しかし、元号でやってきたのは、江戸時代が終わるまでは確かにそうであった。それは西暦が入って来ていなかったからだ。

 

 明治以後も敗戦までは元号が強調されたが、それは天皇中心の国家造りがめざされたからであった。天皇を現人神として神格化までしたのであった。それと同時に軍国主義が台頭し戦争へと突き進んだ。その過程では元号は大事であった。

 戦後は元号と共に西暦も使われるようになった。歴史上の年代を覚えるのに西暦で語呂合わせをして「人群れさわぐ江戸開幕(1603徳川幕府ができた)」のように年表を覚えたものであった。江戸時代末期までは元号は度々変わっているので、元号で覚えるのは不可能と言ってよい。

 しかし、明治、大正、昭和と元号で時代区分をするのは日本人にとって意味があるものだ。西暦だとそのようには行かない。だから元号のよいところ、西暦の便利なところを使い分ければよいと思う。

 記事によると、朝日新聞が昨年7月に行った世論調査で「元号の制度を今後も続けていく方がよいと思うか」とたずねたら、続ける方がよいが75%にのぼったそうだ。

 70歳以上で70%、60代の74%に対して、18歳~29歳が76%、30代が80%で、若い世代の支持が高かったという。

 役所に出す文書などは西暦でよいと思う。オリンピックは2020年と西暦で強調されている。西暦は今や世界標準と言っていいのだから、目くじらたてずに、西暦がよいところには使えばよいのだ。嫌でも英語が世界で使われているのと同じことだ。

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