AIの時代にBIを導入せよという考え方
朝日新聞8月14日の「文化・文芸」欄「夏の集中講座 『ミライ×ヒト』」一時間目に、「AIと労働」という記事が載った。
遠くない将来に人工知能(AI)に人間の仕事が奪われるという説があるが、どう生きて行けばいいのか。経済学者で駒澤大学准教授の井上智洋氏にインタビューした記事だ。
今のAIは一つの目的に特化したものには人間より力を発揮する。ビッグデータを駆使し問題を解決していくのだ。
人間はというと、汎用的な知性を持ち、将棋も会話も事務的仕事もこなせる。2030年ごろには、人間と同じようなふるまいができる「汎用AI」開発のめどが立つと言われている。そうなると、企業は安くて効率よく働くAIを使うようになり、大半の人は仕事を失うことになる。
そうなるのは、早くて2045年、遅くても2030年ぐらいだと井上氏は予測する。AIの進化についてはいろいろ議論があり、数学者の新井紀子氏は厳しい見方をしているが、それでも2040年ごろには40数%の仕事がAIにとってかわられると予測している。
インタビューアーの記者は、「仕事の争奪が激しくなりますね。ロボットを所有する資本家のみが所得を得て、他の労働者は飢えるしかなくなるのですか」と聞いている。
井上氏は「仕事をして十分な所得があるのは、1割ぐらいのスーパースター労働者だけになるのでは。『脱労働社会』ですね。スーパースター労働者と資本家がめっちゃ儲かるようになる社会です」と答えている。
スーパースター労働者?安倍政権が決めた「高プロ」のことか?働き方改革法はそれを先取りしたのか?仕事を失う一般労働者のことなどどうでもよいというのだろうか。
井上氏の提案は、「ベーシックインカム(BI)」だというのだ。BIとは、全ての人々に、最低限の生活費を一律に支給する制度だという。もし、今すぐ導入するなら、一人月に7万円ぐらいが妥当だという。
一人7万円。二人なら14万円。5人家族なら35万円。これなら生活できるであろう。憲法25条にいう「最低で文化的な生活」はできそうだ。家族が多いほど楽になりそうだから、結婚して子どもを作れるであろう。何だか社会主義的な考え方である。
AIの発達など社会の変化に合わせて、給付額や制度は柔軟に考えて行けばよいと言っている。
AIに働かせて稼がせてそれをBIとして人間が平等に受け取る・・・・そんな夢みたいなことが実現するであろうか。資本家は飽くなき利益の追求を目指し、分配などに目もくれないであろう。実現するとしたらマルクスが予言した共産社会においてであろう。
面白いのは、マルクスはAIの時代が来ることを予想できなかったことだ。しかし、彼の理想が科学や技術の発達で実現できそうになったことである。
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