米紙400余がトランプ大統領に一斉社説で批判は凄い
米国の400余りの新聞が、8月16日に一斉に「報道の自由」を訴える社説を載せた。これは自らに批判的なメディアをThe enemy of the people(国民の敵」と呼ばわって、執拗にメディア攻撃を繰り返すトランプ大統領に対抗したものである。
トランプ氏は、これまで主としてツイッターというSNSを使って「フェイクニュース」だ「嘘つきだ」と断じて来た。ツイッターは字数が極限られており、論理的な文は書けない。どうしても感情に任せた呟きになってしまう。
世界的に影響力を持つ米国の大統領が、そんなやり方で重要な政治発言も行っている。相手を論理的に根拠を挙げて説得するのではなく、感情発言で挑発をするのだ。北朝鮮の金正恩委員長を「バカなロケットマン」などと揶揄したのは一例で、万事そんな調子である。大統領がすべきことではない。
この取り組みを呼びかけたボストン・グローブ紙は、「記者は敵ではない」と題して、「自由な報道機関を国営メディアに置き換えるのが、あらゆる腐敗した政権がます着手することだ」「米国の偉大さは権力者にも真実をつきつける自由な報道機関によって支えられている」と書いたそうだ。
これに対してトランプ大統領は「ボストングローブが他の新聞と報道の自由に関して馴れ合いをしている」「本当の報道の自由以上に、我々の国のために私が欲しいものはない。実際は、報道は何を書いても言ってもいいが、大部分はフェイクニュースだ」と相変わらずフェイク呼ばわりをしている。
ここにはフェイクニュースについての何の根拠も示されたいない。まるで何でも「アカ」だと攻撃したアカ攻撃と同じ手口である。戦時中は特に、戦後も「アカ」は人々に恐怖心を起こさせる単語であった。「フェイクニュース」も同じことを狙っているとしか思えない。
ニューヨーク・タイムズは、「気に入らない事実を『フェイク(偽)ニュース』とするのは民主主義の源泉を脅かす。記者を『国民の敵』と呼ぶのは危険の一語に尽きる」などと記したという。
米国の多くのメディアが一斉社説という論理的な手段でトランプ大統領に対抗したのは素晴らしいと思う。まだまだ捨てたものではない。
ひるがえって、日本はどうかというと、何年も前に米国の有力紙から「政府広報機関」と評された読売や産経のような大新聞があるし、読売、産経、日経は言わずもがな、朝日、毎日などの有力紙やテレビ局も幹部が安倍首相との会食を度々していると週刊誌に書かれていたことがあった。
安倍政権はトランプ氏より巧妙である。NHKを支配し、有力紙を手なずけ、数を恃んだやりたい放題の政治をしている。トランプ大統領の方が分かりやすくて微笑ましいくらいだ。
今回のことは米国の出来事だなどと軽く見てはいけない。、「自由な報道機関を国営メディアに置き換えるのが、あらゆる腐敗した政権がます着手することだ」というボストングローブの指摘のように、メディアを如何に支配するか手なずけるかが政権にとっての重大事なのだ。
日本のメディアは目を覚まして権力監視をしてほしい。
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