The King's Speachを観て
BSプレミアムで英国映画「The King's Speach」が放映されたので、録画をしておいて観た。劇場で上映されたとき観たいと思いながら観に行ってなかったのだ。2010年の暮れに制作されというからもう8年も前の映画だ。
今の英国のクイーンエリザベスの父親ジョージ6世が、吃音を治して大事な演説を成功させるまでの葛藤を描いたものである。登場人物は全て本名である。実話をもとにしているので興味深く観た。
ヨーク公アルバート王子が1925年大英帝国博覧会閉会式で父王のジョージ5世の代理として演説を行った。しかし、吃音症でうまく話せず悲惨な結果に終わったところから始まるのだが、
エリザベス夫人はオーストラリアからきた言語療法士のライオネル・ローグを訪ねる。(実際は1922年に言語療法士と会っているそうで、映画では期間を短縮してあるという。)それまでさまざまな治療をやって来たがダメで新聞広告を見てやって来たのだと話す。
ライオネルは治療は彼のオフィスでないとやらないという。エリザベスが「本当はヨーク公だ」と言うが受けつけない。
エリザベスは嫌がるアルバート王子を説き伏せ、オッフィスに連れて行く。ライオネルは対等な関係でないと治療はしないという。アルバートは反発するが互いにファーストネームで呼び合う。王族と対等な関係で治療しようというライオネルの態度はいい。
機嫌を損ねたアルバートに、ライオネルはこっそりと録音したレコードを土産だと言って渡す。
ジョージ5世はアルバートに王族としての責務を果たせるようにと厳しく接する。帰宅後アルバートはもらったレコードをかけてみて、自分が滑らかに発声しているのを知り驚く。それでアルバートはライオネルのもとに行き、いろいろな訓練を受ける。
アルバートが吃音になったのは5歳の頃で、厳しく右利きに直されたこと、乳母に虐待されたこと、吃音をバカにされたことなどを話す。
1936年1月、ジョージ5世が亡くなる。国王にはふさわしくないと言われていた兄のデヴィット王子がエドワード8世として即位する。
エドワード8世はアメリカ人で離婚歴があり、2度目の夫があるシンプソン夫人との結婚を望んでいた。シンプソン夫人は離婚するが、国王であり英国国教協会の長である者が離婚歴のある女性と結婚することは許されないことであった。エドワード8世のことを聞いて、ライオネルはアルバートに国王になるべきだと勧める。アルバート王子はそれはできないと言い、「平民に言われる筋合いはない」と言ってライオネルから離れる。
エドワード8世は恋をとって1年も経たずに王位を退く。「王冠より恋」ということで世界の話題となったが、イギリス王室には恋を大事にする気風があるようだ。
アルバート王子がジョージ6世として即位をするのだが、ジョージ6世はライオネルに謝り助けを求め、戴冠式の宣誓はうまく行く。
この頃ドイツではヒトラーが力をつけ、英国はドイツのポーランド侵攻を機に1939年9月3日にドイツに宣戦を布告する。世界大戦の始まりである。
この日ジョージ6世は大英帝国全土に演説をすることになる。ライオネルが傍らにいて助け、演説は完璧に行われた。二人はこの後も友情を保ち続けたというナレーションで終る。
この映画を観て感じたのは、英国王室と日本の皇室の違いである。この時代は日本は軍国主義がひどくなり、天皇は現人神として神格化された。天皇陛下というときには、直立不動で言わねばならなかったぐらいだ。
それに比べて英国王室はずいぶん開けていたことが分かる。王子や国王に対しての接し方でも普通の人と変わらないようだ。映画からはそうしたことがよく分かる。
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