面白かった「AI vs 教科書が読めない子どもたち」―②―
この本のポイントは「はじめにー私の未来予想図」を読むと分かる。
AIに関する本が溢れ、AI論議が盛んに行われているという。そして、「AIが神になる」、「AIが人類を滅ぼす」、「シンギュラリティが到来する」などと騒がれているが、それについて新井氏は、そんなことは「ない」と断言している。
※シンギュラリティ 「人間の一般的な知能と同等レベルの知能」のAIが、自分自身よりも能力の高いAIを造り出すようになる地点。(新井氏の定義)
今の若い人たちの子どもが生きている間ぐらいの近未来には、AIやAIを搭載したロボットが人間の仕事の全てを奪うことはないというのだ。
なぜなら、AIはコンピュータであり、コンピュータは計算機であり、計算機は計算しかできないからだという。
AIがコンピュータ上で実現されるソフトウエアである限り、、人間の知的活動の全てが数式で表現できなければ、AIが人間にとって代わることはない。今の数学にはその能力はないと言っている。コンピュータの速さや、アルゴリズムの問題ではなく、数学の限界なのだそうだ。
※アルゴリズム 数学、コンピューティング、言語学、或いは関連する分野において、問題を解くための手順を定式化した形で表現したものを言う。
しかし、人間の仕事の多くがAIに代替される社会はすぐそこに迫っているという。そうなった時にAIに代替できない新たな労働需要が生まれるはずだから、余剰労働力はそちらに吸収されるから心配ないという人たちがいるという楽観論者がいるが、それには新井氏は悲観的だと言っている。
新井氏たちは日本人の読解力について大掛かりな調査と分析をしたが、中高生の多くは、中学校の歴史や理科の教科書程度の文章を正確に理解できないという驚くべきことが分かったそうだ。
これはAIで対処できない新しい仕事は、多くの人間にとっても苦手な仕事である可能性が高いというのだ。
「AI vs 教科書が読めない子どもたち」(東洋経済新報社刊 1500円+税)は、上記のようなことがらを章を追って丁寧に分かりやすく説明してくれる。
前半はAIについてその功と到達点と限界について、後半は全国的に行った読解力テストとその分析、対処法について書いている。大変面白い本である。
AIは計算機であり、特定のことについては凄い力を発揮するが、万能で汎用的な仕事はできないということが分かった。そして改めて人間の脳や臓器などが非常に勝れていることを思った。
AIが人間を超すには人間の脳や臓器などの完全な解明がなされない限り不可能なのだ。
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