安倍政権の強圧的文部行政―前川氏授業の何処が悪い?
名古屋市立の中学校で、前川喜平前文部次官を呼んで、授業の一環として講演をしてもらったことについて、文部科学省から名古屋市教育委員会を通じて講演内容を問い合わせ録音の提出を求められた。
メールを送ったのは、文科省の教育課程課課長補佐で、メールでは、前川氏が天下り問題で辞任したことや、出会い系バーの店を利用していたと指摘したうえで、「道徳教育が行われる学校に、こうした背景のある氏をどのような判断で授業を依頼したのか」と具体的に答えるよう記しいる。さらに、録音があれば提供することなど15項目について文書で回答するよう求めている。
名古屋市教委は講演内容は伝えたが、録音は提供しなかった。教育課程課は電話を2回もしている。そして前川氏を呼ぶことは慎重に検討すべきだったと伝えたという。
文科省が前川氏について神経質になるのは、昨年辞任後学校法人「加計学園」獣医学部新設などをめぐって「行政がゆがめられた」などと発言しているからだろう。現在は「森友学園」問題が沸騰しているが、「加計学園」問題も終わってわけではないのだ。
「出会い系バー」を利用したことなど言いがかりに過ぎない。読売新聞にリークして貶めようとしたのは文科省であった。
前川氏が話したのは、幼少時代の話しや科学技術で変わる社会についてや、夜間中学が大切なことなどをエピソードを交えて話し、参加した中学生や保護者はよかったと言っている。
地方教育行政について定めた法律では、学校教育に対して、指導や助言などができるのは原則として教育委員会である。国は学習指導要領の作成など全国的な基準の設定や、教員給与の一部負担など教育条件の整備が主な役割だ。
いじめ自殺など子どもたちの命に関わる問題が相次ぐ中で、国による関与が必要だとする声も強まり、平成19年に文部科学大臣が教育委員会の対応が不適切だった場合、是正の指示ができるようになった。
しかし、これも法令違反や子どもの命や身体の保護のため、緊急の必要がある場合に限定されているのだ。今回のように個別の授業内容を調査できる権限は原則、認められていない。今回の文科省の強権発動的やり方は、戦前に戦争遂行のため検閲が強化されて行ったことを思い起こさせる。
NHKの「わろてんか」で映画を作ろうとして、検閲に引っ掛かりシナリオをすっかり書き換えさせられたことを見てもよく分かる。
1回の授業について、文部科学省が介入するということはあってはならないことだ。安倍政権はここでも戦前回帰を目指していることを露呈した。
河村名古屋市長もとんでもないことだと批判している。
森友学園の次は、加計学園問題で安倍政権の嘘つきと友だち贔屓のやり方の不正をはっきりさせてほしい。財務省だけでなく文科省も同じ穴のムジナなのだ。
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