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2018年3月 3日 (土)

働く者を搾り取る「働き方改革」法案は「菜種油法案」だ!

 安倍首相は今国会を「働き方改革国会」と位置付け、働き方改革と称する法案を一括で提出し審議してきた。法案を一括するのは安保法制の時と同じである。

 ところがここに来て、安倍首相が一番ご執心である「裁量労働制」の部分を削除することになった。厚生労働省のデータから相次いで異常値が見つかったから断念ぜざるを得なくなったのだ。

 安倍首相は、「厚生労働省の調査によれば、裁量労働制の労働時間は一般よりも短いというデータもある」と言って数字を示したのだが、そのデータそのものが間違っていたにもかかわらず、裁量労働者の1日の労働時間は9時間16分で、一般労働者の9時間37分より短い、と偽って答弁したのであった。

 結局2月14日に答弁を撤回したのであった。とにかく裁量労働制をなんとしても拡大したいがために都合よくデータを改ざんして示したのであった。厚生労働相も一緒になって強弁していたが、野党の努力によっておかしなデータが次々に出て来たのだ。

 裁量労働制はどれだけ働いてもあらかじめ決められた残業代込みの賃金しか支払わない、という違法なサービス残業を合法化するものである。専門家からは「定額働かせ放題」だと批判され、長時間労働や過労死の温床になるとしてきされている。

 裁量労働制を断念するまでに、安倍首相は導入を強く求めて来た経済界を深く失望させるので相当悩んだと言われる。

 経営者側は、労働者を如何にし安く、長く働かせるかを産業革命以来ずっと追及してきたのだ。江戸時代に領主は「農民と菜種は絞れるだけ絞りとれ」と農民の生活や人権を顧みず搾り取って来たが、労働者が発生して以降は、経営者たちは同じ考えで労働者を絞れるだけ搾り取ってきたのであった。

 利益を上げるためにはやれることはなんどもやるというのが経営者である。現に企業の内部留保は毎年増え続け4年間で100兆円も増え、今や406兆円余りにまでなった。経営努力と言いたいのだろうが、利益を上げるためには人件費の節約が第一なのだ。働く者こそ哀れである。血も涙もないやり方で絞りとって巨額な利益を得ているのだ。日経ビジネス誌でさえ働く者の収入は抑えられていると書く。

 裁量労働制も”合法的”に働かせるための法案であるのだ。本来なら「働き方改革」は労働者のためでなくてはならないはずだ。それが逆転しているのだ。私が命名するなら「菜種油法案」である。

 新聞によると、野党は「高プロも撤回が筋」と言っているそうだがそれは当然である。長妻立憲民主党副代表は「高プロは裁量労働制。(裁量労働制を)撤回するのであれば、高プロも撤回しないと話の筋がおかしい」と述べたそうだがその通りである。

 ※高プロ→高度プロフェッショナル制度。高度な専門知識を持ち、一定の年収がある働き手の労働時間を外す制度。年収1075万円以上。

 

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コメント

ある評論家が「働き方改革」ではなく「働かせかた改革」といっていたが言い得て妙である。労働者の賃金は抑えられてきた反面、昨今、一部上場企業では年収1億円を超える役員がざらにいるようになってきた。日本の企業はヒラの社員と経営者層の報酬格差が欧米に比べはるかに小さいのが特徴であり、それが企業の一体感の源泉でもあった。企業のグローバル化で経営者の報酬だけが高額になり労働者の賃金は一向に上がらない。昨今、日本の有名企業で考えられない品質上の不祥事が頻発するのも労働者のモラル低下があるように思える。ルサンチマンであることを承知で敢えて言いたい、経営者層の何億もの報酬は高すぎる。それよりも商品価格を下げるか、労働分配率を高めるべきである。

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