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2018年2月 2日 (金)

小中学校の集団ワクチン注射を止めたら高齢者のインフル死亡が増えた?

 Yahooニュースに次のような記事があった。「小中学生のワクチン集団接種 をやめたら、インフルエンザ で亡くなるお年寄りが増えた。なぜ?」

  インフルエンザワクチンの集団接種と高齢者のインフルエンザ死亡増加とどんな関係があるのかと興味をそそられた。

  この冬はインフルエンザが大流行し、A型とB型が同時進行しているのも珍しいことだという。厚生労働省が1月26日にまとめたインフルエンザの発生状況によると、全国の推計の患者数は約283万人で、調査を始めた1999年以来最多となった。学級閉鎖や学年・学校閉鎖になった保育園、幼稚園、学校の数は、21日までの1週間で7536カ所にのぼっているというのだ。

  今から31年前に当たる1987年までの11年間だけだったが、小中学校でインフルエンザワクチンの集団接種が義務づけられていて、大半の子どもが学校で接種を受けていた時代があった。

  私も保健室に子どもを並ばせて予防接種を受けさせた覚えがある。ついでに教員も接種をしてもらった。子どもに移すといけないからだ。

  それが無くなったのは、ワクチンを接種した後に高熱を出して後遺症が残ったと、国に損害賠償を求める訴訟が相次いだからだ。そこで、こうした社会情勢を背景に政府は法律を改正し、1987年に保護者の同意を得た希望者に接種する方式に変更、 1994年には、打っても打たなくてもいい任意接種に変わったという。

 同時にワクチンそのものの効果を疑問視する声も広がり、かつて100%近かった小中学生の接種率は、90年代、極めて低くなったというのだ。

  東京都内のある小学校を24年もの間、インフルワクチンの接種状況と学級閉鎖との関連を観察してきた慶応大の研究によると、ワクチンが集団で接種されていた時期、希望者だけに接種した時期、そして任意接種になった時期、再び増えてきた時期など5期に分け、その間の接種率と学級閉鎖の数の推移を比べたら、ワクチンの接種状況との相関性が明らかになったそうだ。

 大半の子どもが打っていた4年間の学級閉鎖の日数は1.3日。それが緩和されると接種率の低下と反比例する形で8.3日、20.5日と増えていく。1996年には、この学校の児童の接種率は0.1%まで下がった。

  集団接種をやめて接種率が下がると、その分インフルエンザになる子どもが増えるし、逆に上がると減ることが分かったのだ。

  それだけでなく、意外なことが分かった。それは小中学生の集団接種の停止は、接種を受けた小中学生だけではなく、もっと小さい幼児やお年寄りにも影響を及ぼしていたことだった。

  子どもへの集団接種が始まると、インフルエンザで亡くなるお年寄りの数(超過死亡)は減った。そして、集団接種がなくなったあたりから再び増えたのだ。

  子どもにワクチンを打つことが、子どもたち自身の発症や重症化を抑えていただけでなく、インフルエンザで亡くなることの多い高齢者の発症をも抑える役割を果たしていたことが分かるというのだ。

 小中学生への集団接種が、社会のほかの集団にも与える影響は「間接予防効果」(集団免疫)と呼ばれ、各国のインフルエンザ対策に大きな影響を与えた。

 一定割合の集団にワクチンを打つ取り組みを続ければ、それは接種を受けた本人や集団に免疫をつけるだけでなく、やがてその社会全体に免疫をつけることになるのだという。

 面白い研究である。最近はインフルエンザワクチンなどやらなくてよいという主張をする近藤誠医師のような医者もいる。確かに人によっては副作用で苦しむ人もいるだろう。私もこの数年はワクチンを打っていない。しかし、集団接種が社会的予防効果をもたらすとしたら、再考が必要かもしれない。

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