楽しみな連続ドラマ「トットちゃん」
メーテレで月曜から金曜日まで午後12時30分から20分間の連続テレビドラマ「トットちゃん」をやっている。この時間帯は以前倉本の「やすらぎの郷」をやっていた。高齢者を対象としたドラマで評判はよかったそうだ。その後番組である。
「トットちゃん」といえば黒柳徹子さんが書いた「窓際のトットちゃん」が有名で、中国でも1千万冊以上売り上げた人気の本である。ドラマはその本やお母さんの「ちょっちゃんが来た」などをもとに大石静さんが脚本を書いたものだ。
私は最初から観ているが、黒柳徹子というタレントがどのように成長して行ったのかを知りたいという、興味本位で観はじめたのであった。
このドラマは黒柳徹子のお母さんがお父さんと知り合うエピソードから始まっている。本名で書かれているからおそらく事実を中心にしたフィクションなのであろう。
北海道の無医村で開業し、村民から慕われている医者の一人娘が徹子の母の朝(チョウ)(松下奈緒)である。相手の黒柳守綱(山本耕史)は一流オーケストラのコンサートマスターである。朝は東京の音楽学校で学んだ声楽家だ。第九の合唱の一員として歌うのだが、黒柳に「声が大きいだけだ」とけなされる。それでもお互いに気になっていたのだ。
朝の父は養子を迎えて門山医院を継がせようと考えていたが、黒柳守綱は朝に結婚を申し込み、二人は同棲を始める。父親には勘当されてしまうが二人は結婚して愛を貫く。
徹子の母の朝は自由で旧習にとらわれない新しい考え方の優しい人である。父親の黒柳は音楽一筋の一徹なところもある人だが妻の朝を深く愛している。
このドラマはそうした両親の馴れ初めから始まったところがいい。徹子ののびのびした好奇心旺盛は性格を暖かく見守って育てている様子がドラマで観ることができる。
徹子が型破りなので公立小学校から退校させられる。その場面も当時の学校の規則づくめの窮屈な様子を描いている。そしてともえ学園という私立小学校に移るのだが、そのエピソードもおもしろいし、子役豊嶋花が好演である。また校長先生の竹中直人もはまっている。
黒柳徹子の父親守綱は男の子を期待して「徹」という名を決めていたが女の子だったので「徹子」にしたという。
昭和13年にともえ学園に入ったが、日本はだんだんと国家統制を厳しくしていく。そして日米開戦をしてますます国家総動員の体制になり、物資も欠乏する。そうした戦時中の生活を避けては通れないのだが、その時代の厳しさも織り込まれている。
戦傷者の病院に慰問に行くがトットちゃんはみんなと一緒に歌えず、要望に応えて毎日歌っている食事の時の歌を歌うシーンもいい。兵隊たちは涙するがトットちゃんはどうして泣くのかしきりに考える。そしてどぶにはまる。助けてくれた近所見回りの人が「傷ついて帰ってくるような奴はろくな奴ではない」というところも戦時下の日本を描いていていい。
トットちゃんが可愛がっていた犬のロッキーも徴用されてしまる。トットちゃんは毎日泣いて過ごした。
クラッシック音楽は禁じられていたが、敵を欺くためにラジオで放送されていたというのは初めて知った。
最後の演奏会を指揮したのは、杉原千畝の命のビザによって日本に来た世界的指揮者アラン・ヴォルヴであったことを初めて知った。
また徹子の弟が敗血症で亡くなったことやその後父親の守綱が出征したことなど、悲しいつらい出来事が描かれていた。
黒柳徹子という今も実在の人物を描くドラマは興味津々であり、視聴率もあげそうだ。
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