原発のコスパは最悪だとまだ気づかない愚かさ
福島第一原発が東北大震災の大津波によって、4基の原子炉が使い物にならなくなってから6年あまりになる。その廃炉の見通しが未だ経っていない。それなのに政府は一時は止まっていた原発を再稼働させている。
原発は安全だ、発電コストは化石燃料や再生可能エネルギーなどに比べても一番安いし、二酸化炭素を出さないから、地球環境にも優しいと言われてきた。しかし、原発は一旦事故を起こして動かせなくなってしまうと、どうにもならない厄介物だということがはっきりした。それなのに原発に依存を続けているのだ。
日本にはこれまでの商業原発で発生した使用済みの核燃料が約二万トンもあるという。その燃料から出る放射性廃棄物からは、今後数万年から10万年物長い間放射能を出し続けるのだ。これまでの人類の歩み寄りも長い未来に向けて放射能はゆっくりと減って行くのだ。
思えば何という愚かな物を人間は作ったのであろうか。しかも、使用済み核燃料から原子爆弾を作ることもできるのだ。
今日本には原子力発電は54基ある。もし再びその一つでも事故に遭えば福島原発と同じことになり、廃炉に向けて巨大なコストと労力が必要となる。原子力発電は決して安全で低コストとは言えないのだ。
これまでに溜まった核廃棄物やこれからも発生する核廃棄物の処理のために、政府は300m以上の地下に埋めて密封することにした。その最終処分地について「科学的特性マップ」を発表した。
しかし、候補地が見つかっても調査だけで20年もかかると言われる。その後地中深く掘削して埋設することになるのだろうが、いったいどのくらいの時間を要するのであろう。
仮に埋めるところまでいったとして、何万年先までの安全を予想できるのであろうか。火山列島の日本でいつどこで大地震が起きるか分からないのだ。日本学術会議は「万年単位に及ぶ超長期にわたって安定した地層を確認することは、現在の科学的知識と技術的能力では限界がある」と指摘したという。
それでも高レベル放射能廃棄物の処分は避けて通れない。コスパから見ても大変な厄介物であることは明らかである。
とんでもない物を作り、未だにそれに依存している日本。なんという愚かなことであろう。日本の科学技術を総動員すれば再生可能エネルギーによる安価な発電は可能だと思うのだが。
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日本に投下された原爆を製造した工場は、需要がなくなった花火工場を閉鎖するようなわけにはいかず、今でも巨大な費用を使って維持管理され続けていると何かのテレビ番組が以前伝えていました。
単に巨大な税金を費やしているだけでなく放射能汚染の危険をはらみながら。
フクシマの原発事故の何がけしからんと言って、きれいな空気、きれいな水、きれいな土が広範囲に渡って失われたことです。
地震災害、豪雨災害なら10年、20年で復旧出来るでしょう。しかし・・・
「美しい日本」などと口ぐせのように言う首相は、あるいは原発は毎日事故を起こす自動車よりも安全だなどと言う御仁は、福島のお米を、福島の魚を毎日食べながら言っているのでしょうか。
投稿: たりらりら | 2017年8月 7日 (月) 21時22分
世界で唯一の被爆国が核兵器禁止条約に反対したことは何とも情けない限りです。高齢の被爆者が総理と面会したが「ウソでもいいから核兵器反対と言ってほしかった」と。福島の原発事故を見てドイツや隣の韓国が原発廃止を目指す一方で、相変わらず原発再稼働を推進するのは、放射性廃棄物や先のことなど知ったことではない、自分たちだけが利権を受ければよいという無責任な強欲だけの人間がたくさんいるからだろうと思います。人間がコントロールできない危険な原発を未来に残すことは、子供たちに言い訳できない、取り返しのつかないことになりますね。
投稿: danny | 2017年8月 7日 (月) 09時38分