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2017年8月20日 (日)

NHKスペシャル「731部隊の真実」を観て

 8月13日に放映されたNHKスペシャル「731部隊の真実」を観た。以前に組曲「悪魔の飽食」のことを書いたが、そのときネットで調べたら、731部隊は作られたものだとかウソだとかいうサイトがたくさんあり、森村誠一の「悪魔の飽食」もでっち上げだというような批判がされていた。

 今回のNHK「731部隊の真実」では、731部隊がでっちあげではなくて「真実」として取り上げられていた。もとにした資料は旧ソ連によるハバロフスク裁判を記録したテープであった。このテープの存在が72年ぶりに発見されたのだ。

 その他に京都大学や北海道大学に残されていた資料を発掘したり、731部隊に14歳の少年兵として徴用されていた三角氏の証言なども交えて作られていた。

 731部隊は旧満州国のハルピンの広い敷地に置かれていた。その建物とか物品等は8月9日のソ連参戦により、証拠を隠滅するために破壊したのであった。現在残っているのはビルの残骸だけである。

 三角氏は、731部隊に関係した医者や科学者たちが帰国したあと、他の少年兵と共にガソリンで囚人を焼き骨も拾って始末をさせられたという。

 731部隊には全国から医者などの優秀な科学者が集められて研究に参加していた。京都大学の11名、東京大学の6名の他に全国の大学から多くの研究者が集められていた。

 派遣した大学には巨額の研究費が政府から支給された。また731部隊の研究者にも多額の金が支給されたのだ。

 テープに録音された証言によると、チフス菌やペスト菌などを囚人に食べ物と一緒に食させたり、身体に振りかけたりして発病させていた。

 囚人というのは「匪賊」と呼ばれた中国人たちである。戦争がはげしくなるに連れて「匪賊」がどんなに凶悪なものであるかを人々に刷り込ませる情報が新聞やラジオでばらまかれた。日本人はそんな奴らは徹底的にやっつけてしまえと思うようになったのだ。私は子どもの頃読み物などで「匪賊」というのが満州にいることを知り、とんでもない怖い連中だと思いこんでいた。

 多くの学者たちも、匪賊だから人体実験に使ってもよいと罪悪感をなくしていったようだ。陶器製の爆弾にチフス菌やペスト菌などを詰めて空中で破裂させばらまく爆弾が作られた。その爆弾は昭和16年から17年に3回使用されたという。また村にばらまくこともされた。 

 人体実験に使用された人の中には女性や子どもやソ連人も一部含まれていた。

 731部隊で人体実験に携わり研究をした関係の科学者は戦後罰せられることはなかった。それは731部隊で得られたデータを米軍に提供することと引き換え罪を問われなかったのだ。そして彼らはその後医学界などを引っ張る存在になった。多くの医者を送り込んだ和田正三京大医学部長は医学界の重鎮となった。チフス菌などの人体実験をした田部井氏は細菌学の権威をなった。

 凍傷の研究をした吉井寿人は死ぬまで自分は何も悪いことをしていないと言っていたそうだ。

 テープには柄井氏の話しが記録されていて、彼は痛切に反省をしている。残念なことに8年の刑期を終えると自殺をしてしまった。

 生き残った研究者たちは731部隊でした研究については何も語らず、研究の道を進んだ。本来なら歴史の貴重な証人として証言をしておく責任があったのに。ハバロフスク裁判のテープの証言はそうした医学者たちの下で働いた人たちが証言をしているのだ。

 ※次のサイトに詳しく出ている

   http://lite-ra.com/2017/08/post-3392.html

 

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コメント

残念ながら私はこの「731部隊の真実」というNスぺ番組をみなかったが、同じ終戦記念特別企画の「戦慄の記録インパール作戦」をみた。相手の戦力や兵站を軽視した無謀な戦いで甚大な死傷者を出し、旧日本軍の体質を象徴的に示したとされる「インパール作戦」。今回、初めて公開される英国からの資料に加え、総司令官牟田口廉也のもとで斉藤少尉が克明に記録した回想録も同時に公開された。正視に耐えない場面も多くあったが、まことに刮目に値する番組であった。牟田口廉也氏は戦後も生き延び、晩年は弁明に終始し、一度も反省や謝罪を口にすることはなかったと。このような良質な番組を制作し、放映を許可したNHKはまだまだ捨てたものではない?と思った次第。

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