東京新聞望月衣塑子記者へのインタビュー記事―①―
最近、菅官房長官への質問で食い下がって名を売った女性記者がいる。東京新聞の望月衣塑子さんである。望月記者へのインタビューを高原伸夫さんが起こしたのを友人が送ってくれた。読んでみて是非紹介したいと思った。
子育てしながら権力と対峙する——菅官房長官に切り込む東京新聞・望月記者に聞く
インタビュアー:浜田 敬子 [BUSINESS INSIDER JAPAN] and 小島寛明 [ライター] 17.7.16
菅義偉官房長官の会見で、日々食い下がっている女性記者がいる。東京新聞社会部の望月衣塑子さん(42)だ。政権ナンバー2に向けられる長くてしつこい質問は、整然としていた首相官邸の記者会見場の“ルール“を破壊し、政権や官邸記者クラブから煙たがられる一方で、読者らの熱い支持も得ている。「権力の監視役」を自認してきた大手メディアが、その役割を見失いつつあるようにも見えるいま、メディアはどう権力と向き合うべきなのだろうか。霞が関で、望月さんの話を聞いた。
東京新聞の望月記者。官房長官会見で1人食い下がる姿がテレビなどで広まった。彼女の質問が文科省内の加計学園に関する文書の所在を「再調査」するきっかけになったとも言われている。
官房長官の記者会見は、原則として月曜から金曜日の午前と午後に開かれている。出席するのはおもに、首相官邸記者クラブに所属する新聞・テレビなど主要メディアの政治部の記者である「官房長官番」たちだが、加計学園問題など政権中枢に関わる疑惑について直接質問する目的で他部の記者が参加することがある。曜日によっては、フリーランスの記者も参加できる。
Business Insider Japan(以下、BI):社会部の記者である望月さんがなぜ官房長官会見に出席することになったのですか?
望月:現在の私の取材テーマは軍学共同と武器輸出で、あとは散発的に、事件などの発生ものをヘルプしています。2人目の子どもを産んで、復職したあとに 武器輸出を解禁する「防衛装備移転三原則」が決まり(編集部注:2014年4月1月閣議決定)、そのときに、子どもがいると取材先への朝回りと夜回り( 編集部注:記者が、職場以外で政治家や行政職員、検察官などに接触を試みる) ができないので、上司から「なにかテーマをもって取材をしたほうがいい」とアドバイスされ、比較的自由に取材をさせてもらっています。
事件取材が長いので疑惑系のニュースには関心があって、森友学園問題や加計学園問題についても、自分から手を挙げて入っていきました。その流れで、官房長官会見に出席するようになりました。
「この問題を放っておいてはいけない」
BI:初めての官房長官との“対決”は6月6日でしたね。
望月:加計学園問題の取材を進めているうちに、「総理のご意向」と書かれた文書が出てきて、いつも淡々と返す菅さんが、「出所不明で調査にあたらない」と発言して、彼にしては、珍しく怒っているなとテレビの会見映像を見て思ったのです。
その流れの中で、前川さん(編集部注:前川喜平・前文科省事務次官)の出会い系バー通いの報道が読売新聞に出たんですね。
読売がこの段階で出すということは、将来、これは事件にでもなるのかな?と一瞬思いましたが、現在でも何の動きもありません。正直、読売新聞の事件報道は、「固い」という印象があったので、記者としてショックを受けました。その後、実名で文書の存在を証言した前川さんにようやくアクセスでき、6月1日に3時間ほどインタビューをしました。
一方で、安倍晋三首相と関係が深いと言われている元TBSのワシントン支局長で、フリージャーナリストの山口敬之氏から、性的な被害を受けたと訴えているフリージャーナリストの詩織さんにもインタビューをしました。山口氏の逮捕に至らなかったことについて、政権の関与や官邸と関係の深い警察幹部の配慮が働いた可能性があるではないかと考えて、この問題を放っておいてはいけないと思っています。
―つづく―
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