混声合唱組曲「悪魔の飽食」愛知公演
混声合唱組曲「悪魔の飽食」 第27回全国縦断コンサート愛知公演が7月2日に日本特殊陶業市民会館フォレストホールであった。同じ男声合唱団に属するKさんが出演するというので券を買ってあった。
当日は、もう一つのコンサートを一部聴いてから行ったので、オープニングの合唱「いま わたしたちは」は聴くことができなかった。会場に着くと挨拶をしていた。
会場は3階席まで満席でおどろいた。幸い指定席なので8列目のいい席であった。第一部のティンティンさんの中国琵琶の演奏から聴くことができた。ティンティンさんは中国琵琶を幼少のころから学び、日本に来て中部大学の講師をしながら、演奏活動を続けているそうだ。
自分が作曲した「春雨」「長安への道」「木蘭の涙」の3曲を演奏した。琵琶の図柄は正倉院にある中国琵琶のものを写したそうだ。指ではじいて演奏するのだが、とてもきれいな音色で、日本の琵琶と違って高音を使うように感じた。
ティンティンさんは西安の出身だそうで、それで日本の遣唐使が長安に行ったことをモチーフに「長安への道」を作ったと言っていた。私も西安には5度も行ったことがあり懐かしく聴いた。
次は、TAJIMI CHOIR JAPAN(多治見少年少女合唱団とシニアコア)
童声(女声)合唱とオーケストラのための「響紋」 2台のピアノで「妨げ」になる音を弾き、合唱がきれいに歌うのであったが、初めて聴く演奏であった。
もう一つは、唱歌四季より「夕焼け小焼け」
どちらも合唱のレベルの高い演奏で大変よかった。
第2部は 対談で、プログラムには森村誠一氏となっていたが、悪魔の飽食のための合奏団の委員長の田中氏と作曲者の池辺晋一郎氏の対談であった。池辺氏はダジャレをよくとばすそうで、対談でも何度も飛ばして笑いを取っていた。
悪魔の飽食は、森村誠一氏の詩をもとにしているそうだが、最初16節あって、長すぎるのでそれをそのまま組曲にすると大変だから、田中氏や池辺氏らで「編詩」をして7節にしたのだそうだ。
池辺氏の話の中で、戦争を扱った曲には、「加害」「被害」の他に「自害」があるというのが印象的であった。悪魔の飽食は加害の要素が強い曲だ。「自害」は日本が戦争で大変な被害を蒙ったが、その他に戦時体制に組み込まれることによって生活が破壊され、自由や権利が損なわれるなどの「自害」を受けたというのである。
今また安倍政権によって、日本は戦前回帰へ引きずり込まれようとしている。特別秘密保護法、集団的自衛権容認、安保法制、共謀罪法などで戦争ができ、監視される社会になろうとしているのだ。これはまさに「自害」である。
もう一つ、池辺氏は「音楽で戦争をやめさせるというようなことはできないが、人々の肩を組ませることはできる」と語ったことも心に残った。
第3部の混声合唱組曲 「悪魔の飽食」は、この曲を歌うために合唱団が全国から応募した人たちで作られている。愛知県からは170名、その他の県からは250名もが参加したという。指揮は作曲者の池辺晋一郎氏であった。
プログラムにすべての詩が載せてあったので、それを見ながら耳をそばだてて聴いた。コンサートに来て詩を見ながら聴いたのは初めてであった。重い内容を理解すべくそうしたのであった。
森村誠一氏のメッセージ
まずは、小説、原発を舞台にした「死の器」から始まった。その中に旧満州731部隊日本陸軍の細菌戦争部隊の存在があまり知られておらず、「死の器」執筆中、731部隊に触れた。「死の器」が完成し、書店に並べられ、読者の1人から「自分は戦時中、731部隊の少年隊員であったが、あなたが書いた731部隊の実体はちがう。もし実体を発表したければ、協力します」と申し出てきた。そして、まだ隠されていた恐るべき731部隊のの実体を知らされた。これをきっかけに、これまで口をつぐんでいたもっとも汚い実体を元下級隊員たちが次々に告発してきた。そいsて「悪魔の飽食」に成長し、神戸市役所センター合唱団団長・田中嘉治氏の目に触れ、「これを詩にして、合唱組曲として、全国、世界に知らせたい」と熱っぽく申し出て来た。
731の恐るべき素顔を詩に変えるのは無理だと思ったが、田中氏の、このような手段を選ばぬ戦争の悪夢を二度と見ぬよう歴史の教訓として歌いたいと離れぬ田中氏の熱意に感動して、16節の原詩を書いた。(後半は省略)
« 都議選自民惨敗について、ジャーナリスト江川紹子氏の明快な評 | トップページ | 海がプラスチックのゴミで汚染されていることは知っていたが »
「音楽」カテゴリの記事
- [ 「オペラの魅力」コンサート(2022.01.21)
- ムジカ・スコーレのコンサート(2021.11.01)
- ブルーローズ合唱団のコンサート(2021.10.23)
- 「私は左手のピアニスト~希望の響き世界初のコンクール~」を見て (2021.01.27)
- オルガンの秋 ブランチコンサート(2020.12.12)
« 都議選自民惨敗について、ジャーナリスト江川紹子氏の明快な評 | トップページ | 海がプラスチックのゴミで汚染されていることは知っていたが »
コメント