前川前事務次官は立派である
AERAによると元文部科学省官房審議官で、京都造形芸術大学教授の寺脇研さん(64)は、5月22日、「森友学園問題と同様、加計学園問題でも都合の悪い情報は、どんな手を使ってでももみ消そうとする官邸サイドの暴走が止まらない。小説か映画のようなことが実際に起きている」と語ったそうだ。
読売新聞が社会面で「前川前次官 出会い系バー通い」と文科省在職中に新宿・歌舞伎町の出会い系バーに頻繁に出入りしていたこと報じた。出会い系バーは売春の温床にもなっており、「教育行政のトップとして不適切な行動に対し、批判が上がりそうだ」と読売新聞は書いた。
前川氏がとんでもない人間だと思わせ、信用できない人物だという印象をあたえようとしたのだ。寺脇氏は「官邸寄りのメディアに情報をリークし、記事を書かせたのではないか」という。サンデーモーニングでも同様の指摘をしていた。
前川氏自身は、この記事について、「すでに辞任し、一私人となった今、なぜあのような記事が出るのか不可解だ。記事を読み、『加計学園のことは話すな。話すとひどいことになる。こうして実際に起こったでしょ』と、私に対する威嚇と感じました」と言っている。その通りだろう。
前川さんは現在、自宅から離れて生活していて。官邸の様子を知る文科省の後輩から「しばらく海外に出て、逃げたほうがいいのではないか」と忠告も受けたそうだ。身の危険を感じているのであろう。
前川氏は現在、自宅から離れて生活している。17日に朝日新聞が「総理のご意向」と書かれた文書の存在を報じて以降、官邸の様子を知る文科省の後輩から「しばらく海外に出て、逃げたほうがいいのではないか」と忠告も受けた。身の危険すら感じているのであろう。
出会い系バーに行き始めたきっかけは、出会い系バーのことをテレビのドキュメンタリー番組で知ったことだという。経済的に困窮した女性が朝まで居場所代わりに使ったり、そこで見つけた男性客に体を売ってお金を稼いだりしている実態が衝撃的だったという。
それで実際に生の声を聞きたくて足を運び始め、多いときは週に1度のペースで店に通い、女性たちの身の上話に耳を傾けたそうだ。
「この状態を何とかしなければという思いは、仕事の姿勢にも影響した。高校無償化や大学の給付型奨学金などに積極的に取り組んだ」というから水戸黄門のようなもので、褒めるべき行動である。
AERAによると、前川さんは辞任後、二つの夜間中学校の先生、子どもの貧困・中退対策として土曜日に学習支援を行う団体の先生として、三つのボランティア活動をしているそうだ。前事務次官としてきっと年金は高額であろうが、普通天下りをして現職時代と同じかそれ以上の収入が得られるのに、ボランティアとは立派である。
菅義偉官房長官が「怪文書みたいな文書」とする文書について、「私が現職時代に担当課の職員から受け取った文書と朝日新聞が報じた文書は同じもの。日付や名前が入っていないことなどから怪文書呼ばわりされたが、あれは部下が上司に説明するためのレク用の資料です。その場限りの資料。名前や日付が入ることはない。霞が関で働く人であれば、あれを怪文書と言う人はいない。」
政治家と官僚は感覚が異なるのだろうか。平気で黒を白と言ったり、知らぬ存ぜぬと否定するのが常道となっているが。
「加計学園の獣医学部新設に関する文書は、非常に歪められた行政の実態を示す文書だ」と指摘する。
「獣医学部新設の設置認可は文科大臣に与えられた権限だが、新設を認めてこなかったのだから国民に新たなニーズを説明しなければならない。しかし、獣医学部新設が必要という新たな根拠を示すよう再三、内閣府に求めたが、それを示すこともなく、ただ2018年4月開学が大前提でスケジュールを作れという無理難題。内閣府の性急さ、強硬さは尋常ではなかった」
総理のご意向を忖度して何が何でもと押し通したのだ。「いずれにせよ、そうした言葉があると、意識せざるを得ない。さらには、加計学園の理事長は安倍首相の親友。そこは想像しちゃいますよね。忖度というか、暗黙のプレッシャーはありました」と語っている。
文書の存在や忖度の存在についてはっきりと話した前川氏は本当に立派である。それを否定するために、前川氏の人格攻撃をするというのは卑劣極まるやり方である。森友問題の籠池氏も同じやり方で問題の本質を隠されようとしている。同根である。
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コメント
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政治は最高の道徳である(べきである)という言葉あるが、加計学園問題をめぐる政府側の対応はこれとは真逆に思えてならない。政権に逆らうものは容赦しない。手段を選ばず切り捨てる。都合の悪いことは隠し通す。嘘でもいいからいい繕う。前川氏のインタビューを聴けば、終始真面目な、真摯な態度で真実を語っているように思え一方、菅官房長官の居丈だけな態度は醜悪ささえ感じてしまう。わけ知りの評論家はこんなことは当たり前のことで、驚くに当たらないというが、そうなのだろうか。そう言えば、「政治(家)に倫理を求めるのは八百屋に行って魚を求めるようなものだ」という言葉もあった。それでも安倍内閣の支持率は高止まりなのだろうか。結局のところ国民がこのような事態を許容しているといわざるを得ないのだ。
投稿: toshi | 2017年6月 2日 (金) 09時58分