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2017年4月 1日 (土)

共謀罪法は一般市民に無縁ではない―⑤―

 

身分証と指紋という組み合わせは、敗戦を経たにもかかわらず、戦後の外国人登録制度へと引き継がれる。

 日本は1947年、外国人登録令によって旧植民地出身者を一方的に日本国籍から切り離し、「外国人」としての登録を義務づけた。1952年、サンフランシスコ講和条約発効の日に、外国人登録令は外国人登録法へと移行。登録時の指紋と外国人登録証の常時携帯が義務づけられるようになった。

 身分証の携帯義務は、それ自体が警察官から呼び止められ、職務質問を受ける理由になる。外登証を持っているか、あなたはどこのだれか、なにをしているのか、どこに行くのかと聞くことで、国は個人の移動を追跡し、記録することができる。IDカードは身体に密着した動的な監視を可能にした。

 植民地出身者を対象とする動的監視の技法は、敗戦によっても断絶することなく、むしろ立法化され、継続してきたのだ(2012年からは新しい在留管理制度に移行し、「特別永住者証明書」と「在留カード」として継続)。

 

デジタル社会の到来とともに、IDカードと生体認証と呼ばれる顔写真、指紋、虹彩などの身体データは今日、監視の基盤となる個人の識別方法として急速に普及している。

 しかし、これらのテクノロジーは実は近代の植民地支配にルーツを有している。日本では単に「本人確認のため」としか説明されることのない識別情報は、実は個人を振り分け、管理するための仕組みであることが、ここから透けてみえてくる。

 

♦♦国家が個人を識別する制度は、近代の国民国家の内側では、徴税、徴兵、教育、福祉のための登録から発達してきた。その一方で、国民国家の外側では植民地の人々を対象に、もっと身体を直接的に監視する手法が編み出されてきた。

 指紋は19世紀後半、英国警察が植民地インドで人々を見分けるために研究し、やはり植民地だった南アフリカでもテストした。北米でも20世紀初頭、中国からの移民を制限するために指紋の採取が検討された。

 もともと白人の官吏の目には疑わしく、劣っていて、同じような顔にみえる植民地の非白人を、身体的な違いでもって一方的に見分けるために開発された点で、生体認証は極めて人種差別的な近代「科学」に依拠している。

 

♦♦このような歴史的背景をもった生体認証が最先端技術として世界各国に広がり、パスポートや情報管理に浸透していることの意味は、二つの方向で大いに考える価値がある。

 ひとつは、これらの動的監視技術が現代では誰をどのように振り分けているのかという点で。もうひとつは、私たちの生きる時代が帝国主義の時代に似て来てはいないかという点で。

 

♦♦対テロ戦争の開始以来、米軍は戦場となったアフガニスタン、イラクで、住民を識別するために虹彩の採取と照合を強制的に導入した。いま戦火から着の身着のままで逃げてくる地中海沿岸部の難民たちも、公的援助を受け取るためにパスポートや身分証の代わりに身体情報を採取され、データベースに登録されている。

 歴史的に見ることが大切であることを上記の説明を読んでよく分かった。外国人については日本では「特別永住者証明書」と「在留カード」となっていることは知らなかった。

 日本人については「個人番号」制度が導入されたが、これも納税や医療保険の便だけでなく、近い将来徴兵制が敷かれれば直ぐに役立つであろう。その他にも管理・監視のために非常に便利なツールであることは間違いない。

 コンピューターの発達により、監視社会になってしまったのだ。共謀罪法が成立すれば治安維持法よりはるかに容易な権力による監視ができることになる。

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