桜、森友、軍国主義教育
名古屋も桜の開花宣言があった。山崎川沿いの桜も2.3の木が開花し始めた。満開になるのは開花から5,6日目だそうだから、次の日曜日は見ごろとなるであろう。桜の咲くころになるとなんとなく心がうきうきしてくる。梅の花も桃の花もよいが「花」と言えば桜をさすように、日本人にとっては春の花としては桜が待たれる。
染井吉野より少し早く咲く河津桜は、花の咲いている期間が長くてよいが、染井吉野は「花の命は短くて・・・」と言われるように、「三日見ぬ間の桜かな」である。この時期、風が強いのも皮肉なものである。
桜は散り際がよいとして「花は桜木、人は武士」などと賞されてきた。その桜は染井吉野で日本中に広がっている。染井吉野が広まったのは明治時代中ごろからである。
明治維新以後、日本は富国強兵政策をとり、朝鮮、中国などに進出をはかり、日清戦争、日露戦争など軍事力で海外に伸びようとした。そして、染井吉野の華やかさと散り際のよさが軍人に合っているとされたのであろう。
明治44年に作られた「歩兵の本領」という歌は、次の詞から始まる。「万朶のさくらか襟の色 花は吉野に嵐吹く 大和男子に生まれなば 散兵綫の花と散れ」
一旦緩急あれば義勇公に奉じ、天壌無窮の皇運を扶翼すべし」と教育勅語にあるように、天皇のために身命を投げ打つことを求められたのであった。このように桜は軍国主義と固く結びついていたのだが、戦後はそれは忘れられ、ただ花の美しさが愛でられた。
ここに来て軍国主義を思い出させられたのは、あの森友学園の事件があったからである。塚本幼稚園児たちは、籠池園長の指導のもとに教育勅語を暗記させられ、天の崇拝を押し付けられ、軍事力の重要さを叩きこまれているのである。
首相夫人の安倍昭恵氏はその教育が素晴らしいと感銘を受けて、安倍晋三記念學院(現瑞穂の國記念學院)名誉校長を受諾し、「晋三からです」と言って100万円を寄付したのであった。
安倍首相も昭恵夫人もよいと認めた、戦前回帰の神道にもとずく天皇崇拝の軍国主義教育は、首相や籠池氏が所属する「日本会議」が目指すところでもある。
私は小学校の頃は太平洋戦争が勃発し、まさに軍国教育一色であった。私が入学した時から1年生の国語教科書は、それまでの「サイタ、サイタ、サクラガ サイタ」から、「ススメ、ススメ、ヘイタイススメ」に変わったのであった。潔き桜でもよいのにそれでは不十分だと兵隊讃歌に変えたのだ。
1年生の授業参観は忘れられない。私が隊長となって敵をやっつける「戦争ごっこ」を教室で演じたのだ。天長節や明治節、紀元節などの重要な旗日には隊列を組んで神社まで参拝に行った。そのとき列の前半と後半が交互に「万朶のさくらか襟の色・・・」と「歩兵の本領」を歌いながら行進をしたのであった。
幼少期に天皇崇拝、軍国教育を叩きこまれ、戦争に負けるまではそれが正しいと信じていた。それを思うと塚本幼稚園の教育は恐ろしい偏向教育だと思うのである。ただ違っているのは周囲は今のところそうなっていないことだ。
国中が日本会議や安倍首相らが目指す戦前の教育になってしまったら、かつての私の様に完全に洗脳されてしまうであろう。
桜が軍国主義と結びつかないように心底から願っている。桜は桜としてその美しさを楽しむものでありたい。
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古来、花といえば桜の花であった。私は在原業平の詠んだ「世の中に絶えて桜のなかりせば人の心はのどけからまし」の歌が印象に残っている。というのは高校時代にこの花は女性を懸けていると古文の先生が解説してくれたことを妙に感心したからだ。あらためてサイトを検索してみると平安時代のプレイボーイだった在原業平がみずからの心境を歌ったと解説してあった。今日の朝刊の週刊文春の見出しに渡辺謙が不倫と大きく報じられていた。1000年経った今も変わらない。それはともかく今年は暫く気温の低い日が続きそうなので、例年より長く桜が楽しめそうである。
投稿: toshi | 2017年3月30日 (木) 08時48分