共謀罪法は一般市民に無縁ではない―②―
♦♦さて、この章の主題は「監視はテロを防げるか」だった。
答えはすでに明白だろう。NSAの過去15年間に及ぶ大量監視にもかかわらず、テロはいっこうに止む気配はない。欧州はますます対テロ戦争の現場と化し、暴力は人々を永遠の「非常事態」へと引きずり込んでいる。
9・11以降、秘密の監視システムが世界中すべての人口を監視するべく日夜メールや通話を収集してきたのに、事態はよくなったのではなく、加速度的に悪化しているのだ。
映画「スノーデン」詳しく描いてあった。
ISの出現は米英のアフガニスタン攻撃とイラク戦争の直接の結果であり、殺戮から生まれ出た憎悪は、暴力の連鎖をますます強固にしている。この戦争を終わらせない限り、全体の構造を変えない限り、テロはなくならないし、いかに強力な監視もテロを防げない。
ブッシュのアメリカがフセインに言いがかりをつけて安定していたイラクを侵略しフセインを倒したのがそもそもの始まりであった。
♦♦そしてスノーデンがインタビューで明確にしたのは、テロ対策を名目に肥大化したNSA監視システムは、実は収集した情報の最小部分しかテロ対策に使われず、もっぱら他の用途に使われてきたということだった。外交スパイ、経済競争、ジャーナリズムの弾圧、世論操作、他人の私生活ののぞき見・・・・NSA監視システムは米国のユニラテラルな支配とその強化のためにこそ使われる。しかし、けっして個人のいのちを守らない。
監視対象の基準は極めてあいまいで、常に拡大する傾向にあり、模範的と思われる市民をも巻き込んでいる。まさに「コレクト・イット・オール」が可能にした全方位監視が、グリーンウォルドの著書の原題を告げている。「逃れる場所はどこにもない」(No Place To Hide)と。
♦♦大量監視はテロ対策に対して単に無能なだけではない。私たちはもう「監視はテロを防げない」という答え以上の問題に直面している。大量監視は掲げた看板とは裏腹に、この世界をますます危険な場所に変えているのではないだろうか。
テロ対策という大義名分で作られる共謀罪法だが、スノーデンの指摘のようにテロには無効で市民社会管理に使われるのだ。
♦♦次章ではこの問いに歴史の光を当てて検討する。
どうしてテロが止まらないのかを本当に理解するためにも、私たちは来た道を振り返らなくてはならない。(151ページ)・・・・・
♦♦植民地支配と監視技術の歴史について
スノーデンがインタビューで語った言葉は、米国政府が、そしてそれを追うようにして他の国々の政府が、いまや大量の個人通信情報を手に入れ、権力自身のための広範な目的に使用していることを浮き彫りにした。私たちが便利だと
ばかり思ってきた情報通信技術が、この大量監視システムを史上空前の規模に押し上げたことはもはや疑いない。
軍・監視・情報産業複合体(153ページ)・・・・・
IT技術の発展が人類を縛るものにもなるというのは恐ろしいことである。禍福はあざなえる縄の如しとはよく言ったものだ。
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